持続的・安定的な物価目標実現へ、金融政策実施していく=日銀総裁
[東京 21日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は21日、金融政策決定会合後の会見で、物価安定目標の持続的・安定的な実現を目指して金融政策を実施していく考えに「変わりはない」と述べた。金融緩和を続けることで、時間はかかるかもしれないが、賃上げを伴ったかたちで物価安定目標を実現することが可能だとの考えを示した。
黒田総裁は安倍晋三元首相の死去に哀悼の意を示した上で、アベノミクスに関して、政府の政策と日銀の強力な金融緩和策によって、賃金のベースアップや雇用の大幅な増加などデフレ期に見られなかった変化があったと説明。この間の大規模な金融緩和は経済・物価の押し上げ効果をしっかり発揮しているとし、引き続き日本経済の中長期的な成長を「金融面から支えていきたい」と語った。
外為市場で円安が急速に進行していることについては「先行きの不確実性を高め、企業による事業計画の策定を困難にするなど経済にマイナスであり望ましくない」と指摘。日銀として「政府とも緊密に連携しつつ、為替市場の動向やその経済・物価への影響を十分注視していきたい」と述べた。
また、足元の為替については「ドルの独歩高だ」との見方を示し、米国と同様に利上げを行っている韓国のウォンなどに対してもドル高が進んでおり、金利差だけがドル高の理由ではないと語った。
日銀は21日公表した最新の「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で、2022年度の物価見通しを前年度比プラス2.3%とし、前回4月時点のプラス1.9%から上方修正した。
黒田総裁は、22年度の物価見通しが引き上げられたのは、国際商品市況の上昇を反映した輸入物価の上昇が大きいと指摘。2%の物価安定目標の持続的、安定的な実現には至っておらず「金融緩和を継続する必要がある」と強調した。「イールドカーブコントロール(長短金利操作)のもとでの金利を引き上げるつもりは全くないし、プラスマイナス0.25%というレンジも変更するつもりもない」とも述べた。
企業の賃上げについては「進んでいることは事実だが、2%程度の消費者物価には追いついてない」とし、もう一段の賃金上昇が必要と述べた。
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(杉山健太郎 編集:石田仁志)