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米FRB高官、3月利上げ後の道筋巡り慎重な発言に終始

配信日時:2022/02/01 08:26 配信元:REUTERS

[31日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)当局者らは3月に利上げする構えを明確にしているが、31日の一連の高官発言は利上げ後の道筋について慎重な言い回しに終始した。インフレや新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を巡る先行き不透明感があるため、あらゆる選択肢を残しておきたい意向をにじませた。

米経済が力強く成長し、インフレ率が40年ぶりの高水準を付ける中、4人の高官は異口同音に、金融緩和策からの脱却を開始する時に来ているとの認識を表明。

市場では年内に5─6回、もしくは7回の利上げが必要になるとの観測があるが、4人の高官は今後の引き締めサイクルについて明確な道筋を示すことはしなかった。

サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁はロイターの電話インタビューで「われわれは明確に3月に利上げを行う態勢にある」と指摘。「ただ、その後は経済指標を精査したい。オミクロン(変異株の流行)を通過する必要があるのでそれも確認したい」と述べた。

リッチモンド地区連銀のバーキン総裁はCNBCに対し、「FRBにとってより好ましい立ち位置を確保したい」と説明。「好ましい立ち位置とは明らかに現在よりも中立に近いものになり、(そこに到達する)ペースはインフレのペースに左右される」と述べた。

パウエルFRB議長は先週、当局者らは3月15─16日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを実施すると「想定」していると述べている。

バーキン氏は「製品サプライチェーン(供給網)の問題は時間の経過とともに緩和すると分かっている。これが物価を押し下げるはずだ」と分析。しかし同時に「賃上げによりサービス部門に上昇圧力がかかり」、物価上昇を招きやすくなることも認識していると述べた。

アトランタ地区連銀のボスティック総裁は、ヤフーファイナンスのインタビューで「状況がどう推移するかや、米経済がFRBの最初の動きにどのように反応するかについて、非常に慎重に検証する必要が生じるだろう」との見方を表明。「われわれは特定の軌道に固定されているわけではない。何が起きているのかは経済指標を見れば分かるだろう」と語った。

足元の経済指標はまちまちの内容で、物価上昇圧力はピークを越えた可能性があるものの、インフレ期待はおおむね年末まで固定化されている。

一方、労働市場の回復は先月に鈍化した公算が大きい。1月の雇用統計では非農業部門の雇用者数が15万3000人増と、ここ1年で最も小幅な伸びになると予想されている。

カンザスシティー地区連銀のジョージ総裁は、新型コロナウイルスに起因する不確実性によってFRB当局者が過去と同じようなガイダンス(先行きの指針)を示すことが難しくなっていると指摘。

インディアナのエコノミッククラブが開催したイベントで「予想外の調整で経済を混乱させることには誰も関心を持っていない」と強調。「金融緩和からの脱却に関する決定でFRBは慎重な対応が必要になるだろう」と語った。

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