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DIT Research Memo(7):長期ビジョンでは2030年6月期に売上高500億円、営業利益50億円を目指す
配信日時:2021/09/15 15:07
配信元:FISCO
■デジタル・インフォメーション・テクノロジー<3916>の成長戦略
コロナ禍の影響で企業IT投資の一部に抑制・先送りの動きも見られたが、いわゆる「2025年の崖」問題(2018年9月に経済産業省が発表した「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」)では、既存のITシステムの老朽化・肥大化・複雑化・ブラックボックス化などによって、企業の競争力が低下し、2025年以降に最大12兆円/年(2021年6月期比約3倍)の経済損失が発生する可能性が指摘されている。したがって、あらゆる産業で新たなビジネスモデルが求められ、DX変革の流れが加速すると予想される。ソフトウェア開発・情報サービス産業の市場環境は中長期的に良好と言えるだろう。
1. 前中期経営計画の総括
前中期経営計画(2017年6月期~2021年6月期)では、成長戦略として事業基盤の拡大・安定化(幅広い事業領域での安定的な取引の拡大)と、成長要素の強化(自社商品を軸とした新しい価値の提供や、自社商品強化に向けた協業の促進)の2軸で事業を推進した。この結果、経営目標として掲げた「5年以内のトリプル10」(売上高100億円、営業利益10億円、営業利益率10%)を1年前倒しで達成した。
前中期経営目標に対しては、システム販売事業は縮小傾向であるものの、事業基盤の中核であるビジネスソリューション事業及びエンベデッドソリューション事業が着実に伸長し、安定成長に大きく寄与した。また、戦略的取り組みによる増収増益を継続するために、高収益事業・領域へリソースをシフトし、エンドユーザーに近い高収益領域や高収益事業(車載・IoT・インフラ構築・ERP等)を戦略的に拡大した。加えて、適切なリスク管理により、大型プロジェクトの失敗発生の防止につなげたほか、受注プロジェクトの規模拡大に向けて社内カンパニー間の連携を強化した。なお、ニアショア拠点である愛媛カンパニーは黒字体質に転換した。
2. 2030年ビジョン
新たに策定した長期ビジョン「2030年ビジョン」では、スローガンとして「信頼され、選ばれるDITブランドに向かって」を、経営目標「チャレンジ500」として、2030年6月期に売上高500億円(オーガニックグロース300億円以上+新規事業・M&A)、営業利益50億円(オーガニックグロース40億円以上+新規事業・M&A)、配当性向35%以上を掲げた。
また、目標実現に向けたステップとして、2022年6月期~2024年6月期を事業構造改革の推進(次の成長を可能とする会社作り・仕組み作りの推進)、2025年6月期~2027年6月期を成長軌道の実現(事業スタイルを確立させ、事業全般を成長軌道に乗せる)、2028年6月期~2030年6月期をDITブランドの確立(全てのステークホルダーから信頼され、選ばれるDITブランドを確立)を推進する。併せて、これまでの成長を支えてきた「二軸(事業基盤、成長要素)の事業推進」をより強化し、幅広い事業領域の安定的な取引を強みに事業基盤のさらなる拡大と、デジタル変革などの社会変化に対応した新しい価値・サービスの提供を推進する。
3. 新中期経営計画
第1ステージとなる2022年6月期~2024年6月期での取り組みを「新中期経営計画」とし、目標値として2024年6月期に売上高185億円、営業利益25.0億円、営業利益率13.5%などを掲げた。
基本戦略としては、「経営基盤強化」「コア事業の現場力強化」「商品事業の商品力強化」の3つの基本戦略で長期成長の土台を構築することで、2030年に向けて長期成長を可能にする社会作りを目指す。
「経営基盤強化」では、1) 強い企業であるための組織・制度等の仕組み作り(人事制度の刷新、プロジェクト管理の高度化)、2) 社員が働き甲斐をもって仕事ができる環境作り(社内システムの改善、働き方改革の推進、社員満足度向上施策の推進)、3) 会社の財産である社員を増やし育成する人財創り(新卒・中途採用の積極化、教育・研修制度の拡充・体系化、資格取得報酬制度の拡充)を推進することで、現場力/商品力強化を支えてさらなる収益力の向上を目指すとともに、企業として強く成長するためのより健全な循環を生み出していく。
