Reuters Japan Online Report Business News

米大手銀は向こう1年に警告、高インフレ・資産価格下落など懸念

配信日時:2022/02/18 14:57 配信元:REUTERS

[ニューヨーク 17日 ロイター] - 米ウォール街の大手銀行は17日、高インフレ、信用不安、資産価格の下落、市場の不確実性による企業ディールの延期に言及し、今後1年間の見通しについて警告を発した。

フロリダで開催された「クレディ・スイス・フィナンシャル・サービシズ・フォーラム」で複数の経営トップが市場の状況についてコメントした。

バンク・オブ・アメリカのブライアン・モイニハン最高経営責任者(CEO)は、連邦準備理事会(FRB)の政策立案者がインフレを制御できず、米国の景気後退入りを防ぐことができない可能性を想定し、ポートフォリオのストレステストを行うほどインフレを懸念していると発言。「われわれはそのようなシナリオを想定しなければならない」と語った。

「一般的に業界の打撃となるのは彼らが景気後退を引き起こした場合だ。それが彼らの目標ではないことは間違いない。彼らがうまく対処してくれることを期待している。われわれはストレステストを行っているが、問題はない」とした。

ゴールドマン・サックスのデービッド・ソロモンCEOは、すさまじいインフレが成長の逆風になる可能性があると警告。「われわれは、非常にイージーなマネーとトレンドを下回るインフレという環境から、よりタイトなマネーとトレンドを上回るインフレという環境へと移行している。経済環境は異なっており、それに伴う影響が出てくるだろう」と述べた。

また、「誰もが資産(価格)の上昇に慣れており、資産(価格)の上昇がより小幅になる局面を迎えるかもしれない」と付け加えた。

ウェルズ・ファーゴのマイク・サントマッシモ最高財務責任者(CFO)は、信用スプレッドが拡大していることを指摘し、「亀裂が入り始めていないかどうかを見るべき分野だ」と述べた。

モルガン・スタンレーのシャロン・イェシャヤCFOは、「ここ2週間にわたり市場では多くの不確実性」が見られ、企業が取引を先延ばしにしていると指摘。「まだ健全な取引案件をいくつか目にしている」としつつ、「現時点では、2022年第1・四半期が21年第1・四半期と同じようになるとは思えない」とした。

ソロモン氏は、トレーディングおよび投資銀行業務は21年以降減速しているものの、依然として健全だと述べた。

モイニハン氏も同様のトーンで、22年の資本市場事業は力強い顧客活動が続いているにもかかわらず、これまでのところ「落ち込んでいる」としている。

サントマッシモ氏によると、自行の消費者および不動産ポートフォリオが引き続き順調である一方で、自動車ローンには「少しノイズ」があったという。

しかし同氏は、金利の上昇に伴い有形株主資本利益率(ROTE)の目標15%を実現しやすくなるかもしれないと指摘。

「問題は、金利がどこまで上昇するか、そしてそれが経済やわれわれのいる環境にどのような影響を与えるかということだ」と述べた。

ニュースカテゴリ