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平和RE Research Memo(2):東京都区部中心のオフィス・レジデンス複合型REIT
配信日時:2022/02/14 15:02
配信元:FISCO
■特長・優位性
1. 概要
平和不動産リート投資法人<8966>は、平和不動産グループの投資法人であり、東京都区部を中心とする、オフィス・レジデンス複合型REITだ。2002年1月に前身であるクレッシェンド投資法人を設立後、2005年3月には東証不動産投資信託証券(J-REIT)市場に新規上場、2010年10月にはジャパン・シングルレジデンス投資法人と合併し、名称を平和不動産リート投資法人に変更して今日に至っている。
また、投資主より募集した資金を主として不動産等に対する投資として運用することを目的とし、「運用資産の着実な成長」と「中期的な安定収益の確保」を資産運用の基本方針(基本理念)として掲げている。実際の資産運用はすべて、平和不動産アセットマネジメント(株)に委託しており、資産運用については、平和不動産のグループから様々なサポートを得られるのが大きな強みである。
同REITは、「戦略的なポートフォリオの構築」「平和不動産の強力なスポンサーシップ」「分配金安定化ツールの活用」といった特長・優位性を有している。また、基本理念の「運用資産の着実な成長」と「中期的な安定収益の確保」を着実に遂行することで、投資主価値の最大化に取り組んでいる。
2. 戦略的なポートフォリオの構築
同REITは、高い需要に支えられた「東京都区部を中心とする投資エリアに存するオフィス及びレジデンス」に集中的に投資している点に大きな特長がある。多数の物件に投資することで戦略的にポートフォリオの分散を図っていることが、安定した稼働率と収益の源泉になっている。
(1) オフィスビル分野
同REITの主要投資エリアである東京都区部や主要都市には主なテナント層である中小規模の事業所が多く、豊富な需要がある。ただ、オフィスビルのすべてが安定収益を確保できるとは限らず、立地条件、建物スペック等の要素によって、淘汰される物件とそうでない物件に“二極化”が進むと予想される。したがって同REITでは、数多くの投資機会の中から、中長期的に収益安定性を有すると考えられる優良なオフィスビルを厳選して取得することを目指している。直近では、コロナ禍に伴う非常事態宣言発出により、同REITのテナントの動きは一時停滞していたものの、現在は回復基調であり、主要顧客の中小事業者ではテレワーク促進等による退去の動きは見られないようだ。
(2) レジデンス分野
コロナ禍の影響により、都心部を中心に一時的に稼働率が低下し、リーシング期間が長期化したものの、各種リーシング施策を実施したことで、稼働率は急速に回復している。今後コロナ禍が収束に向かえば、東京都では従来のように人口増加傾向が強まり、堅調な需要が見込まれる。実際、単身世帯からシニア世帯まで、あらゆる世帯層が利便性の高い都心部への移住を希望している。不動産価格の高額化とも相まって、都心部の賃貸住宅に関する需要は今後も堅調に推移すると予想される。ただし、レジデンス分野は、各種設備の機能的陳腐化がオフィスビルよりも早いので、同REITでは新築物件を中心に、極力築年数の浅い物件を集中的に取得することを目指している。また、世帯の形の変化によって世帯の少人数化が進展することで、今後はシングル・コンパクトタイプの住居を必要とする世帯数が増加していくと考えられる。同REITでは、ファミリータイプよりもシングル・コンパクトタイプの住居に数多く投資することで、同規模の建物からより多くの賃料収入を得ることが可能な、効率的な運営を図っている。
2021年11月30日時点における同REITのポートフォリオの用途別内訳を見ると、オフィス45.7%、レジデンス54.3%となっている。厳格な投資基準に基づき、多数の物件へ投資することにより、用途・棟数・テナントの分散を行い、ポートフォリオの収益変動リスクの極小化を図っている。オフィス賃料は景気感応度が高く、収益の変動性が高いのに対し、レジデンス賃料は景気変動を受けにくく、収益の安定性が高いことから、両方にバランスよく投資することで、収益性と安定性の双方を追求できるポートフォリオを構築している。
また、投資エリア別では都心5区40.7%、その他の東京23区29.2%、首都圏(23区以外)9.9%、その他20.1%となっている。地域的には第1投資エリア(東京23区)を主たる投資地域と位置付けるが、各エリアのマーケット状況(取得物件のストック量、取引価格の状況及び賃貸マーケット状況等)を勘案しながら、第2投資エリア(23区以外の東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)及び地方投資エリア(政令指定都市をはじめとする全国の主要都市、すなわち平和不動産のサポートが得られる地方大都市)にも投資する。
