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アングル:米企業決算、予想を裏切る堅調ぶり 注目はトップライン

配信日時:2022/08/03 13:01 配信元:REUTERS

[ニューヨーク 2日 ロイター] - 米企業がこれまで発表した第2・四半期決算は総じて明るい内容で、企業業績と景気の両方で暗い見通しを覚悟していた投資家にとって予想外の展開となっている。

2日までに金融情報会社リフィニティブがまとめたデータによると、今決算シーズンの半分を超えた時点で、S&P500種構成銘柄の企業は前年同期比の増益率が推計8.1%と7月初めの5.6%から切り上がった。発表企業の約78%が市場予想を上回り、長期的な平均を超えている。

増益率の予想は第3、第4・四半期には下振れているが、それでも大幅なプラスを維持している。S&P500種構成銘柄の企業は2022年通年の増益率予想が8.1%で、7月時点の予想の9.5%よりは低くなった。

投資家は、高インフレと金利上昇が景気後退を招くのであれば、今年の収益予想は高すぎると懸念していた。

米商務省が先週発表した第2・四半期の米国内総生産(GDP)実質成長率の速報値は予想外のマイナスで、経済が2期連続で縮小したことから、米国は景気後退入りのリスクが高まった。

米株式市場は今年前半、景気後退への懸念から株価が急落した。しかしS&P500種指数ととナスダック指数は予想を上回る好業績などを材料に、7月に2020年以来最も高い月間上昇率を記録した。

クレディ・スイス証券の米株チーフストラテジスト兼クォンタティブ調査責任者、ジョナサン・ゴルブ氏は、「企業の利益は悲惨な状況になるというのがコンセンサスだった。しかしそのような展開にはならなかった」と述べた。企業の決算発表は、需要が堅調を保ち、売上高もしっかりしていることを示しているという。

ゴルブ氏によると「景気の良し悪しを判断する目安は売上高」だ。

リフィニティブのデータによると、S&P500種企業は第2・四半期の売上高の前年比伸び率の予想が2日時点で12.5%となっており、7月初めの10.4%から上方修正された。

先週末には指数に占める比率の高いアップルとアマゾン・ドット・コムが明るい見通しを示し、投資家のムードが上向いた。またシェブロンとエクソンモービルは四半期ベースで利益が過去最高となった。

アップルによると、部品不足が緩和し、iPhone(アイフォーン)は需要が維持されている。アマゾンは第3・四半期に収益が急増すると見込んでいる。

チェリー・レーン・インベストメンツのパートナー、リック・メクラー氏は、「特に大型株はよく持ちこたえているが、当然ながら人々は最悪の事態を予想していた」と述べた。

確かに実際には明るい材料ばかりというわけではない。ウォルマートは先週初め、食品と燃料の価格高騰を理由に通年の利益見通しを下方修正し、投資家の間に動揺が走った。

このため消費者の状態や他の小売り業者の見通しを巡り懸念が高まっている。小売り業者の多くはまだ決算を発表していない。

データトレック・リサーチの共同創業者、ニコラス・コラス氏は今週のメモで、「新型コロナウイルスの流行前や過去2年間との比較では、アナリストは第3・四半期の増益率予想を通常より大きく引き下げている」と指摘した。

バリュエーションの鍵は業績予想が崩れないかどうかだ。リフィニティブのデータによると、2日時点のS&P500種企業の1年後業績予想に基づくPER(株価収益率)は17.5倍で、昨年12月末の22.1倍から低下したが、長期平均の約16倍を引き続き上回っている。

トゥルーイスト・アドバイザリー・サービシズのチーフマーケットストラテジスト、キース・レナー氏は、「これまでのところ恐れていたよりも悪いことは起きていない。市場は既に悪材料に対する心構えができていた」と話した。

(Caroline Valetkevitch記者)

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