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S&P500 月例レポート ― 1月の展開が2022年の相場を占う? (1) ―
配信日時:2022/02/17 11:40
配信元:MINKABU
S&P500月例レポートでは、S&P500の値動きから米国マーケットの動向を解説します。市場全体のトレンドだけではなく、業種、さらには個別銘柄レベルでの分析を行い、米国マーケットの現状を掘り下げて説明します。
●THE S&P 500 MARKET:2022年1月
個人的見解:乱高下の結果、下落の半分を取り戻す
「1月の相場がその年の相場を占う」という相場格言があり、S&P500指数 に関しては70.97%の確率で実現していますが、直近2年は当てはまらず、過去10年間に限ると実現確率は50%となっています。今年の1月を見ると、S&P500指数は5.26%下落しました。一時は11.40%安まで落ち込み、1月として過去最悪となった2009年の9.87%安を上回る下落率となりましたが(2009年は最終的に23.45%上昇で終わりました)、月末までに下落分の半分以上を取り戻しました。ボラティリティに関しては、日次の高値と安値の差の平均は2.06%となり(月内の最高は1月24日の4.61%、2021年通年の平均は0.97%)、20営業日中7営業日で1%以上下落し、2営業日で1%以上上昇しました。
ボラティリティが再び猛威を振るい、債券自警団(当局の財政・金融政策によりインフレ懸念が生じると、投資家が債券を売ることで利回りを押し上げて警告を発すること)も姿は現したものの市場で優位に立つことはできず、日中の変動(1日の平均変動率は2.06%、2021年1月の平均は0.78%)がデイトレーダーを生み出しましたが、オプション戦略に高いプレミアムを支払ったデイトレーダーは「大敗」しました(ゲームを楽しむにはお金が必要ということです)。随所で取引のバランスが大きく崩れましたが、各企業からのガイダンスと無関係のものはほとんどありませんでした。また、資金の再配分やグロースからバリューへのシフトが進み、一部の銘柄では利益確定の動きが見られ(市場はまだ織り込んでいませんでした)、売りが買いを上回りました。こうした市場の動きは下落が一時的であることを示唆していますが、あえて「一時的」と表現する人はいませんでした。
1月のS&P500指数は、調整局面入りとされる水準(直近の高値から10%下落)を営業時間中に下回りました。具体的には24日に月中に付けた終値での最高値から一時11.97%安(月初からは11.40%安)まで下落しましたが、終値では調整局面の水準の手前で何とか踏みとどまりました(強気/弱気相場に入ったかどうかなどは終値で判断されます)。最大の問題はインフレ懸念であり、消費者物価指数(CPI)、生産者物価指数(PPI)、個人消費支出(PCE)といった各種指標は2022年のインフレ高進を示唆していますが、年末(選挙後との見方もあります)にはやや緩和すると期待されています。
インフレ懸念の高まりは、金利感応度(上昇または低下のいずれにしても)の高い銘柄を中心に市場の動きに表れているほか、消費の手控えが起きれば経済全体に影響が及ぶ恐れがあります。米連邦準備制度理事会(FRB)がバランスシートには手を付けずに利上げ(予想は5回、1回に0.50%という見方もあります)を行う意向であると見る向きもありますが(多くの人が、言葉にはしませんが同じように考えていると思われます)、懸念されるのはイールドカーブの逆転と、それに伴うリセッション入りです(リセッションという言葉は一部で避けられています)。遅かれ早かれ、景気はいつか後退するでしょうが、目下の懸念は、それがハードランディングになるかどうかです。ソフトランディングを予想しているのは少数派ですが、ハードランディングになるには消費者が消費し続け、企業がコストを転嫁し続けることができる(コストについては、供給側の問題がいつまで続くかにかかっています)ことが条件です。
2022年の残りの期間に関しては、まずは2月の決算発表での各社のガイダンスが全体的な見通しを左右するとみられ、第1週に発表されるADP全米雇用統計と米国雇用統計が方向性を決めるとみられます。新型コロナウイルスの感染状況が2月半ばに(予想通りに)落ち着けば、安値狙いの投資家によって成長株が一部で買い直されるはずですが、感染力の高い新型の変異株「オミクロンBA.2」の感染が拡大した場合には売り圧力が強まり、配当株が有利となる可能性があります。全体的には、予想される景気後退の時期と程度についてコンセンサスが得られていないこともあり、ボラティリティが再び高まるでしょう(コンセンサスが常に正しいとは限りませんが)。
過去の実績を見ると、1月は62.3%の確率で上昇し、上昇した月の平均上昇率は4.20%、下落した月の平均下落率は3.77%、全体の平均騰落率は1.20%の上昇となっています。2022年1月のS&P500指数は、調整局面に入りましたがそこで終わらず5.26%の下落となりました。
⇒「1月の相場がその年の相場を占う」という相場格言は、これまでS&P 500指数に関しては 70.97%の実現確率を誇っていました。しかし、過去2年間に関しては当てはまらず、過去10年間でみると実現確率は50%に低下しました。
2月は53.8%の確率で上昇し、上昇した月の平均上昇率は2.88%、下落した月の平均下落率は3.46%、全体の平均騰落率は0.05%の下落となっています。
今後の米連邦公開市場委員会FOMCのスケジュールは、2022年3月15日-16日、5月3日-4日、6月14日-15日、7月26日-27日、9月20日-21日、11月1日-2日、12月13日-14日となっています。
S&P500指数は1月に5.26%下落して4515.55で月を終えました(配当込みのトータルリターンはマイナス5.17%)。12月は4766.18で終え、4.36%の上昇(同プラス4.48%)となり、11月は4567.00で終え、0.83%の下落でした(同マイナス0.69%)。過去3ヵ月では1.95%下落(同マイナス1.61%)と、2020年10月のマイナス0.04%以来のマイナスでした。過去1年間では21.57%上昇(同プラス23.29%)、コロナ危機前の2020年2月19日の終値での高値からは33.35%上昇(同プラス37.51%)して月を終えました。
ダウ・ジョーンズ工業株価平均(ダウ平均)は3.32%下落の3万5131.86ドルで月を終えました(配当込みのトータルリターンはマイナス3.24%)。12月は3万6338.30ドルで終え、5.38%の上昇(同プラス5.53%)となり、11月は3万4483.72ドルで終え、3.73%の下落でした(同マイナス3.50%)。過去3ヵ月では1.92%下落(同マイナス1.47%)、過去1年間では17.17%上昇(同プラス19.36%)しました。
※「1月の展開が2022年の相場を占う? (2)」へ続く
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