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アルプス技研 Research Memo(3):2021年12月期上期は稼働人数拡大や稼働工数回復が業績の伸びをけん引
配信日時:2021/09/16 16:03
配信元:FISCO
■業績動向
2021年12月期上期の連結業績は、売上高が前年同期比7.4%増の18,770百万円、営業利益が同3.0%減の1,732百万円、経常利益が同8.2%増の2,314百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同8.8%増の1,552百万円と増収及び営業減益となったものの、経常損益段階では増益を確保した。計画に対しては売上高が若干下回った一方、利益面では上回る進捗となっている。
売上高は、2020年7月に連結化したデジタル・スパイスの上乗せ効果(弊社推定では6億円程度)や新規事業(農業関連分野等)を手掛けるアグリ&ケアの伸びを含めて、グループ各社が増収に大きく寄与した。アルプス技研<4641>単体についても稼働人数の拡大や稼働工数の回復により増収を確保した。一方、契約単価が若干減少したのは、新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)の影響を受け一部技術者(新卒採用者の一部)に対して製造研修を実施したことが主因であるが、新卒採用者の稼働が進むにつれて改善に向かっており、一過性な要因として捉えることができる。損益面では、増収による収益の押し上げに加え、販管費の抑制と、雇用維持を目的とした「雇用調整助成金」の営業外収入が加わったことから、経常損益段階では計画を上回る増益を実現した。
財務的には、現金及び預金の増加などにより総資産が前期末比3.8%増の21,786百万円に増えた一方、自己資本も内部留保の積み増しにより同7.0%増の13,634百万円に増えたことから、自己資本比率は62.6%(前期末は60.7%)に改善した。
(1) アウトソーシングサービス事業
売上高は前年同期比7.5%増の18,311百万円、セグメント利益は同3.0%減の1,675百万円となった。2020年7月に連結化したデジタル・スパイスによる上乗せや新規事業(農業関連分野等)を手掛けるアグリ&ケアの伸びを含めて、グループ各社の伸びが増収に大きく寄与した。同社単体で見ても、コロナ禍の影響を一定程度受けるなかで、稼働人数の拡大や稼働工数の回復により前年同期比1.4%増と増収を確保している。
重視する業績指標(単体)である技術社員数は4,077人(前年同期比100人増)、稼働人数は3,726人(同147人増)と増加したほか、1人当たりの平均稼働工数についても、残業抑制の動きが収まったことから165.0時間(前年同期比3.2時間増)とコロナ禍以前の水準に回復してきた。一方、契約単価が4,027円(同71円減)と減少したのは、コロナ禍の影響を受け、一部技術者(新卒採用者の一部)に対して製造研修を実施したことが主因である。もっとも、新卒採用者※1の稼働が進むにつれて契約単価も改善に向かっており、一過性の要因として捉えることができる。また、半導体関連や電機、医療系など成長分野へのシフト※2を進めるとともに、効果的なコロナ対策の実施や派遣先のウィズコロナ体制の定着も奏功し、総じてコロナ禍の影響は限定的と評価しても良いだろう。
※1 2021年新卒採用者は314名(前年は233名)であった。コロナ禍においてもオンライン採用などにより積極的に採用人数を増やしている。
※2 業種別売上高は半導体関連が20.1%(前年同期は17.1%)、電機関連が7.8%(同7.4%)、医療系が7.0%(同6.6%)とそれぞれ伸びている。
また、グループ会社については、アルプスビジネスサービス及びパナR&Dが伸長したほか、新規事業を手掛けるアグリ&ケアについても、先に立ち上がってきた農業関連分野が、外国人材の受け入れが制限されるなかでも、全国規模で需要が拡大している就農人材の派遣により順調に伸びてきた。
損益面では、技術社員数の拡大(持続的成長に向けた積極採用の実施)や処遇維持によりセグメント減益となっているが、政府からコロナ対策として支給された「雇用調整助成金」を雇用維持のために原価に充当したことから、トータルでは増益を確保したと言える。
(2) グローバル事業
売上高は前年同期比1.9%増の459百万円、セグメント利益は2.8%減の55百万円となった。一部工程案件の検収が延期されたことによる影響を受けたものの、人材サービスが堅調に推移した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<EY>
