ECB、物価高を懸念 引き締めペースが唯一の議題=議事要旨
[フランクフルト 19日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)が19日に公表した4月13─14日の理事会の議事要旨で、インフレの拡大に広範な懸念が示され、政策をどの程度速く、どこまで引き締めるべきかが唯一の主要な議題だったことが分かった。
ECBは同理事会で政策金利を据え置く一方、量的緩和策の段階的縮小方針を確認。債券買い入れを今四半期中に縮小し、第3・四半期に終了するとのガイダンスを維持し、金利は量的緩和終了後も「しばらく」は上昇せず、また緩やかなものになるとした。ただ、ロシアによるウクライナ侵攻に関連する不確実性を強調し、具体的な日程については手がかりを示さなかった。
議事要旨で、超緩和的な金融政策を転換する時期が来たとの考えでは一致したものの、どの程度速いペースで引き締めを行い、どこまで踏み込むべきかについては見解が分かれたことが判明。
「一部のメンバーは遅滞なく行動することが重要」とし、「理事会がより速いペースでの政策正常化プロセスを示唆しなければ、インフレ期待が上昇し続けるリスクがある」と主張。「資産の純買い入れをできるだけ早期に終了させ、買い入れ終了直後に最初の利上げを実施する可能性を開く必要がある」とし、「利上げの条件はすでに明らかに達成されている」との見方を示した。
一方、金融引き締めは慎重、かつ段階的に実施する必要があるとの見解も示された。
同理事会後に公の場で発言したECB政策担当者のほぼ全員が7月の利上げ着手を提唱。ECBの中銀預金金利は現在マイナス0.5%だが、政策担当者の多くは年内のマイナス金利政策終了に支持を示している。
政策担当者は、政策正常化とは政策金利を「中立」水準まで引き上げることだとしているが、中立金利の定義は難しいとも指摘。議事要旨は「自然実質金利は依然としてマイナス圏にあると推計される」とし、「ECBの主要名目金利が中立水準に近づくのは、政策正常化プロセスのかなり遅い段階になってからと予想される」とした。
次回のECB理事会は6月9日。7月の利上げを示唆すると予想されている。