3. 平和不動産の強力なスポンサーシップ
同REITは平和不動産の経験とノウハウを最大限に活用できることが特長であり、大きな強みと言える。平和不動産は東京、大阪、名古屋、福岡の証券取引所ビルを証券取引所に賃貸し、全国各地にオフィスビルを所有するほか、日本橋兜町・茅場町の再活性化及び札幌再開発事業化を推進する再開発事業などのデベロッパー事業も幅広く展開している。
そこで、同REITに対する外部成長サポートとして、平和不動産の保有・開発物件、仲介物件、先行取得物件等の情報ソースを活用できる。実際、スポンサー変更後の物件取得合計は、2021年11月末で49件/979億円であるが、うち平和不動産のサポートによるものは32件/694億円で全体の65%/70%を占めている。また、第三者からの直接取得17件/285億円のうち3件はスポンサー仲介物件である。このように、スポンサーのサポートが同REIT成長の原動力となっていることが実績として示されている。また、内部成長サポートとして、情報の共有化によって稼働率の改善を図ることができる。さらに、財務サポートとして、財務方針、資金調達等にかかる支援や指導を仰ぐこともできる。同REITでは、こうしたサポートを最大限に活用し、着実な成長戦略を推進することによって、投資主価値の最大化を目指している。なお、デベロッパーである平和不動産にとっては、REITの仕組みを活用して資金調達が可能となるメリットが考えられる。
4. 分配金安定化ツールの活用
同REITでは、2021年11月期末に内部留保残高54.1億円、保有物件における税会不一致額64.7億円と、最大118億円の内部留保拡大の余地を有することで、将来の安定的な分配金支払いを可能にしている。すなわち、物件売却に伴い減損損失を計上した際にも、内部留保の取り崩しによって実力ベースの分配金支払いが可能である。また、合併に伴い、受入資産に税会不一致が発生しており、物件譲渡により発生した譲渡益については最大64.7億円の範囲内で税会不一致を活用した内部留保拡大が可能である。一般的に、REITは利益のほとんどすべてを分配金として支払うため内部留保を積むことができないが、同REITは、過去の合併の経緯からこれらを積み上げるツールを有している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<YM>
1. 概要
平和不動産リート投資法人<8966>は、平和不動産グループの投資法人であり、東京都区部を中心とする、オフィス・レジデンス複合型REITだ。2002年1月に前身であるクレッシェンド投資法人を設立後、2005年3月には東証不動産投資信託証券(J-REIT)市場に新規上場、2010年10月にはジャパン・シングルレジデンス投資法人と合併し、名称を平和不動産リート投資法人に変更して今日に至っている。
また、投資主より募集した資金を主として不動産等に対する投資として運用することを目的とし、「運用資産の着実な成長」と「中期的な安定収益の確保」を資産運用の基本方針(基本理念)として掲げている。実際の資産運用はすべて、平和不動産アセットマネジメント(株)に委託しており、資産運用については、平和不動産のグループから様々なサポートを得られるのが大きな強みである。
同REITは、「戦略的なポートフォリオの構築」「平和不動産の強力なスポンサーシップ」「分配金安定化ツールの活用」といった特長・優位性を有している。また、基本理念の「運用資産の着実な成長」と「中期的な安定収益の確保」を着実に遂行することで、投資主価値の最大化に取り組んでいる。
2. 戦略的なポートフォリオの構築
同REITは、高い需要に支えられた「東京都区部を中心とする投資エリアに存するオフィス及びレジデンス」に集中的に投資している点に大きな特長がある。多数の物件に投資することで戦略的にポートフォリオの分散を図っていることが、安定した稼働率と収益の源泉になっている。
(1) オフィスビル分野
同REITの主要投資エリアである東京都区部や主要都市には主なテナント層である中小規模の事業所が多く、豊富な需要がある。ただ、オフィスビルのすべてが安定収益を確保できるとは限らず、立地条件、建物スペック等の要素によって、淘汰される物件とそうでない物件に“二極化”が進むと予想される。したがって同REITでは、数多くの投資機会の中から、中長期的に収益安定性を有すると考えられる優良なオフィスビルを厳選して取得することを目指している。直近では、コロナ禍に伴う非常事態宣言発出により、同REITのテナントの動きは一時停滞していたものの、現在は回復基調であり、主要顧客の中小事業者ではテレワーク促進等による退去の動きは見られないようだ。
