注目トピックス 日本株
平和RE Research Memo(3):コロナ禍の影響は軽微、譲渡損益を除く当期純利益及び分配金は過去最高を更新
配信日時:2022/02/14 15:03
配信元:FISCO
■平和不動産リート投資法人<8966>の業績動向
1. 2021年11月期の業績概要
2021年11月期における国内経済は、コロナ禍の影響で、大都市圏を中心とした数度にわたる緊急事態宣言の発出及びその後の延長等により、経済活動が抑制される動きが続いている。さらに、感染力の強い変異株による感染が拡大しており予断を許さない状況となっている。また、米中貿易摩擦やコロナ禍に伴う経済活動の停滞が長期化しており、海外経済の不透明感が引き続き内在している。
このような経済環境下、2021年11月期(第40期)決算は、営業収益6,876百万円(前期比2.2%増)、営業利益3,361百万円(同1.6%増)、経常利益2,972百万円(同1.9%増)、当期純利益2,971百万円(同1.9%増)となった。物件譲渡益が同160百万円減少したものの、公募増資時及び物件取得による収益増加313百万円が寄与し、営業収益及び各段階利益は、いずれも期初予想を上回って着地した。また、譲渡損益を除く実力ベースの当期純利益は2,735百万円となり、過去最高を更新した。なお、REITでは、税引前利益の90%超を分配金として支払う場合には法人税が免除されることから、当期純利益は経常利益とほぼ同水準となっている。
2021年11月期の外部成長戦略としては、期初に公募増資及び第三者割当増資を実施した。総額86.9億円のエクイティ調達を実施し、物件取得資金に充当した。HF九大病院前レジデンスを譲渡し244百万円の譲渡益を得る一方で、ファーレイーストビルとHF草加レジデンスを取得するなど資産の入替を行い、期末の資産規模は1,947億円に拡大した。内部成長戦略としては、ポートフォリオ全体の期中平均稼働率が97.29%(前期比0.16ポイント低下)と回復基調にある。首都圏においては2021年11月期の大半が緊急事態宣言あるいはまん延防止等重点措置期間となったが、オフィス稼働率は98.78%と高水準を維持した。レジデンスは、リーシング上の非繁忙期ではあったが、繁忙期(5月期は入学、卒業や就職などが重なる3月・4月を含むため繁忙期になる)にあたる前期並みの96.4%となった。また、ポートフォリオのNOI利回り(実質利回りとも言う、(賃貸事業収入−賃貸事業費用)(年換算)/期中平均帳簿価額×100で計算)は、商業テナントの賃料改定が影響し、オフィスの既存物件利回りが低下したことで5.27%(同0.08ポイント低下)となった。財務運営では、良好な金融環境を背景に借入金利が低下したことで、資金調達コストが0.739%と過去最低水準を更新し、健全な財務体質を堅持している。
公募増資による発行済投資口数増加に伴いEPUは2,816円(前期比100円減)となったが、潤沢な内部留保取崩によりDPUは2,890円(同90円増)となり、12期連続でスポンサー変更後の最高値を更新した。また、物件譲渡益等の一時的要因を除いた実力ベースの収益力を示す、賃貸収益ベースのEPUは、前期比+72円の2,630円となった。内訳は外部成長+61円、既存オフィス-32円、既存レジデンス+52円、財務等+3円、その他-12円である。なおコロナ禍の影響により、既存オフィスではエムズ原宿の商業区画入替に伴う-35円が影響したものの、3年後の賃料改定時には賃料引き上げを計画しているようだ。
コロナ禍に対して、同REITは分散の効いたポートフォリオ(114物件)、潤沢なフリーキャッシュ(79.1億円)、十分な内部留保(54.1億円)、低い鑑定LTV(39.0%)、コミットメントライン(70億円)、格付A+(ポジティブ)など、不測の事態に備えて十分なリスク耐性を備えている。なおコロナ禍に伴い、オフィスの賃貸事業では一部のテナント賃料への影響はあったものの、オフィスの稼働率は過去の平均水準を上回った。一方、レジデンスは非繁忙期であったが、賃料引き下げなどリーシングキャンペーン実施により稼働率は過去3番目の高い水準を付けている。
2. 財政状態
2021年11月期末の財政状態は、総資産203,206百万円(前期末比6.4%増)、純資産104,192百万円(同9.5%増)、有利子負債90,857百万円(同3.2%増)であった。平均調達金利は0.739%と過去最低を更新した。また、有利子負債の平均調達年数は7.11年であった。今後も、主要金融機関との良好な関係のもと、比較的金利水準が高い過去の借入金が満期を迎えることで、緩やかな調達コストの低下が見込まれる。なお、長期借入金固定化比率は91.3%と高く、将来の金利上昇リスクに備えている。また、コロナ禍の影響を考慮し、大手都銀からのコミットメントライン(必要な時に借りられる、銀行からの融資枠)を2020年11月期より70億円に拡大し、不測の事態にも対応できるように、手元流動性を拡充している。
一方、鑑定LTV比率(期末の鑑定評価額(帳簿価額+含み損益)に対する有利子負債の割合)は39.0%と良好な低水準を維持している。同REITでは、同比率40~50%を標準水準として維持し、上限を65%に設定しているが、鑑定評価額の増加に伴って同比率は低下傾向にあり、借入余力が拡大したことで、より機動的な物件取得が可能になっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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1. 2021年11月期の業績概要
