注目トピックス 日本株
ダイコク電 Research Memo(6):厳しい環境が続くなか、主力製品の伸びやMGサービス回復、収益体質改善が寄与
配信日時:2022/01/21 15:06
配信元:FISCO
■決算動向
2. 2022年3月期上期決算の概要
ダイコク電機<6430>の2022年3月期上期決算の業績は、売上高が前年同期比8.5%増の12,047百万円、営業利益が863百万円(前年同期は185百万円の損失)、経常利益が919百万円(同18百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純利益が678百万円(同48百万円の損失)と増収及び大幅な増益となり、コロナ禍の影響等により一時的に損失を計上した前年同期からの黒字転換を実現した。期初予想に対しても、売上高はほぼ計画通りに推移した一方、利益面では大きく上振れる進捗となっている。
パチンコホールにおいては新規出店等の大型設備投資を控える傾向があるものの、パチンコ「新規則」機の好調な稼動と共に、「情報システム事業」の主力製品である「REVOLA」や「VEGASIA」の販売が順調に推移したことが増収に大きく寄与した。一方、「制御システム事業」については、主力の「表示・制御ユニット等」は好調に推移したものの、「部品・その他」が伸び悩んだことで微減収にとどまった。
利益面でも、増収による収益の押し上げやコスト削減により大幅な営業増益を実現し、営業利益率も7.2%とコロナ禍前の水準(2020年3月期上期の7.0%)を上回った。特に、期初予想を大きく上回ったのは、利益率の高い主力製品の伸びに加え、ストック型ビジネスであるMGサービスの回復や全社的なコスト削減への取り組み(働き方の見直しを含めた業務改善や効率化、内製化の推進等)が奏功したためである。一方、研究開発費は前年同期比41.0%減の251百万円と減少しているものの、下期については2023年3月期以降の成長に向けて積極投入する方針のようだ。
財政状態については、仕入計画の見直し等により「商品及び製品」が減少したことや、固定資産の取得計画の先送りや減価償却費の計上などから、総資産が前期末比5.3%減の38,917百万円に縮小した。一方、自己資本は期末配当金の支払いと内部留保の積み増しがほぼ拮抗し、同1.0%増の30,964百万円と微増で推移したことから、自己資本比率は79.6%(前期末は74.6%)に上昇した。また、「現金及び預金」は15,426百万円を確保し、流動比率も342.1%となっていることから、財務の安全性に懸念はない。
事業別の業績は以下のとおりである。
(1) 情報システム事業
売上高は前年同期比12.0%増の9,187百万円、セグメント利益は同149.3%増の1,346百万円と大幅な増収増益となった。商圏分析サービス「Market-SIS」の普及促進やAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」の活用提案を強化し、既存ホールコンピュータからのシステムアップに取り組んでいるが、コロナ禍の長期化等に伴う慎重姿勢に加え、「旧規則」機から「新規則」機への入れ替えが優先されるなかで、パチンコホールの設備投資は新規出店等の大型設備投資を控える状況が続いている。そのような厳しい環境の下でも増収を確保できたのは、パチンコホールの一部をパチスロからパチンコへ変更する小規模工事の増加※1に伴い、情報公開端末「REVOLA」やCRユニット「VEGASIA」の販売が順調に伸びたことが主因である。また、感染症対策及び省人化対策となるPOSシステム「ワンストップセルフカウンター」※2の販売も好調に推移した。利益面でも、利益率の高い主力製品の伸びやサービス売上の底上げによる貢献に加え、ストック型ビジネスであるMGサービスの回復やコスト削減等により大幅な増益を実現し、セグメント利益率も14.7%と高い水準に引き上げることができた。
※1 パチンコ機の稼動状況は、新しいゲーム性を有する「遊タイム」搭載機の普及とともに高い支持を得るヒット機種が出てきた影響もあり、パチスロ機に比べて堅調に推移しており、そのような状況を踏まえた動きと言える。また、2022年1月末を期限とする「新規則」機への入れ替えについても、パチンコ機が80%と順調に進む一方、パチスロ機は58%と出遅れている(2021年9月末時点)。
※2 ホールスタッフを介さず、プリペイドカードの残高精算から賞品交換までをワンストップで実施することができる。
(2) 制御システム事業
売上高は前年同期比1.1%減の2,866百万円、セグメント利益は同702.0%増の265百万円と、微減収ながら大幅な増益を実現した。遊技機市場が徐々に活性化されるなか、主力の「遊技機メーカー向け表示・制御ユニット等」の売上は、パチンコ機向けの販売が好調に推移したことに加え、事業領域の拡大として新たにパチンコ機の受託製造を開始したことにより前年同期を上回ったものの、「部品・その他」の販売が伸び悩んだことで売上高全体では微減収にとどまった。一方、利益面では、期初に実施した大幅な組織再編を通じて、開発管理の強化と業務効率向上によるコスト低減に取り組んだことや、利益率の高い主力製品の伸びにより大幅な増益を実現することができた。
3. 2022年3月期上期の総括
以上から、2022年3月期上期を総括すると、パチンコホールにおける投資意欲は未だ本格化に至っていないものの、「遊タイム」対応機の拡販など徐々に顕在化してきた新たな需要を取り込み、業績の伸びに結び付けた点はもちろん、同社が進めてきた製品・サービス群が潜在的な需要をしっかりと捉えていることを実証できているところは、今後に向けてプラスの材料と言えよう。また、「制御システム事業」の収益体質の改善が進んでいるところも評価すべきポイントとして挙げられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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2. 2022年3月期上期決算の概要
