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アングル:アジア企業、ドル建て債務借り換えに苦労 財務が劣化

配信日時:2022/07/12 14:02 配信元:REUTERS

[11日 ロイター] - アジア企業はドル建て債務の借り換えが一段と困難になりそうだ。ドルが20年来の高値にあるほか、最近のインフレ高進で各中央銀行が利上げを余儀なくされる中、主要な財務指標が低下している。

これら企業のインタレスト・カバレッジ・レシオ(営業利益を支払利息で割ったもの。高いほど返済能力があると認められる)は3月末時点で5.1倍と1年ぶりの低水準となった。中国、韓国、インドネシア、ベトナムなどの企業に押し下げられた。

ロイターはリフィニティブから得られた比較可能なデータ1700社分(金融を除く)を分析。これらの企業の時価総額は合計で10億ドル以上に上る。

アジア企業は昨年、ドル建てとユーロ建ての債券で合計3380億ドルを調達。しかし、2021年は金利の底打ちも見られた。22年3月末までにアジア企業の債務は6兆7000億ドルに急増し、2年前から25%増加した。

S&Pグローバルのアナリスト、ザビエル・ジーン氏は「過去5年間は金利が低水準で推移し、地域通貨が経済状況の低迷に対して底堅かったため、通貨リスクは隠れていた。金利が上昇するにつれ、通貨リスクは資金調達の選択肢などにおいて、より目立つようになるだろう」と述べた。

中国企業のインタレスト・カバレッジ・レシオは、昨年9月末の5.10倍から3月末には3.02倍に低下した。

HSBCのシニア株式ストラテジスト、ヘラルド・バン・デル・リンデ氏は、昨年の中国恒大集団の危機以来、圧力を受けている中国の不動産会社は債務借り換えで苦労するだろうと述べた。

しかし、ほとんどのアジア企業では債務返済が滞る兆候はない。実際、金利・税・減価償却費控除前利益に対する純債務を示した別のレシオの中央値は3月末時点で2.5と、7年ぶりの低水準にある。これが3を超えると、懸念材料と見なされる。

S&Pのジーン氏は、少なくとも8社に1社の企業の信用度が今後12カ月の間に金利上昇のために圧迫される可能性があると指摘。インフレが続けば、その数は6社に1社に増える可能性がある。

ドル建ての借入はすでに激減している。

今年上半期にアジア企業が発行したドル建てまたはユーロ建ての債券はわずか98件で、過去6年間で最も少なく、昨年の338件から減少している。

(Patturaja Murugaboopathy記者)

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