2021年11月期における国内経済は、コロナ禍の影響で、大都市圏を中心とした数度にわたる緊急事態宣言の発出及びその後の延長等により、経済活動が抑制される動きが続いている。さらに、感染力の強い変異株による感染が拡大しており予断を許さない状況となっている。また、米中貿易摩擦やコロナ禍に伴う経済活動の停滞が長期化しており、海外経済の不透明感が引き続き内在している。
このような経済環境下、2021年11月期(第40期)決算は、営業収益6,876百万円(前期比2.2%増)、営業利益3,361百万円(同1.6%増)、経常利益2,972百万円(同1.9%増)、当期純利益2,971百万円(同1.9%増)となった。物件譲渡益が同160百万円減少したものの、公募増資時及び物件取得による収益増加313百万円が寄与し、営業収益及び各段階利益は、いずれも期初予想を上回って着地した。また、譲渡損益を除く実力ベースの当期純利益は2,735百万円となり、過去最高を更新した。なお、REITでは、税引前利益の90%超を分配金として支払う場合には法人税が免除されることから、当期純利益は経常利益とほぼ同水準となっている。
2021年11月期の外部成長戦略としては、期初に公募増資及び第三者割当増資を実施した。総額86.9億円のエクイティ調達を実施し、物件取得資金に充当した。HF九大病院前レジデンスを譲渡し244百万円の譲渡益を得る一方で、ファーレイーストビルとHF草加レジデンスを取得するなど資産の入替を行い、期末の資産規模は1,947億円に拡大した。内部成長戦略としては、ポートフォリオ全体の期中平均稼働率が97.29%(前期比0.16ポイント低下)と回復基調にある。首都圏においては2021年11月期の大半が緊急事態宣言あるいはまん延防止等重点措置期間となったが、オフィス稼働率は98.78%と高水準を維持した。レジデンスは、リーシング上の非繁忙期ではあったが、繁忙期(5月期は入学、卒業や就職などが重なる3月・4月を含むため繁忙期になる)にあたる前期並みの96.4%となった。また、ポートフォリオのNOI利回り(実質利回りとも言う、(賃貸事業収入−賃貸事業費用)(年換算)/期中平均帳簿価額×100で計算)は、商業テナントの賃料改定が影響し、オフィスの既存物件利回りが低下したことで5.27%(同0.08ポイント低下)となった。財務運営では、良好な金融環境を背景に借入金利が低下したことで、資金調達コストが0.739%と過去最低水準を更新し、健全な財務体質を堅持している。
公募増資による発行済投資口数増加に伴いEPUは2,816円(前期比100円減)となったが、潤沢な内部留保取崩によりDPUは2,890円(同90円増)となり、12期連続でスポンサー変更後の最高値を更新した。また、物件譲渡益等の一時的要因を除いた実力ベースの収益力を示す、賃貸収益ベースのEPUは、前期比+72円の2,630円となった。内訳は外部成長+61円、既存オフィス-32円、既存レジデンス+52円、財務等+3円、その他-12円である。なおコロナ禍の影響により、既存オフィスではエムズ原宿の商業区画入替に伴う-35円が影響したものの、3年後の賃料改定時には賃料引き上げを計画しているようだ。
コロナ禍に対して、同REITは分散の効いたポートフォリオ(114物件)、潤沢なフリーキャッシュ(79.1億円)、十分な内部留保(54.1億円)、低い鑑定LTV(39.0%)、コミットメントライン(70億円)、格付A+(ポジティブ)など、不測の事態に備えて十分なリスク耐性を備えている。なおコロナ禍に伴い、オフィスの賃貸事業では一部のテナント賃料への影響はあったものの、オフィスの稼働率は過去の平均水準を上回った。一方、レジデンスは非繁忙期であったが、賃料引き下げなどリーシングキャンペーン実施により稼働率は過去3番目の高い水準を付けている。
2. 財政状態
2021年11月期末の財政状態は、総資産203,206百万円(前期末比6.4%増)、純資産104,192百万円(同9.5%増)、有利子負債90,857百万円(同3.2%増)であった。平均調達金利は0.739%と過去最低を更新した。また、有利子負債の平均調達年数は7.11年であった。今後も、主要金融機関との良好な関係のもと、比較的金利水準が高い過去の借入金が満期を迎えることで、緩やかな調達コストの低下が見込まれる。なお、長期借入金固定化比率は91.3%と高く、将来の金利上昇リスクに備えている。また、コロナ禍の影響を考慮し、大手都銀からのコミットメントライン(必要な時に借りられる、銀行からの融資枠)を2020年11月期より70億円に拡大し、不測の事態にも対応できるように、手元流動性を拡充している。
一方、鑑定LTV比率(期末の鑑定評価額(帳簿価額+含み損益)に対する有利子負債の割合)は39.0%と良好な低水準を維持している。同REITでは、同比率40~50%を標準水準として維持し、上限を65%に設定しているが、鑑定評価額の増加に伴って同比率は低下傾向にあり、借入余力が拡大したことで、より機動的な物件取得が可能になっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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