アングル:株式相場、7月前半の売り一服で安心感も
[ロンドン 6日 ロイター] - 株式相場は今年上半期に大きく下落したが、過去の動向が将来を占う材料となるならば、7月前半の2週間の動きは投資家に安心感を与えるかもしれない。
世界の株式市場は今年1月に記録的な高値を付けて以降、時価総額が20兆ドル余り減少した。
政策当局者が成長を妨げずに物価高騰を抑制することに苦戦する中、主要市場は名実ともに弱気相場の領域に突入した。
だが1930年以降の半月ごとの相場の動きを中央値で見ると、7月前半はS&P総合500種のリターンが1年のうちで最も高い2週間となっている。
S&P総合500種が3四半期連続で低下し、年初来で20%値下がりした後だけに、一部の投資家は押し目買いを入れる用意があると表明。同指数は7月に入り0.16%上昇している。
ボラティリティーが世界の株式相場を圧迫し続けているが、JPモルガンの調査では、投資家の3分の2は7月に株式のエキスポージャーを増やす意向であることが示された。
ジャナス・ヘンダーソン・インベスターズのマルチアセット責任者ポール・オコナー氏は、株式は逆風の中にあるが、歴史を振り返ると短期的には希望の兆しがあると指摘。「欧州と米国では記録的な空売りが見られ、実に大きなリバランス(資産の再配分)が起きている。株式相場がこれほど大きく下げたため、リバランスは自然なことだ」と述べた。
バンク・オブ・アメリカの統計によると、6月最終週に世界の株式からは58億ドルの資金が流出。先進国市場からの流出が新興国市場からの流出を上回った。
<隠れる場所なし>
今年上半期は投資家にとって過酷だった。ゴールドマン・サックスのアナリストによると、資産の60%を株式、40%を債券に投資する「60/40ポートフォリオ戦略」はリターンがマイナス17%となり、1932年以降で上半期として最悪の運用成績を記録した。
UBSは、株式相場の下落とボラティリティーを利用し、厳選して長期ポジションを構築すると示唆。高インフレの環境下では、エネルギー株を含むバリュー株と英国株がアウトパフォームし続ける可能性があり、特に企業業績が底堅く推移できるほど景況感が改善すれば、その公算が大きくなると分析した。
だが、金利が上昇して経済成長を巡る懸念がくすぶり続ける中、投資家は向こう数カ月、リスク資産の波乱を想定すべきだと注意喚起している。
景気後退の不安と生活費の増加により消費者が慎重な姿勢を続ける一方、天然ガス価格の高騰と一連の経済指標により世界経済の健全性が改めて懸念されている。
オコナー氏は、7月後半以降の情勢は不透明と指摘。同氏のチームは7月に相場が上昇すれば、戻り売りの機会として利用する方針だ。
UBSとゴールドマン・サックスはいずれも、景気が低迷して企業業績見通しが悪化する場合に備えた防御戦略の構築を推奨している。
(Joice Alves記者)