ロシア、財政規則復活時に人民元購入検討 ルーブル高抑制で
[モスクワ 5日 ロイター] - ロシア政府は、中央銀行による機動的な外貨購入を認める財政規則が復活した折に、毎月ドル換算で最大30億─40億ドル相当の中国人民元を買い入れるなどの外貨準備調整の可能性を検討している。ルーブル高の行き過ぎを抑える目的で、ロシアの金融システムを巡る8月30日の当局者会合で提案が協議された。ロイターが確認したたたき台文書や、消息筋4人の話で明らかになった。
ただ4人の消息筋によると、会合では何も決定に至らなかったという。
ロシアでは通常、石油収入の余剰部分を政府系ファンドの国民福祉基金に移管しているが、今年はこの作業に必要な(ルーブル売り)外貨買いの法的根拠となる財政規則が停止されている。復活にはプーチン大統領の承認が必要になる。
一方ロシアの経常黒字は今年、原油輸出収入の急増と、ウクライナ侵攻後の西側からの制裁で輸入が直接打撃を受けたことで、1─7月に前年同期比で3倍超に拡大。ロシア政府はこれが過大なルーブル高につながり、穀物などの外貨建て輸出収入を目減りさせることを懸念している。
会合はミシュスチン首相が議長を務め、政府高官や中銀当局者、大手民間銀行幹部らが参加。財政規則復活の際に人民元やインドルピー、トルコリラなど「友好国」の通貨を一時的な措置として購入しルーブル相場をより安定させる案が提示されたという。ロシアは経済制裁で外貨資産の約半分が凍結されており、ドルやユーロなどをさらに新たに買うことも考えられない。
もっとも、「友好国」の通貨はドルやユーロに比べて流動性が低い上に、そうした国は経済的・政治的リスクもずっと大きい。文書でも「ロシアが人民元を準備金にしても、これを自由に売却することはできない。それには中国の承認が別途必要になる。危機の下でこうした承認を得るのはなおさら難しいかもしれない。一方でルピーなど他の友好国通貨は流動性が一段と劣る」と長期的な問題点を認めている。
それでも文書は、ロシア最大手行ズベルバンク系調査機関の試算を引用し、今年末までに最大160億ドル相当の人民元を買うのは現実的になり得るとの見解を示した。