今期黒字化「確実に達成」、4―6月期利益は計画以上=ANAHD社長
[東京 7日 ロイター] - ANAホールディングス(HD)の芝田浩二社長は7日の記者会見で、2022年第1四半期(4─6月期)の営業利益が計画を上回り、足元も順調なことから7月単月で営業黒字を達成するとの見通しを明らかにした。23年3月期も「確実に黒字化を達成していく」と語った。黒字化の根拠として、国内線の旅客需要が計画通りで推移していることや国際線の旅客需要も7─8月と好調、国際貨物も堅調なことなどを挙げた。
芝田社長は、第1四半期の国内線旅客需要は「ほぼ計画並みに推移した」と述べた。傘下の全日本空輸(全日空)と格安航空会社(LCC)のピーチ・アビエーションを合わせた国内線の旅客数はコロナ前の9割まで回復しているという。全日空の国際線旅客需要も「第1四半期は計画より上振れている。7月、8月も上振れを予想している」と話した。貨物事業は「特に国際線を中心に引き続き需要が堅調」とした。
政府による全国を対象とした観光需要喚起策「全国旅行支援」について、芝田社長は「早期に実現できれば」と期待感を示した。全国旅行支援は7月上旬の開始を目指していたが、新型コロナウイルス感染者数が足元で急増しているのを受け、政府は開始時期の延期を検討しているとされる。ANAHDはこうした需要喚起策の効果を業績予想に織り込んでいない。
会見には全日空の井上慎一社長、ピーチの森健明社長も同席した。井上社長も喚起策の早期開始は期待しているが、喚起策がない現状でも「旅客需要が伸びているという事実がある。顧客が自主的に旅行に動いている」とし、延期の影響は軽微との見方を示した。コロナ禍でも消費者は自主的に感染対策を徹底して日常を取り戻しつつあり、移動への抵抗感が薄れており「モードが変わった」とみている。
芝田社長はまた、日本政府に対し水際対策を「G7と同レベル」まで緩和するよう要請を続けていくとした。井上社長も、訪日時の外国人のビザ取得義務、出国前72時間以内のPCR検査義務、コロナ前は訪日観光客の約8割を占めていた個人旅行の禁止が国際線の旅客需要の回復・拡大を阻んでいるとして入国規制の緩和を訴えた。
足元で相次ぐ物価高は下期にかけ一段と進むとみられており、旅客需要への影響も懸念されるが、芝田社長は、自社の需要動向調査を見る限り、消費者の旅行に対する欲求度は高く、必ずしも物価高とは「リンクしない」との認識を示した。森社長は、物価高の環境下でも価格に敏感な顧客はLCCで対応できるとし、「LCCを(ANAグループ内で)持っている理由はそこにある」と述べた。
ANAHDは8月1日に第1四半期決算を発表する。