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TKP Research Memo(6):コロナ禍の需要への柔軟な対応や貸会議室需要の緩やかな回復により、損益改善を実現
配信日時:2022/05/19 15:06
配信元:FISCO
■決算概要
2. 2022年2月期の連結業績
ティーケーピー<3479>の2022年2月期の連結業績は、売上高が前期比3.6%増の44,685百万円、営業損失が883百万円(前期は2,497百万円の損失)、経常損失が1,585百万円(同2,321百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失が3,211百万円(同3,503百万円の損失)と増収及び損失幅が改善した。また、重視するEBITDAについても、前期比50.7%増の4,630百万円と大きく回復している。
売上高については、TKP単体及び日本リージャスがともに増収となった。TKP単体では、コロナ禍の影響を通年で受けたものの、「TKP職域ワクチンセンター」の運営や、同社運営アパホテルによる新型コロナ軽症者用一棟貸しが寄与したほか、貸会議室需要の緩やかな回復により増収を確保した。一方、コロナ禍の影響をほとんど受けていない日本リージャスについては、新規出店を継続しながらも、施設稼働率が堅調に推移したことにより、通期及び四半期ベース(第4四半期)での過去最高売上高を達成した。
サービス別売上構成比(TKP単体)を見ると、「会議室料」が48.6%、「オプション」が15.7%、「料飲」が3.5%、「宿泊」が18.0%、「その他」(キャンセル料含む)が14.1%となっている。コロナ禍におけるケータリングの需要低迷により「料飲」が2年続けて低調に推移する一方で、「TKP職域ワクチンセンター」の運営により「その他」の比率が高くなった。
損益面に目を向けると、TKP単体については、売上高の一定の回復に加え、固定費削減による収益体質の強化により通期での営業黒字化を達成した。一方、日本リージャスについては、IWG(世界でリージャスブランドを展開するIWG plc)のフランチャイズ費用が増加したことや、先行費用(将来を見据えた積極出店の継続)により営業損失を計上した。重視するEBITDAについては、TKP単体及び日本リージャスともに黒字を確保している。なお、日本リージャスに係る「顧客関連資産」及びTKP単体の貸会議室施設に対する減損損失(合計2,344百万円)を特別損失に計上している。
財政状態については、固定資産の圧縮等により、総資産が前期末比4.8%減の111,280百万円となった。一方、自己資本は新株予約権(第7回)の行使に伴って8,296百万円を調達したことにより、同13.9%増の37,842百万円となり、自己資本比率は34.0%(前期末は28.4%)に改善した。また、手元流動性(現金及び預金)も13,931百万円を確保しており、財務基盤の安全性は確保されている。
連結業績の主な内訳は以下のとおりである。
(1) TKP単体の業績
売上高は前期比4.4%増の24,892百万円、営業利益は563百万円(前期は1,884百万円の損失)、EBITDAは1,448百万円(前期は967百万円の損失)と、売上高の一定の回復により営業損失及びEBITDAの黒字化を達成した。前期はキャンセル料収入によるかさ上げが大きかったため、実態(実利用売上高)の回復幅では約20%増に上る。コロナ禍の影響を通年で受けたものの、「TKP職域ワクチンセンター」の運営や同社運営アパホテルによる新型コロナ軽症者用一棟貸しを含め、コロナ禍の需要への柔軟な対応が寄与したほか、オミクロン株が拡大した第4四半期においても、試験会場需要の獲得や貸会議室需要の緩やかな回復により増収を確保することができた。また、同社運営アパホテルについては、10棟中5棟を新型コロナ軽症者用一棟貸しとする一方、通常営業店については年間平均稼働率72%を維持するとともに、足元では80%を超える水準に回復してきた店もあるようだ。損益面では、売上高の一定の回復に加え、不採算施設からの撤退や周辺サービスの整理など収益体質の強化が奏功し、通期での営業黒字化を達成した。なお2022年2月期末の施設数は、7施設の出店を行った一方で、賃借物件の契約期間満了やコロナ禍で不採算となった施設の撤退に伴い20施設を退店した結果、238施設となった。
