NY市場サマリー(26日)ドル上昇、株大幅安 2年債利回り上昇
[26日 ロイター] -
<為替> ドル指数が上昇した。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が米ワイオミング州ジャクソンホールで開かれた経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で講演し、タカ派的発言を行った。
ただ、FRBが9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でどの程度の利上げを行うかとの議論には決着がつかなかった。
パウエル議長は成長鈍化などの「痛み」を伴ったとしても、インフレが抑制されるまで「当面」金融引き締めが必要という見解を示した。ターミナルレート(利上げの最終地点)への言及は避け、金利は必要に応じ上昇するという認識を示すにとどめた。
ドル指数は0.30%高の108.78。一時107.54まで下落したが、反転した。
ユーロは0.07%安の0.9963ドル。23日に付けた20年ぶり安値0.99005ドルからは反発している。
ロイターが、欧州中央銀行(ECB)の一部政策担当者が9月の理事会で0.75%ポイントの利上げを議論したいと考えていると報じたことで、ユーロは対ドルでこの日の高値を付ける場面があった。
ドル/円は0.66%高の137.39円だった。
米商務省が26日発表した7月の個人消費支出(PCE)は前月より0.1%増となり、市場予想の0.4%増を下回った。
これを受けて序盤の市場ではドルが売られた。
フェデラルファンド(FF)金利先物市場が織り込む、9月の0.75%ポイント利上げの確率は60%。パウエル議長の発言前の45%から上昇した。50bp利上げの確率は40%となっている。
英ポンドは0.80%下落の1.1742ドル。
英ガス電力市場監督局(Ofgem)は26日、家庭用エネルギー料金が10月から80%引き上げられ、平均で年額3549ポンド(4188ドル)になると表明した。
<債券> 連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の講演を受け、2年債利回りが一時2007年10月以来の水準に上昇した。
パウエル議長はワイオミング州ジャクソンホールで開かれた経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で行った講演で、成長鈍化などの「痛み」を伴ったとしても、インフレが抑制されるまで「当面」金融引き締めが必要との見解を表明。「金利上昇や成長鈍化、労働市場の軟化はインフレを低下させるが、家計や企業に痛みをもたらすだろう」と述べた。
これを受け、利上げ観測を反映しやすい2年債利回りは上昇。午後の取引で2.9ベーシスポイント(bp)上昇の3.403%と、6月に付けた年初来高水準(3.4350%)に迫った。
2年債利回りが大きく上昇したことで、長短国債利回りが逆転する「逆イールド」が拡大。2年債と10年債の利回り格差はマイナス37.0bpと、パウエル議長講演前のマイナス31.3bpから拡大した。
10年債利回りは0.9bp上昇の3.033%。
30年債利回りは2.7bp低下の3.207%
<株式> 主要株価3指数が軒並み3%を超えて下落し、ダウ工業株30種は1000ドルを超える下げを記録した。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長がインフレ抑制に向けた利上げ継続を示唆したことが圧迫材料となった。
ナスダック総合は、グロース株やハイテク株が売り込まれる中、約4%急落し、1日としては6月16日以来の大幅な下げとなった。
パウエル議長は26日、米ワイオミング州ジャクソンホールで開かれた経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で講演し、成長鈍化などの「痛み」を伴ったとしても、インフレが抑制されるまで「当面」金融引き締めが必要という見解を示した。
投資家の不安心理の度合いを表す「恐怖指数」ことボラティリティー・インデックス(VIX)は3.78ポイント上昇の25.56と、終値としては6週間ぶりの高水準となった。
S&P総合500種の全11セクターが下落。情報技術 、通信サービス、一般消費財は3.9─4.3%下落した。
前日上昇していた半導体エヌビディアは9.2%、アマゾン・ドット・コムは4.8%それぞれ下落。アルファベットやメタ・プラットフォームズ、ブロックも4.1─7.7%安となった。
週間ではナスダックが4.4%、ダウが4.2%、S&Pは4%それぞれ下落した。また、3指数はこの日の下げによって8月の上昇分を全て失った。
朝方発表された7月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年同月比は6.3%上昇し、伸び率は前月から鈍化し、今年1月以降で最も低い伸びとなった。前月比でも0.1%低下と、2020年4月以降で初めて低下した。
デル・テクノロジーズは13.5%安。デルは25日、高インフレや景気見通し悪化で消費者や企業が支出を手控える中、高インフレや景気見通し悪化で消費者や企業が支出を手控える中、今四半期の売上高の伸びが鈍化すると予想した。
<金先物> パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が利上げを継続する意向を示したことを受けて、4日ぶりに反落した。中心限月12月物の清算値(終値に相当)は、前日比21.60ドル(1.22%)安の1オンス=1749.80ドルだった。週間ベースでは、13.10ドル(0.74%)の下落。
パウエルFRB議長はこの日、ワイオミング州のジャクソンホールで開催された国際経済シンポジウムで講演。高インフレ抑制に向けて利上げを継続する意向を示した。これを受けて米長期金利が上昇。金利を生まない資産である金の売りが膨らんだ。 一方で今後の利上げ幅については経済指標と景気の見通し次第と指摘。将来の政策調整に含みを持たせており、金の下値も限定的だった。
<米原油先物> パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演内容を受けて売り買いが交錯したあと、反発した。米国産標準油種WTIの中心限月10月物の清算値(終値に相当)は、前日比0.54ドル(0.58%)高の1バレル=93.06ドル。11月物は0. 20ドル高の92.39ドル。
パウエルFRB議長は26日、西部ワイオミング州ジャクソンホールで開催中のシンポ ジウムで講演し、高インフレ抑制のため、金融引き締めを「しばらくの間」維持する必要があると表明。物価安定へ「決意を持って行動する」と強調した。積極的な利上げ継続に伴い一段の景気悪化となれば、エネルギー需給への影響が広がるとの警戒感が台頭し、相場は一時91ドル割れに迫った。ただ売り一巡後は週末要因も重なり、一進一退の展開となった。
相場は朝方、堅調に推移。サウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相が週初に、 直近の原油安への対応として石油輸出国機構(OPEC)主導で減産に踏み切る可能性に 言及したことに対し、アラブ首長国連邦(UAE)が26日に支持する方針を示したとの 報などが相場を支援した。
ドル/円 NY終値 137.52/137.55
始値 136.89
高値 137.55
安値 136.31
ユーロ/ドル NY終値 0.9961/0.9965
始値 1.0014
高値 1.0089
安値 0.9957
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 96*12.00 3.1887%
前営業日終値 95*17.00 3.2340%
10年債(指標銘柄) 17時05分 97*19.50 3.0297%
前営業日終値 97*21.00 3.0240%
5年債(指標銘柄) 17時05分 99*22.25 3.1914%
前営業日終値 99*27.25 3.1570%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*23.88 3.3824%
前営業日終値 99*24.38 3.3740%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 32283.40 -1,008.38 -3.03
前営業日終値 33291.78
ナスダック総合 12141.71 -497.56 -3.94
前営業日終値 12639.27
S&P総合500種 4057.66 -141.46 -3.37
前営業日終値 4199.12
COMEX金 12月限 1749.8 ‐21.6
前営業日終値 1771.4
COMEX銀 9月限 1874.6 ‐37.4
前営業日終値 1912.0
北海ブレント 10月限 100.99 +1.65
前営業日終値 99.34
米WTI先物 10月限 93.06 +0.54
前営業日終値 92.52
CRB商品指数 299.0943 +2.3469
前営業日終値 296.7474