米CPI上振れならドル買い、50bpの米利上げ観測は再燃しない見通し=来週の外為市場
[東京 4日 ロイター] - 来週の外為市場では、10日に公表される1月米消費者物価指数(CPI)が市場を上回る結果となれば、ドル買い圧力が強まると予想されている。米CPIが上振れても、米連邦準備理事会(FRB)の3月の50ベーシスポイント(bp)利上げにつながる可能性は低いとみられ、ドル買いがどんどん進行するリスクは少なそうだ。
一方、タカ派化した欧州中央銀行(ECB)を手掛かりに、ユーロは堅調地合いが続くとみられている。
予想レンジはドルが114.20━115.80円、ユーロが1.1380―1.1600ドル。
マーケットでは、今晩公表される1月の米雇用統計に関心が寄せられているが、市場関係者からは「雇用統計の結果を受けて、一時的にドル/円が上下動するかもしれないが、それが来週以降の長期的なトレンド形成につながる可能性は低いとみている」(国内信託銀行)との指摘が聞かれた。
米連邦準備理事会(FRB)は、足元の米労働市場について完全雇用に近い状態との認識を示しており、「単月の雇用統計だけで利上げ見通しを変更するまでには至らないのではないか」(同)という。
来週は米CPIが注目されており、市場予想を上回る強い結果となればドル買い圧力が強まるとの予想が示された。
だが、三菱UFJモルガンスタンレー証券のチーフ為替ストラテジスト、植野大作氏は「CPIの結果が強くても、50bpの利上げ期待が再燃するのは難しい。1月以降、株価が大きく崩れてしまったので、さすがに3月の時点で大幅利上げには踏み切らないのではないか」との見方を示す。ドル/円は上昇しても115円後半程度ではないかという。
ユーロは、引き続き堅調な推移が見込まれている。野村証券のチーフ為替ストラテジスト・後藤祐二朗氏は、「市場ではECBの年内の利上げが既に織り込まれており、ユーロの下落余地は小さくなっている」と話す。急ピッチでユーロ買いが進んだため、一時的な調整が入る可能性はあるものの、来週も底堅い展開が続くのではないか、という。
主なスケジュールでは、国内では12月国際収支、2021年10―12月期実質国内総生産(GDP)などが公表される予定。11日は建国記念日のため休場。
海外では、英国で12月月次国内総生産(GDP)、米国で12月貿易収支などが公表予定となっている。