(2) 日本リージャスの業績
売上高は前期比1.6%増の17,569百万円、営業損失は1,276百万円(前期は160百万円の利益)と微増収ながら営業損失を計上した。もっとも、EBITDAは積極的な出店を継続しながらも黒字を維持している。レンタルオフィス事業は平均契約期間が1年を超えるため、コロナ禍の影響をほとんど受けておらず、前期における大口顧客解約の影響は残ったものの、施設稼働率が第1四半期をボトムに改善に向かったことや新規出店の寄与により増収を確保し、通期及び四半期ベース(第4四半期)での過去最高売上高を達成した。第4四半期の平均稼働率(全施設)は69.7%(前年同期は67.5%)に改善し、さらに2月単月でみると71.4%と尻上がりに良くなっている。一方、損益面では、IWGのフランチャイズ費用の減免期間が終了したことに伴う原価の増加に加え、将来を見据えた出店継続(一棟型の大型施設を含む)により営業損失を計上したが、EBITDAは1,724百万円と黒字を維持できている。なお2022年2月期末の施設数は、8施設の新規出店を行い、170施設となった。
3. 2022年2月期の総括
以上から2022年2月期を総括すると、コロナ禍の影響により、前期に引き続き業績が低調に推移した点においては厳しい結果と言わざるを得ない。ただ、「TKP職域ワクチンセンター」や新型コロナ軽症者用一棟貸しをはじめ、オンラインイベントのサポートなど、コロナ禍の需要にも柔軟に対応したことにより増収を確保するとともに、収益体質の強化により大幅な損益改善を図ったところは、同社の対応力の高さを実証するものとして高く評価できる。特に、コロナ禍においてもコア事業の施設や顧客基盤を維持するとともに、財務基盤の強化にも取り組み、体力を温存できたところは、ポストコロナの再成長に向けて大きなアドバンテージと言えよう。また、貸会議室需要やリージャスの稼働率が期末に向けて尻上がりに回復してきた点も、今後に向けての明るい材料となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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2. 2022年2月期の連結業績
ティーケーピー<3479>の2022年2月期の連結業績は、売上高が前期比3.6%増の44,685百万円、営業損失が883百万円(前期は2,497百万円の損失)、経常損失が1,585百万円(同2,321百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失が3,211百万円(同3,503百万円の損失)と増収及び損失幅が改善した。また、重視するEBITDAについても、前期比50.7%増の4,630百万円と大きく回復している。
売上高については、TKP単体及び日本リージャスがともに増収となった。TKP単体では、コロナ禍の影響を通年で受けたものの、「TKP職域ワクチンセンター」の運営や、同社運営アパホテルによる新型コロナ軽症者用一棟貸しが寄与したほか、貸会議室需要の緩やかな回復により増収を確保した。一方、コロナ禍の影響をほとんど受けていない日本リージャスについては、新規出店を継続しながらも、施設稼働率が堅調に推移したことにより、通期及び四半期ベース(第4四半期)での過去最高売上高を達成した。
サービス別売上構成比(TKP単体)を見ると、「会議室料」が48.6%、「オプション」が15.7%、「料飲」が3.5%、「宿泊」が18.0%、「その他」(キャンセル料含む)が14.1%となっている。コロナ禍におけるケータリングの需要低迷により「料飲」が2年続けて低調に推移する一方で、「TKP職域ワクチンセンター」の運営により「その他」の比率が高くなった。
損益面に目を向けると、TKP単体については、売上高の一定の回復に加え、固定費削減による収益体質の強化により通期での営業黒字化を達成した。一方、日本リージャスについては、IWG(世界でリージャスブランドを展開するIWG plc)のフランチャイズ費用が増加したことや、先行費用(将来を見据えた積極出店の継続)により営業損失を計上した。重視するEBITDAについては、TKP単体及び日本リージャスともに黒字を確保している。なお、日本リージャスに係る「顧客関連資産」及びTKP単体の貸会議室施設に対する減損損失(合計2,344百万円)を特別損失に計上している。
