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ロシアとウクライナからの輸入原料、代替を準備=日鉄副社長

配信日時:2022/02/25 07:40 配信元:REUTERS

[東京 25日 ロイター] - 日本製鉄の森高弘副社長は、ロシアとウクライナ両国から調達している製鋼原料の「ペレット」について、代替準備を進めていつでも切り替えられる状態にあることを明らかにした。両国とも鉄鋼輸出国のため、鋼材の国際市況が上がる可能性にも言及した。

インタビューは22日に実施した。

製鋼に用いるペレットは微粉の鉄鉱石を球状にして焼き固めたもので、日鉄は全輸入量の約14%をウクライナとロシアから調達している。森副社長は「代替ソースとして、ブラジルや豪州などから手当てをするため、影響はない」と述べ、調達価格が上がることなく、すぐにでも切り替える準備ができているという。

ウクライナとロシアはいずれも鉄鋼の輸出国のため、有事には市場に鋼材が出ず、国際市況が上がることも想定されるという。穴埋めとして輸出の機会が増えたり、国際市況が上昇することは同社にとってプラス要因ではあるものの、有事は世界経済にも影響が及ぶ可能性があり「注視してみないと、どちらに振れるか分からない」と述べ、慎重に見守る姿勢を示した。

<来期、実力ベースの事業利益6000億円の維持・向上>

来期2023年3月期(国際会計基準)の業績は、原料価格によって左右される在庫評価差や高炉改修影響など一過性の要因を除く実力ベースの事業利益6000億円の維持・向上を目指す考えを明らかにした。世界的な景気回復に伴う需要の増加を見込んでいる。

前提となる鋼材需要は、世界鉄鋼協会(WSA)の予測や国際通貨基金(IMF)の経済成長予測を踏まえ「世界的には新型コロナウイルスからの回復、経済成長に伴って、鋼材需要も増えるとみている」とした。国内も製造業を中心に下期に向けて鋼材需要の回復を見込む。中国の抑制された供給体制が継続する中、市況も上がり基調とみる。

一方で、原料価格は「引き続き、高値圏で上下するのだろう。資源高のなかで、下がる要素がなかなか見当たらない」と語った。

自動車メーカーなど顧客との交渉で鋼材価格を決める「ひも付き」は、4月以降についてはほぼ決着したという。ただ、一定の原料価格を前提にしているため、それ以上に上昇している原料価格については「来年度に入ってから調整することで合意ができている」と説明した。

22年3月期の事業利益は、在庫評価益など一過性の要因2130億円を含む8000億円を計画している。想定よりも鉄鉱石価格が若干上がっているほか、自動車メーカーの想定以上の急減産が下押し要因となる一方で、海外市況の上昇や海外事業、国内グループ会社の業績の上振れもあり「業績修正の必要性はないと思っている」とした。

(清水律子 大林優香 編集:久保信博)

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