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アングル:米地銀株、FRB積極利上げ観測が追い風に

配信日時:2022/01/24 12:33 配信元:REUTERS

[ニューヨーク 21日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が今年、積極的に利上げするとの観測が高まったことにより、米地方銀行株に追い風が吹いている。ハイテク株が急落し、投資家は金利上昇局面に強い資産を探しているからだ。

SPDRの上場投資信託(ETF)であるS&P地銀ETFは年初から21日午後までに2%上昇した。この間、S&P総合500種指数は6.6%下落している。

一部の地銀個別株の上昇ぶりはさらに目覚ましく、シチズンズ・ファイナンシャル・グループは年初から8.4%、キーコープは9%近く、それぞれ上昇した。

地銀は収入の大半を純金利マージン(NIM)で稼いでいるため、FRBがインフレ阻止のために積極的に利上げするとの観測は魅力向上につながる。

米景気の拡大と財政刺激策の縮小により、融資の拡大が促されるとの期待もある。ゴールドマン・サックスによると、こうした期待により地銀の2021年の増益率は既に70.1%と、S&P500種のサブセクター126種類中、7番目の高さとなった。

ジェームズ・インベストメントのムスタファ・モウナー氏は「イールドカーブのスティープ化(長短金利差の拡大)でもうけたいなら、地銀株を買うのが一番だ」と語った。

D・A・ダビッドソンのギャリー・テナー氏は、FRBの利上げペースは地銀の収益に直接影響すると指摘。投資銀行事業からも利益を得ている「ユニバーサルバンク」よりも、地銀の方が利上げによる収益への恩恵は大きいと述べた。

投資家は利上げが地銀の業績に好影響を及ぼすとの基本見解で一致しているが、鍵を握るのはそのペースだ。モウナー氏によると、あまりに急ピッチの利上げは経済成長を損ない、ひいては銀行収益も圧迫しかねない。

ただ、これが同氏の基本シナリオだというわけではない。フェデラル・ファンド(FF)金利先物市場は現在、FRBが3月に25ベーシスポイント(bp)の利上げを行うことを完全に織り込むとともに、年内にあと3回の追加利上げを想定している。

急激過ぎる利上げではなく、その方が「良いやり方になるだろう」と米株安が加速してFRBが利上げペースを遅らせるとの観測が広がる場合にも、地銀株の逆風となり得る。ナスダック市場は既に「調整」の領域に入るほど下落している。

GAMCOインベスターズのスティーブ・コメリー氏は「株価に関しては、FRBの利上げ幅とペースを巡る議論が続いている。FRBが消極姿勢に転じるようなら、(地銀株は)これまでのような上昇が続かず減速するかもしれない」と語った。

(David Randall記者)

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