財政状態については、固定資産の圧縮等により、総資産が前期末比4.8%減の111,280百万円となった。一方、自己資本は新株予約権(第7回)の行使に伴って8,296百万円を調達したことにより、同13.9%増の37,842百万円となり、自己資本比率は34.0%(前期末は28.4%)に改善した。また、手元流動性(現金及び預金)も13,931百万円を確保しており、財務基盤の安全性は確保されている。
連結業績の主な内訳は以下のとおりである。
(1) TKP単体の業績
売上高は前期比4.4%増の24,892百万円、営業利益は563百万円(前期は1,884百万円の損失)、EBITDAは1,448百万円(前期は967百万円の損失)と、売上高の一定の回復により営業損失及びEBITDAの黒字化を達成した。前期はキャンセル料収入によるかさ上げが大きかったため、実態(実利用売上高)の回復幅では約20%増に上る。コロナ禍の影響を通年で受けたものの、「TKP職域ワクチンセンター」の運営や同社運営アパホテルによる新型コロナ軽症者用一棟貸しを含め、コロナ禍の需要への柔軟な対応が寄与したほか、オミクロン株が拡大した第4四半期においても、試験会場需要の獲得や貸会議室需要の緩やかな回復により増収を確保することができた。また、同社運営アパホテルについては、10棟中5棟を新型コロナ軽症者用一棟貸しとする一方、通常営業店については年間平均稼働率72%を維持するとともに、足元では80%を超える水準に回復してきた店もあるようだ。損益面では、売上高の一定の回復に加え、不採算施設からの撤退や周辺サービスの整理など収益体質の強化が奏功し、通期での営業黒字化を達成した。なお2022年2月期末の施設数は、7施設の出店を行った一方で、賃借物件の契約期間満了やコロナ禍で不採算となった施設の撤退に伴い20施設を退店した結果、238施設となった。
(2) 日本リージャスの業績
売上高は前期比1.6%増の17,569百万円、営業損失は1,276百万円(前期は160百万円の利益)と微増収ながら営業損失を計上した。もっとも、EBITDAは積極的な出店を継続しながらも黒字を維持している。レンタルオフィス事業は平均契約期間が1年を超えるため、コロナ禍の影響をほとんど受けておらず、前期における大口顧客解約の影響は残ったものの、施設稼働率が第1四半期をボトムに改善に向かったことや新規出店の寄与により増収を確保し、通期及び四半期ベース(第4四半期)での過去最高売上高を達成した。第4四半期の平均稼働率(全施設)は69.7%(前年同期は67.5%)に改善し、さらに2月単月でみると71.4%と尻上がりに良くなっている。一方、損益面では、IWGのフランチャイズ費用の減免期間が終了したことに伴う原価の増加に加え、将来を見据えた出店継続(一棟型の大型施設を含む)により営業損失を計上したが、EBITDAは1,724百万円と黒字を維持できている。なお2022年2月期末の施設数は、8施設の新規出店を行い、170施設となった。
3. 2022年2月期の総括
以上から2022年2月期を総括すると、コロナ禍の影響により、前期に引き続き業績が低調に推移した点においては厳しい結果と言わざるを得ない。ただ、「TKP職域ワクチンセンター」や新型コロナ軽症者用一棟貸しをはじめ、オンラインイベントのサポートなど、コロナ禍の需要にも柔軟に対応したことにより増収を確保するとともに、収益体質の強化により大幅な損益改善を図ったところは、同社の対応力の高さを実証するものとして高く評価できる。特に、コロナ禍においてもコア事業の施設や顧客基盤を維持するとともに、財務基盤の強化にも取り組み、体力を温存できたところは、ポストコロナの再成長に向けて大きなアドバンテージと言えよう。また、貸会議室需要やリージャスの稼働率が期末に向けて尻上がりに回復してきた点も、今後に向けての明るい材料となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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