ダイコク電機<6430>の2022年3月期上期決算の業績は、売上高が前年同期比8.5%増の12,047百万円、営業利益が863百万円(前年同期は185百万円の損失)、経常利益が919百万円(同18百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純利益が678百万円(同48百万円の損失)と増収及び大幅な増益となり、コロナ禍の影響等により一時的に損失を計上した前年同期からの黒字転換を実現した。期初予想に対しても、売上高はほぼ計画通りに推移した一方、利益面では大きく上振れる進捗となっている。
パチンコホールにおいては新規出店等の大型設備投資を控える傾向があるものの、パチンコ「新規則」機の好調な稼動と共に、「情報システム事業」の主力製品である「REVOLA」や「VEGASIA」の販売が順調に推移したことが増収に大きく寄与した。一方、「制御システム事業」については、主力の「表示・制御ユニット等」は好調に推移したものの、「部品・その他」が伸び悩んだことで微減収にとどまった。
利益面でも、増収による収益の押し上げやコスト削減により大幅な営業増益を実現し、営業利益率も7.2%とコロナ禍前の水準(2020年3月期上期の7.0%)を上回った。特に、期初予想を大きく上回ったのは、利益率の高い主力製品の伸びに加え、ストック型ビジネスであるMGサービスの回復や全社的なコスト削減への取り組み(働き方の見直しを含めた業務改善や効率化、内製化の推進等)が奏功したためである。一方、研究開発費は前年同期比41.0%減の251百万円と減少しているものの、下期については2023年3月期以降の成長に向けて積極投入する方針のようだ。
財政状態については、仕入計画の見直し等により「商品及び製品」が減少したことや、固定資産の取得計画の先送りや減価償却費の計上などから、総資産が前期末比5.3%減の38,917百万円に縮小した。一方、自己資本は期末配当金の支払いと内部留保の積み増しがほぼ拮抗し、同1.0%増の30,964百万円と微増で推移したことから、自己資本比率は79.6%(前期末は74.6%)に上昇した。また、「現金及び預金」は15,426百万円を確保し、流動比率も342.1%となっていることから、財務の安全性に懸念はない。
事業別の業績は以下のとおりである。
(1) 情報システム事業
売上高は前年同期比12.0%増の9,187百万円、セグメント利益は同149.3%増の1,346百万円と大幅な増収増益となった。商圏分析サービス「Market-SIS」の普及促進やAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」の活用提案を強化し、既存ホールコンピュータからのシステムアップに取り組んでいるが、コロナ禍の長期化等に伴う慎重姿勢に加え、「旧規則」機から「新規則」機への入れ替えが優先されるなかで、パチンコホールの設備投資は新規出店等の大型設備投資を控える状況が続いている。そのような厳しい環境の下でも増収を確保できたのは、パチンコホールの一部をパチスロからパチンコへ変更する小規模工事の増加※1に伴い、情報公開端末「REVOLA」やCRユニット「VEGASIA」の販売が順調に伸びたことが主因である。また、感染症対策及び省人化対策となるPOSシステム「ワンストップセルフカウンター」※2の販売も好調に推移した。利益面でも、利益率の高い主力製品の伸びやサービス売上の底上げによる貢献に加え、ストック型ビジネスであるMGサービスの回復やコスト削減等により大幅な増益を実現し、セグメント利益率も14.7%と高い水準に引き上げることができた。
※1 パチンコ機の稼動状況は、新しいゲーム性を有する「遊タイム」搭載機の普及とともに高い支持を得るヒット機種が出てきた影響もあり、パチスロ機に比べて堅調に推移しており、そのような状況を踏まえた動きと言える。また、2022年1月末を期限とする「新規則」機への入れ替えについても、パチンコ機が80%と順調に進む一方、パチスロ機は58%と出遅れている(2021年9月末時点)。
※2 ホールスタッフを介さず、プリペイドカードの残高精算から賞品交換までをワンストップで実施することができる。
(2) 制御システム事業
売上高は前年同期比1.1%減の2,866百万円、セグメント利益は同702.0%増の265百万円と、微減収ながら大幅な増益を実現した。遊技機市場が徐々に活性化されるなか、主力の「遊技機メーカー向け表示・制御ユニット等」の売上は、パチンコ機向けの販売が好調に推移したことに加え、事業領域の拡大として新たにパチンコ機の受託製造を開始したことにより前年同期を上回ったものの、「部品・その他」の販売が伸び悩んだことで売上高全体では微減収にとどまった。一方、利益面では、期初に実施した大幅な組織再編を通じて、開発管理の強化と業務効率向上によるコスト低減に取り組んだことや、利益率の高い主力製品の伸びにより大幅な増益を実現することができた。
3. 2022年3月期上期の総括
以上から、2022年3月期上期を総括すると、パチンコホールにおける投資意欲は未だ本格化に至っていないものの、「遊タイム」対応機の拡販など徐々に顕在化してきた新たな需要を取り込み、業績の伸びに結び付けた点はもちろん、同社が進めてきた製品・サービス群が潜在的な需要をしっかりと捉えていることを実証できているところは、今後に向けてプラスの材料と言えよう。また、「制御システム事業」の収益体質の改善が進んでいるところも評価すべきポイントとして挙げられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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