(2) レジデンス分野
コロナ禍の影響により、都心部を中心に一時的に稼働率が低下し、リーシング期間が長期化したものの、各種リーシング施策を実施したことで、稼働率は急速に回復している。今後コロナ禍が収束に向かえば、東京都では従来のように人口増加傾向が強まり、堅調な需要が見込まれる。実際、単身世帯からシニア世帯まで、あらゆる世帯層が利便性の高い都心部への移住を希望している。不動産価格の高額化とも相まって、都心部の賃貸住宅に関する需要は今後も堅調に推移すると予想される。ただし、レジデンス分野は、各種設備の機能的陳腐化がオフィスビルよりも早いので、同REITでは新築物件を中心に、極力築年数の浅い物件を集中的に取得することを目指している。また、世帯の形の変化によって世帯の少人数化が進展することで、今後はシングル・コンパクトタイプの住居を必要とする世帯数が増加していくと考えられる。同REITでは、ファミリータイプよりもシングル・コンパクトタイプの住居に数多く投資することで、同規模の建物からより多くの賃料収入を得ることが可能な、効率的な運営を図っている。
2021年11月30日時点における同REITのポートフォリオの用途別内訳を見ると、オフィス45.7%、レジデンス54.3%となっている。厳格な投資基準に基づき、多数の物件へ投資することにより、用途・棟数・テナントの分散を行い、ポートフォリオの収益変動リスクの極小化を図っている。オフィス賃料は景気感応度が高く、収益の変動性が高いのに対し、レジデンス賃料は景気変動を受けにくく、収益の安定性が高いことから、両方にバランスよく投資することで、収益性と安定性の双方を追求できるポートフォリオを構築している。
また、投資エリア別では都心5区40.7%、その他の東京23区29.2%、首都圏(23区以外)9.9%、その他20.1%となっている。地域的には第1投資エリア(東京23区)を主たる投資地域と位置付けるが、各エリアのマーケット状況(取得物件のストック量、取引価格の状況及び賃貸マーケット状況等)を勘案しながら、第2投資エリア(23区以外の東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)及び地方投資エリア(政令指定都市をはじめとする全国の主要都市、すなわち平和不動産のサポートが得られる地方大都市)にも投資する。
3. 平和不動産の強力なスポンサーシップ
同REITは平和不動産の経験とノウハウを最大限に活用できることが特長であり、大きな強みと言える。平和不動産は東京、大阪、名古屋、福岡の証券取引所ビルを証券取引所に賃貸し、全国各地にオフィスビルを所有するほか、日本橋兜町・茅場町の再活性化及び札幌再開発事業化を推進する再開発事業などのデベロッパー事業も幅広く展開している。
そこで、同REITに対する外部成長サポートとして、平和不動産の保有・開発物件、仲介物件、先行取得物件等の情報ソースを活用できる。実際、スポンサー変更後の物件取得合計は、2021年11月末で49件/979億円であるが、うち平和不動産のサポートによるものは32件/694億円で全体の65%/70%を占めている。また、第三者からの直接取得17件/285億円のうち3件はスポンサー仲介物件である。このように、スポンサーのサポートが同REIT成長の原動力となっていることが実績として示されている。また、内部成長サポートとして、情報の共有化によって稼働率の改善を図ることができる。さらに、財務サポートとして、財務方針、資金調達等にかかる支援や指導を仰ぐこともできる。同REITでは、こうしたサポートを最大限に活用し、着実な成長戦略を推進することによって、投資主価値の最大化を目指している。なお、デベロッパーである平和不動産にとっては、REITの仕組みを活用して資金調達が可能となるメリットが考えられる。
4. 分配金安定化ツールの活用
同REITでは、2021年11月期末に内部留保残高54.1億円、保有物件における税会不一致額64.7億円と、最大118億円の内部留保拡大の余地を有することで、将来の安定的な分配金支払いを可能にしている。すなわち、物件売却に伴い減損損失を計上した際にも、内部留保の取り崩しによって実力ベースの分配金支払いが可能である。また、合併に伴い、受入資産に税会不一致が発生しており、物件譲渡により発生した譲渡益については最大64.7億円の範囲内で税会不一致を活用した内部留保拡大が可能である。一般的に、REITは利益のほとんどすべてを分配金として支払うため内部留保を積むことができないが、同REITは、過去の合併の経緯からこれらを積み上げるツールを有している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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