Reuters Japan Online Report Business News

経済・物価見通しの上方修正要因増加、物価上振れリスク認識=12月日銀議事要旨

配信日時:2022/01/21 10:27 配信元:REUTERS

[東京 21日 ロイター] - 日銀が21日公表した議事要旨によると、昨年12月16─17日に開いた金融政策決定会合では、経済・物価の見通しを議論する中で、今後は物価が上振れるリスクが相応にあるとの見方が出た。これまで物価は下振れリスクが大きいと判断されてきたが、こうしたリスク評価が妥当か改めて点検する必要性も指摘されていた。

経済・物価の先行きについて委員の1人が、2022年度までを展望すると政府の経済対策や挽回生産の動きなどもあり、上方修正要因も増えてきているとの認識を示した。

1人の委員は、日本では新型コロナウイルス感染症が流行する下でも雇用を維持してきたことから米国のような賃金の急激な上昇が生じるとは考えにくいとしつつ、「先行き、実体経済とともに物価も上振れるリスクが相応にある」との認識を示した。

別の委員は、これまで値上げ許容度の低さや賃金の上がりにくさといった日本固有の事情を念頭に物価は下振れリスクが大きいと判断してきたが、次回展望リポートでは、最近の予想物価上昇率や原材料コストの上昇などを踏まえ、こうした従来のリスク評価が妥当か改めて点検する必要があると述べた。

<コロナ特別プログラムの扱い議論>

日銀は同会合で、「新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラム」について、制度を修正した上で一部延長することを決めた。コマーシャル・ペーパー(CP)・社債等の買入れ増額措置を22年3月で終了する一方、中小企業向けの支援策を同年9月末まで半年間延長した。

会合では複数の委員が、足元までの金融環境の改善を踏まえるとプログラムの一部は所期の役割をおおよそ終えており、終了に向かうべきであるとの認識を示した。委員の1人は、オミクロン株の発生などコロナ感染症を巡る不確実性は引き続き高いため、早めに来年度以降の方針を明らかにすることで中小企業や金融機関に安心感を与えることが望ましいと指摘した。

会合では、特別プログラムの見直しがマネタリーベース等に及ぼす影響についても議論された。ある委員は、20年春以降のマネタリーベース増加は企業等の予備的な流動性需要の高まりに対して日銀が潤沢な資金供給によって応えてきた結果であり、感染症の影響が和らげばマネタリーベースも減少する筋合いにあるとの認識を示した。その上で、マネタリーベースの変動は短期的なものであり、長期的なトレンドでみれば増加基調は維持されるため「オーバーシュート型コミットメントとは矛盾しない」と述べた。

別の委員は、イールドカーブ・コントロールの下ではマネタリーベースは長期金利の目標水準への誘導のための資産購入によって事後的に決まる側面が強いことから、「マネタリーベースの一時的な減少自体には大きな意味はない」との見解を示した。

ニュースカテゴリ