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明日の株式相場に向けて=高配当株でキャピタルゲイン狙い
配信日時:2022/02/21 17:01
配信元:MINKABU
週明け21日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比211円安の2万6910円と3日続落となった。解決の糸口が見えないウクライナ情勢を巡る報道に振り回される相場展開が続いている。きょうは朝方に570円あまりの急落で2万7000円台を大きく割り込み、一気に2万6000円台半ばまで滑り落ちた。しかし、その後は急速に下げ幅を縮小し、2万7000円台まであと一歩のところまで戻す場面もあった。バイデン米大統領がプーチン・ロシア大統領と、ウクライナ軍事侵攻に踏み切らないことを条件に首脳会談を行う方向にあることが伝わり、これを受けて先物主導の戻り相場が演出された格好だ。
それにしても目まぐるしいハイボラティリティ相場だが、ウクライナ情勢に関する報道に投資家が一喜一憂しているわけではなく、電子メディアに走るニュースヘッドラインにコンマ1秒単位で反応するAIアルゴリズム売買の仕業である。朝方9時台の急落そして合わせ鏡のような急速な戻り。分足チャートで見るとまさに無人の高速エレベーターが上下動しているイメージと合致する。そこに相場観などを挟み込む余地はなく、システムトレードの時間軸で売買している向きを除いて、個人投資家は静観しているよりない。しばらくはウクライナ情勢絡みで、乱気流相場が続くことになりそうだ。先物で攪乱されているとはいえ、個別株への影響も避けられない。こういう相場に辟易するのであれば、持ち株をキャッシュ化して待機資金を手元に置いておくのが正しい選択肢だ。
これでも業績内容の良い好実態株が、インデックス売買による需給要因で売り込まれているというのであれば、買い向かって報われるはずだが、そういう簡単なセオリーが通用しにくいのが今の相場だ。世界的な超金融緩和政策の終了が必然となった現在、今後の相場上昇の拠りどころとして「業績相場」を挙げる声は市場関係者のなかにも多い。しかし、その言葉には無責任と言わざるを得ない響きがある。なぜなら、株価は企業の今ではなく“次に来る”業績を反映するからだ。
21年4~12月期決算を振り返ると上場企業の最終利益の合計が前年同期比で6割近い伸びを示し32兆円に達したが、これは第3四半期累計として史上最高である。海運市況の高騰で海運セクターの収益が様変わりしたほか、原油価格など資源価格が急上昇したことも資源開発関連や石油元売り、更に総合商社株などの利益を押し上げた。「しかし、この流れはいつか来た道で2008年のリーマン・ショック前と同じ状況」(中堅証券ストラテジスト)という声がある。2008年のバルチック海運指数の暴騰、200ドル説まで出た原油価格の高騰は、目に見えにくいサブプライムローンの不良債権問題と同じ時間軸で進行していた。このリーマン・ショック前夜との符合は杞憂の可能性もあるが、ドル建て債権として積み上がる中国不動産業界のデフォルト懸念などは対岸の火事ではない。
上昇相場継続を主張するうえで頼みの企業決算は、22年3月期通期見通しについては増額修正の嵐だったが、株価は個別銘柄が単発的に買われる程度で、全体的には明らかに盛り上がりを欠いた。発射台が高くなった分だけ23年3月期業績はきついだろう、というのが買いを躊躇する投資マネーの本音である。ここは、短期スタンスでの機動的な売買を心掛けるところだ。今なら、3月期末を控えた高配当利回り銘柄などは投資対象として有力だ。所有期間利回りの高さを考慮して、素直にインカムゲインを狙いに行くという思惑もあるが、それよりもインカム狙いの買いを誘導する株価上昇場面で、キャピタルゲインを確保するというのが狙いの本筋となる。
これまでテーマ買い対象としては蚊帳の外にあった建設株では、淺沼組<1852.T>や西松建設<1820.T>が、紛れもなく配当利回りの高さを武器に強いチャートを形成している。また、鉄鋼株ではロットを利かせた売買ができる日本製鉄<5401.T>、ジェイ エフ イー ホールディングス<5411.T>の大手2社に着目している機関投資家は多いはずだ。
このほか個別材料株では足の軽い低位株に人気素地がある。例えばここ動意含みで上ヒゲの連打となっているが、160円近辺であればネクストウェア<4814.T>は短期的にみて面白い存在だ。また、好決算発表を受け今月14日にマドを開けて急騰した鈴茂器工<6405.T>も、もう一段の上値が期待できそうな雰囲気を醸している。
あすのスケジュールでは、1月の企業向けサービス価格指数、1月の全国スーバー売上高などの発表が予定される。また、東証マザース市場にCaSy<9215.T>が新規上場する。海外は、欧州では2月の独Ifo企業景況感指数、また米国では21年12月のS&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数のほか、2月の米消費者信頼感指数、2月の米マークイットPMI(速報値)などが注目される。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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