後場の投資戦略
ウクライナ情勢一段と悪化、パウエル・プットに期待してよいのか?
配信日時:2022/03/02 12:13
配信元:FISCO
[日経平均株価・TOPIX(表)]
日経平均;26341.95;-502.77TOPIX;1863.47;-33.70
[後場の投資戦略]
WTI原油先物価格は時間外取引で1バレル=108ドルを挟んだ水準で推移。ロシアへの経済制裁による商品市況の逼迫が警戒され、節目の100ドルを突破すると一気に駆け上がってきた。国際銀行間通信協会(SWIFT)の決済網からの排除など、厳しい経済制裁の実施後もロシアの姿勢に変化は見られず、ウクライナの主要都市では砲撃がむしろ強化されているもよう。これを受け、西側諸国は更なる経済制裁の実施も検討していると伝わっている。事態の収束目途はいつなのか、実体経済への悪影響はどれ程のものになるのか、先行き不透明感が一段と強まるなか、株式市場ではリスク回避の動きが再び強まっている。
こうした中、今晩、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は下院金融サービス委員会での証言に臨む予定。足元では、ウクライナ情勢を巡る不透明感に配慮し、FRBが金融引き締めペースを遅らせるのではないかとの期待が高まっている。実際、明日の証言では、パウエル議長からウクライナ情勢に対する懸念などが示される可能性は高い。
しかし、ウクライナ情勢混乱による実体経済への影響が懸念されるなか、景気下振れリスクに配慮してFRBが引き締めペースを遅らせるのではという市場の期待は、そもそもエネルギー純輸出国である米国は、欧州ほどにはロシアへの経済制裁による悪影響がないということを無視していると思えてならない。下方硬直性のある賃金や住宅価格の歴史的な高騰が、地政学リスクで後退するとも考えにくい。
住宅価格の伸びはピークを過ぎたとの指摘もあるが、12月のS&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数の伸びは11月を上回っている。また、FRBによる利上げが予想されるなか、金利上昇前に住宅を購入しておこうとする駆け込み需要が高まってきていることも報告されており、今後はむしろ伸びが再加速していく可能性もある。地政学リスクの高まりも、資源価格の高騰を通じて、むしろFRBの引き締めを加速させる要因となり得る可能性がある。
そうした中でも、市場のFRBによる利上げ織り込みは足元で急速に後退しており、これが新たな市場の波乱要因とならないか心配だ。可能性としては低いが、仮に、明日の議会証言でパウエル議長が想定ほどにはウクライナ情勢に配慮せず、これまでのインフレファイターの姿勢を維持することを示唆した場合、利上げ後退期待で前日までリバウンドしていた株式市場が一段の下げに見舞われる可能性はあり得る。
1日、イングランド銀行(英中央銀行)金融政策委員会(MPC)のソンダース委員とキャサリン・マン委員が、インフレ抑制のため中銀の迅速な行動が必要だと主張し、利上げに引き続き積極的な姿勢を示したことも気掛かりだ。ウクライナ情勢が緊迫化する前は、インフレファイターへと変貌したFRBの姿勢を確認した上で、株価の下値を支えるてくれる「パウエル・プット」はもう存在しないことを市場参加者は認識していたはず。それが、ここにきて再びパウエル・プットに期待する声が増えていることが心配だ。筆者の見解が悲観的過ぎるだけであればいいが、明日のパウエル議長の議会証言が期待通りに作用するか見守りたい。
後場の日経平均は引き続き軟調な展開となろう。上述した通り、今晩のパウエル議長の議会証言を控え、積極的な押し目買いは手控えられやすい。また、ウクライナでの戦闘激化など新たなヘッドラインへの懸念もあり、売り方優位の地合いが続きやすいだろう。時間外取引の米株価指数先物の動き次第では、一段と下値模索の展開になる可能性もあろう。
<AK>
日経平均;26341.95;-502.77TOPIX;1863.47;-33.70
[後場の投資戦略]
WTI原油先物価格は時間外取引で1バレル=108ドルを挟んだ水準で推移。ロシアへの経済制裁による商品市況の逼迫が警戒され、節目の100ドルを突破すると一気に駆け上がってきた。国際銀行間通信協会(SWIFT)の決済網からの排除など、厳しい経済制裁の実施後もロシアの姿勢に変化は見られず、ウクライナの主要都市では砲撃がむしろ強化されているもよう。これを受け、西側諸国は更なる経済制裁の実施も検討していると伝わっている。事態の収束目途はいつなのか、実体経済への悪影響はどれ程のものになるのか、先行き不透明感が一段と強まるなか、株式市場ではリスク回避の動きが再び強まっている。
こうした中、今晩、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は下院金融サービス委員会での証言に臨む予定。足元では、ウクライナ情勢を巡る不透明感に配慮し、FRBが金融引き締めペースを遅らせるのではないかとの期待が高まっている。実際、明日の証言では、パウエル議長からウクライナ情勢に対する懸念などが示される可能性は高い。
しかし、ウクライナ情勢混乱による実体経済への影響が懸念されるなか、景気下振れリスクに配慮してFRBが引き締めペースを遅らせるのではという市場の期待は、そもそもエネルギー純輸出国である米国は、欧州ほどにはロシアへの経済制裁による悪影響がないということを無視していると思えてならない。下方硬直性のある賃金や住宅価格の歴史的な高騰が、地政学リスクで後退するとも考えにくい。
住宅価格の伸びはピークを過ぎたとの指摘もあるが、12月のS&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数の伸びは11月を上回っている。また、FRBによる利上げが予想されるなか、金利上昇前に住宅を購入しておこうとする駆け込み需要が高まってきていることも報告されており、今後はむしろ伸びが再加速していく可能性もある。地政学リスクの高まりも、資源価格の高騰を通じて、むしろFRBの引き締めを加速させる要因となり得る可能性がある。
そうした中でも、市場のFRBによる利上げ織り込みは足元で急速に後退しており、これが新たな市場の波乱要因とならないか心配だ。可能性としては低いが、仮に、明日の議会証言でパウエル議長が想定ほどにはウクライナ情勢に配慮せず、これまでのインフレファイターの姿勢を維持することを示唆した場合、利上げ後退期待で前日までリバウンドしていた株式市場が一段の下げに見舞われる可能性はあり得る。
1日、イングランド銀行(英中央銀行)金融政策委員会(MPC)のソンダース委員とキャサリン・マン委員が、インフレ抑制のため中銀の迅速な行動が必要だと主張し、利上げに引き続き積極的な姿勢を示したことも気掛かりだ。ウクライナ情勢が緊迫化する前は、インフレファイターへと変貌したFRBの姿勢を確認した上で、株価の下値を支えるてくれる「パウエル・プット」はもう存在しないことを市場参加者は認識していたはず。それが、ここにきて再びパウエル・プットに期待する声が増えていることが心配だ。筆者の見解が悲観的過ぎるだけであればいいが、明日のパウエル議長の議会証言が期待通りに作用するか見守りたい。
後場の日経平均は引き続き軟調な展開となろう。上述した通り、今晩のパウエル議長の議会証言を控え、積極的な押し目買いは手控えられやすい。また、ウクライナでの戦闘激化など新たなヘッドラインへの懸念もあり、売り方優位の地合いが続きやすいだろう。時間外取引の米株価指数先物の動き次第では、一段と下値模索の展開になる可能性もあろう。
<AK>
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