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明日の株式相場に向けて=横殴りの突風に見舞われたソニーG決算プレー

配信日時:2022/02/03 17:00 配信元:MINKABU
 きょう(3日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比292円安の2万7241円と5日ぶり反落。前日にも触れた話だが、日経平均2万7500円から上の水準は、もみ合い期間が長く滞留出来高が多い。これは言い換えれば戻り待ちの売り圧力が強いことを意味している。  年が明けてからの大幅な調整はマーケット関係者の動揺を誘ったが、それも一巡し、とりあえず2万6000円トビ台を一番底とした形だ。その後リバウンドに転じ、日経平均は真空地帯を駆け上がる形となったが、2万8000円となるとハードルはそれなりに高い。前日までのように一本調子には行きにくく、いったんはひと押し入れるところ。そうした需給事情に合わせるかのように、きょうはナスダック100株価指数先物が軟調な推移をみせ、それを横にらみに東京市場でも目先筋の売りがかさんだ。  個別株は決算発表を受けて明暗を分けるものが多くなっているが、例によって好決算でも織り込み済みとみなされた場合は、売りを浴びせられるケースが少なくない。決算プレーはAI売買の土俵であり、人間は参戦しても翻弄されてしまうのがオチである。きょうのメーンイベントは前日引け後に第3四半期決算を開示したソニーグループ<6758.T>の値動きだったが、結果は大きく売り優勢に傾き、一時1000円を超える下げをみせた。  ソニーGの足もとの業績自体は好調で、22年3月期通期の業績予想についても今期3度目となる上方修正を発表、営業利益を従来予想の1兆400億円から1兆2000億円に増額した。同社の営業利益が1兆円大台に乗るのは初めてであり、既に今期の見通しは過去最高利益更新予想にあったが、今回の発表はそこから1600億円も大幅に上乗せされる形となった。事前の市場コンセンサスも大きく上回ったことで、ネガティブ視される要素は全くない。しかし、外部環境的には風向きが悪かった。同社の株価は前日まで4連騰でこの間に1600円以上も上昇しており、上値が重くなっていたところに、きょうはハイテクセクターに横殴りの突風が吹いた。  米国でメタ・プラットフォームズ<FB>が、決算発表を嫌気され時間外取引で急落したことでソニーGはその余波も受ける格好となった。おそらく、今晩の米国株市場ではハイテク系グロース株が利食われ、「メタ・ショック」というワードがメディア上を飛び交うかもしれない。ただし、メタの決算は最終利益こそ減益だったが、トップラインは大幅に伸びている。市場関係者によると「(同社の)利益率の悪化は、アップルがiPhone利用者のプライバシー保護の観点で行ったOS変更がターゲティング広告に逆風となったことが主な背景で、同社固有の問題ではなく、同じように他の企業も影響を受けている。(株価急落は)過剰に反応し過ぎたきらいもある」(中堅証券ストラテジスト)という。ここ数日間、米国株市場ではグロース株への買い戻しが一斉に進み、ナスダック総合株価指数の戻りが急だったこともあって、目先反動が出やすい状況にあった。  日米ともにハイテク主力株にとってカウンターパンチを食らいやすいタイミングであったわけだが、好決算企業は少なくとも決算の冴えない企業と比べれば、押し目買いが成功する可能性が高い。また、今期業績の上方修正発表を素直に好感し、株価を上昇させた後も利食いをこなし頑強な値動きを堅持している銘柄などはマークしておくところだ。例えば、日本特殊陶業<5334.T>やアルプスアルパイン<6770.T>などはそれに該当する。特に特殊陶は業績増額だけではなく、上限100億円の自社株買いも合わせて発表しており、PERの割安さや配当利回りの高さなどを考慮すれば、今のような値動きの荒い東京市場においても、焦って売り急ぐ必要はなさそうだ。  あすのスケジュールでは、3カ月物国庫短期証券の入札、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の21年10~12月期運用実績など。また、ジャスダック市場にセイファート<9213.T>が新規上場する。海外では北京冬季五輪開幕(~20日)、1月の米雇用統計など。国内主要企業の決算ではキッコーマン<2801.T>、イビデン<4062.T>、オリンパス<7733.T>、住友商事<8053.T>、三井物産<8031.T>、NTTデータ<9613.T>などが予定されている。(銀) 出所:MINKABU PRESS

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