2021年12月期上期の連結業績は、売上高が前年同期比7.4%増の18,770百万円、営業利益が同3.0%減の1,732百万円、経常利益が同8.2%増の2,314百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同8.8%増の1,552百万円と増収及び営業減益となったものの、経常損益段階では増益を確保した。計画に対しては売上高が若干下回った一方、利益面では上回る進捗となっている。
売上高は、2020年7月に連結化したデジタル・スパイスの上乗せ効果(弊社推定では6億円程度)や新規事業(農業関連分野等)を手掛けるアグリ&ケアの伸びを含めて、グループ各社が増収に大きく寄与した。アルプス技研<4641>単体についても稼働人数の拡大や稼働工数の回復により増収を確保した。一方、契約単価が若干減少したのは、新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)の影響を受け一部技術者(新卒採用者の一部)に対して製造研修を実施したことが主因であるが、新卒採用者の稼働が進むにつれて改善に向かっており、一過性な要因として捉えることができる。損益面では、増収による収益の押し上げに加え、販管費の抑制と、雇用維持を目的とした「雇用調整助成金」の営業外収入が加わったことから、経常損益段階では計画を上回る増益を実現した。
財務的には、現金及び預金の増加などにより総資産が前期末比3.8%増の21,786百万円に増えた一方、自己資本も内部留保の積み増しにより同7.0%増の13,634百万円に増えたことから、自己資本比率は62.6%(前期末は60.7%)に改善した。
(1) アウトソーシングサービス事業
売上高は前年同期比7.5%増の18,311百万円、セグメント利益は同3.0%減の1,675百万円となった。2020年7月に連結化したデジタル・スパイスによる上乗せや新規事業(農業関連分野等)を手掛けるアグリ&ケアの伸びを含めて、グループ各社の伸びが増収に大きく寄与した。同社単体で見ても、コロナ禍の影響を一定程度受けるなかで、稼働人数の拡大や稼働工数の回復により前年同期比1.4%増と増収を確保している。
重視する業績指標(単体)である技術社員数は4,077人(前年同期比100人増)、稼働人数は3,726人(同147人増)と増加したほか、1人当たりの平均稼働工数についても、残業抑制の動きが収まったことから165.0時間(前年同期比3.2時間増)とコロナ禍以前の水準に回復してきた。一方、契約単価が4,027円(同71円減)と減少したのは、コロナ禍の影響を受け、一部技術者(新卒採用者の一部)に対して製造研修を実施したことが主因である。もっとも、新卒採用者※1の稼働が進むにつれて契約単価も改善に向かっており、一過性の要因として捉えることができる。また、半導体関連や電機、医療系など成長分野へのシフト※2を進めるとともに、効果的なコロナ対策の実施や派遣先のウィズコロナ体制の定着も奏功し、総じてコロナ禍の影響は限定的と評価しても良いだろう。
※1 2021年新卒採用者は314名(前年は233名)であった。コロナ禍においてもオンライン採用などにより積極的に採用人数を増やしている。
※2 業種別売上高は半導体関連が20.1%(前年同期は17.1%)、電機関連が7.8%(同7.4%)、医療系が7.0%(同6.6%)とそれぞれ伸びている。
また、グループ会社については、アルプスビジネスサービス及びパナR&Dが伸長したほか、新規事業を手掛けるアグリ&ケアについても、先に立ち上がってきた農業関連分野が、外国人材の受け入れが制限されるなかでも、全国規模で需要が拡大している就農人材の派遣により順調に伸びてきた。
損益面では、技術社員数の拡大(持続的成長に向けた積極採用の実施)や処遇維持によりセグメント減益となっているが、政府からコロナ対策として支給された「雇用調整助成金」を雇用維持のために原価に充当したことから、トータルでは増益を確保したと言える。
(2) グローバル事業
売上高は前年同期比1.9%増の459百万円、セグメント利益は2.8%減の55百万円となった。一部工程案件の検収が延期されたことによる影響を受けたものの、人材サービスが堅調に推移した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<EY>
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