9月ロイター企業調査:過半数が「緩やかな円高」望む、年末にかけ136─140円程度を予想
[東京 15日 ロイター] - 9月のロイター企業調査によると、今後の為替相場について「穏やかな円高」を望む企業が過半数となり、「穏やかな円安」を望むとする企業を上回った。年末にかけては半数近くの企業が136円─40円程度での推移を見込む一方、141円以上とする企業は13%にとどまった。
調査期間は8月31日から9月9日。発送社数は495、回答社数は245だった。この間、為替市場では、日米金利差などを背景に1ドル=138円台から24年ぶりの円安水準となる145円に迫る急激な円安が進んだ。
<急激な円安はダメージ>
今後の為替の推移について51%の企業が「緩やかな円高」が望ましいと回答する一方で、「緩やかな円安」を希望するのは28%にとどまった。為替ヘッジなどで変動が少なかったり、業務自体に為替レートの影響がないなど「どちらでもない」と回答した企業は22%となった。
年末にかけてドル/円レートはどのくらいで推移すると思うかとの問いには、「136ー140円程度」が45%、「141円以上」は13%だった。「131ー135円程度」は28%となった。
企業からは、「これ以上の円安は望まない」(電機)、「行き過ぎた円安は国内製造業にダメージを与える」(金属)といった声が寄せられた。また、円安はインバウンドにはプラスに作用するため、「程よいバランスに落ち着いて欲しい」 (鉄道)との期待も聞かれた。
<インバウンド需要への期待は二分>
政府は7日、新型コロナウイルスの水際対策を緩和し、1日当たりの入国者数の上限をこれまでの2万人から5万人に引き上げた。また、条件付きで渡航先出国前72時間以内のPCR検査を免除した。
インバウンド需要の回復が見込まれるが、ビジネスに資すると思うかとの問いに、「あまり期待できない」との回答が37%、「まったく期待できない」が15%となり合わせて過半数となった。一方、「多少は期待できる」が41%。「大いに期待できる」は8%にとどまった。
また、インバウンド需要がコロナ前の水準に戻るのはいつ頃になるか聞いたところ、3割近くが、来年末までには元の水準になると見通していることが分かった。「再来年以降」との回答は18%だった。一方、2割は「コロナ前の水準に戻らない」とみており、3割強は「インバウンドに影響を受けない」と回答した。