アングル:中国特化のヘッジファンド、リスクの高まりで資産構成に変化
[香港 6日 ロイター] - 中国に特化したアジアのヘッジファンドの間で、中国以外の投資先を増やす動きが出ている。運用担当者によると、中国当局によるハイテク企業の締め付け、不動産部門の債務危機、企業監査を巡る米中間の緊張、中国の厳しい新型コロナウイルス規制が投資家心理に打撃を与えており、中国企業の成長が見通しづらい状況となっている。
香港が拠点のヘッジファンド運用担当者は「過去1年間は本土以外に上場する中国企業株に特化する香港拠点のファンドにとって極めて困難な1年だった」と指摘。「多くは中国株の保有を減らして米国または東南アジアに資金の一部を振り向ける必要が生じた」と述べた。
中国に特化したヘッジファンドは従来、本土企業の米預託証券(ADR)に資金の大部分を投じてきた。
プライベートエクイティー企業ヒルハウス・キャピタル・グループ傘下の投資運用会社HHLRアドバイザーズが保有する米上場株上位5位内には、第2・四半期時点で中国以外の企業3社が入った。米証券取引委員会(SEC)に提出した「フォーム13F」報告書で明らかになった。1年前は1社だけだった。
香港拠点のアスペックス・マネジメントも保有する米上場株上位5位のうち4社は中国以外の企業だった。上位10位の保有資産に中国以外の企業が占める割合は約31%で、第1・四半期の15%から大きく上昇した。ロイターがフォーム13Fに基づき算出した。
中国に特化した泰仁資本(タイレン・キャピタル)では、第2・四半期の保有株上位5位のうち4社が中国以外の企業で、保有する米上場株上位10位のうち8社が中国以外の企業だった。
同社はかつて、中国ネット通販大手の拼多多(ピンドゥオドゥオ)の上位株主の一角を占めていたが、直近に最も保有価値が多かった銘柄はマイクロソフトだった。
中国に特化しているファンドは米市場で経験を積んでいるアナリストも起用しつつある。
中国以外の投資先を増やす傾向は単なる中国関連リスクをヘッジするための短期の動きに終わらないとの指摘もある。ただ、持続可能なリスクヘッジ方法ではないとみる向きもある。
(Summer Zhen記者)