英国、BT出資を18%に引き上げたドライ氏に警告
[ロンドン 14日 ロイター] - 起業家のパトリック・ドライ氏は14日、英通信会社BTグループへの出資比率を18%に引き上げたことを明らかにした。これに対して英国は、同国の重要なファイバーネットワークを構築している通信グループを守るため、必要に応じて介入すると警告した。
BTの筆頭株主であるドライ氏は、借金を重ねてフランスや米国、ポルトガル、イスラエルの資産を購入してきた。ただ、時価総額が166億ポンド(219億ドル)のBTを完全に買収するつもりはないと説明した。
ドライ氏は6月にBT株の12.1%を取得していた。BTの取締役会と建設的に関わってきたが、今後も対話を続けたいと語った。
事情に詳しい人物によるとドライ氏は13日、市場が閉まった後にBTの新会長アダム・クロージア氏に通知した。BTのフィリップ・ジャンセン最高経営責任者(CEO)とクロージア氏は13日、デジタル長官のナディーン・ドリース氏と面談した。
英国の対応と、ドライ氏の声明によって6カ月間は敵対的買収はできないという事実を受け、BTの株価は午後の取引で5.5%安の165ペンスを付けた。
英政府は状況を注視しているとし、報道官は「政府は、デジタルインフラを通じて国のレベルアップに熱心に取り組んでおり、重要な国家通信インフラを保護するために必要であれば躊躇(ちゅうちょ)なく行動する」とコメントした。
BTが200億ドルを投じた全国的なファイバー建設が長期的な利益をもたらすことに成功すれば、ドライ氏は175年の歴史を持つ旧独占企業で、プレミアムを支出せずに支配力を高めて利益を得ることが可能となる。
アナリストらは、ドライ氏がBTのネットワーク部門のオープンリーチを分離し、BTの企業部門と消費者部門に関連するリスクを排除して高いバリュエーションを得るようBTに働き掛ける可能性があるとみている。
BTの小売り部門と光ファイバー導入との関係や約46億ポンドの年金赤字、国家安全保障への配慮などからBTの分割は長年の課題となってきた。
英国は来月、国家安全保障を理由にした買収阻止を阻止できるように対策を強化する。
BTは、ドライ氏が率いる通信事業会社アルティスUKの声明を受けて、全ての株主の利益のために会社を運営し、引き続きそのための戦略に集中するとコメントした。