ドル上値重い、ウクライナ警戒や米金利の上昇一服で=来週の外為市場
[東京 18日 ロイター] - 来週の外為市場で、ドル/円は上値の重い展開が予想されている。ウクライナ情勢への警戒感がくすぶる中で、軍事衝突の可能性は低いと見込む声もあるが、状況の先行き不透明感が払拭されない現状では上値追いには慎重になりそうだ。米国の利上げの可能性が完全に織り込まれ米長期金利の上昇が一服していることも、ドルが上値を伸ばせない要因になるみられている。
予想レンジは、ドルが114.10━116.20円、ユーロが1.1250―1.1450ドル。
市場の焦点は引き続きウクライナ情勢で、状況の変化に神経質になっている。直近では、ロシアがウクライナに侵攻しないことを条件にブリンケン米国務長官がロシアのラブロフ外相が会談を行うことで合意しており、市場では「軍事衝突が起こる可能性は低い」(国内証券)との見方も出てきている。
ただ、これをもって事態が打開されたわけではなく、マーケット全体にリスクオンムードが広がり、安全通貨としての円買い傾向が反転するのは難しそうだ。今週、ウクライナを巡って米ロの緊張状態がいったん緩むタイミングもあったが、ドルの上昇は115円後半までだった。
「市場も、徐々にウクライナ関連の報道に対して耐性がついてくる」(楽天証券・FXディーリング部、荒地潤氏)とみられるが、今後もしばらくはロシアと米国などとの攻防が続く可能性が高い中では「ドル/円は上方向よりも円高方向に進む可能性の方が高まっており、状況次第では114円台まで下落してもおかしくはない」という。
米金利上昇の勢いが鈍っていることも、ドルの重しとなりそうだ。市場では米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めへの織り込みが進んでおり、「米10年債利回りは2%を超えてから、頭打ち感が意識されている」(国内運用会社)という。利上げペースに関して新たな材料が出てこない限りは、米国の金融政策を手掛かりとした一段のドル買いも見込みにくい。
主なスケジュールでは、国内では2月東京都区部消費者物価指数(CPI)などが公表される予定。海外では、米国で2月製造業購買担当者景気指数(PMI)、1月個人消費支出、ユーロ圏で1月消費者物価指数(HICP、改定値)などが発表予定となっている。