「コア事業の現場力強化」では、1) 各種手法の標準化や知財の整備・活用、人材配置の適正化、2) 市場・技術の変化に早期に対応できる変化対応力の強化、3) 事業ポートフォリオの継続的な適正化、4) 顧客ニーズの深耕及びサービス提案型による顧客ビジネスの価値向上、5) 地方拠点拡大・戦力化の推進及びニアショア機能の強化などを推進する。また、これらの基本方針をもとに、ビジネスソリューション事業、エンベデッドソリューション事業それぞれの施策を掲げている。具体的には、ビジネスソリューション事業では、開発標準化や知財整備・活用による生産性向上と請負案件規模の拡大、既存顧客の深堀とエンドユーザーまたはそれに近い新規顧客の開拓、請負・サービス主体のビジネスモデルに切り替え、全工程をワンストップで受注することなどを掲げている。また、エンベデッドソリューション事業では、自動車メーカー・半導体メーカー等の既存優良顧客との取引シェアアップ、車載関連の量産系開発分野の案件獲得、組込みシステム検証の標準手法を完成させて品質向上と業務拡大につなげる、得意領域であるIoTソリューションの創造と新規顧客開拓などを推進する。
「商品事業の商品力強化」では、1) 既存商品の商品力強化により、大企業顧客を中心に拡販する、2) 得意分野の商品化及び採算化、3) AIによる音声認識やAIOCRなどニューノーマル社会に適合した製品の品揃え充実、4) 時代のニーズに適合する商品開発への継続した取り組みなどを推進する。Webセキュリティソリューション「WebARGUS」ではIoT版「WebARGUS」のビジネスチャンスを窺う。また、Excel業務イノベーションプラットフォーム「xoBlos」では累計導入顧客数700社以上(2021年7月時点で515社)を目指すとともに、電子契約アウトソーシング型サービス「DD-CONNECT」の本格展開も推進する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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コロナ禍の影響で企業IT投資の一部に抑制・先送りの動きも見られたが、いわゆる「2025年の崖」問題(2018年9月に経済産業省が発表した「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」)では、既存のITシステムの老朽化・肥大化・複雑化・ブラックボックス化などによって、企業の競争力が低下し、2025年以降に最大12兆円/年(2021年6月期比約3倍)の経済損失が発生する可能性が指摘されている。したがって、あらゆる産業で新たなビジネスモデルが求められ、DX変革の流れが加速すると予想される。ソフトウェア開発・情報サービス産業の市場環境は中長期的に良好と言えるだろう。
1. 前中期経営計画の総括
前中期経営計画(2017年6月期~2021年6月期)では、成長戦略として事業基盤の拡大・安定化(幅広い事業領域での安定的な取引の拡大)と、成長要素の強化(自社商品を軸とした新しい価値の提供や、自社商品強化に向けた協業の促進)の2軸で事業を推進した。この結果、経営目標として掲げた「5年以内のトリプル10」(売上高100億円、営業利益10億円、営業利益率10%)を1年前倒しで達成した。
前中期経営目標に対しては、システム販売事業は縮小傾向であるものの、事業基盤の中核であるビジネスソリューション事業及びエンベデッドソリューション事業が着実に伸長し、安定成長に大きく寄与した。また、戦略的取り組みによる増収増益を継続するために、高収益事業・領域へリソースをシフトし、エンドユーザーに近い高収益領域や高収益事業(車載・IoT・インフラ構築・ERP等)を戦略的に拡大した。加えて、適切なリスク管理により、大型プロジェクトの失敗発生の防止につなげたほか、受注プロジェクトの規模拡大に向けて社内カンパニー間の連携を強化した。なお、ニアショア拠点である愛媛カンパニーは黒字体質に転換した。
2. 2030年ビジョン
新たに策定した長期ビジョン「2030年ビジョン」では、スローガンとして「信頼され、選ばれるDITブランドに向かって」を、経営目標「チャレンジ500」として、2030年6月期に売上高500億円(オーガニックグロース300億円以上+新規事業・M&A)、営業利益50億円(オーガニックグロース40億円以上+新規事業・M&A)、配当性向35%以上を掲げた。
また、目標実現に向けたステップとして、2022年6月期~2024年6月期を事業構造改革の推進(次の成長を可能とする会社作り・仕組み作りの推進)、2025年6月期~2027年6月期を成長軌道の実現(事業スタイルを確立させ、事業全般を成長軌道に乗せる)、2028年6月期~2030年6月期をDITブランドの確立(全てのステークホルダーから信頼され、選ばれるDITブランドを確立)を推進する。併せて、これまでの成長を支えてきた「二軸(事業基盤、成長要素)の事業推進」をより強化し、幅広い事業領域の安定的な取引を強みに事業基盤のさらなる拡大と、デジタル変革などの社会変化に対応した新しい価値・サービスの提供を推進する。
3. 新中期経営計画
第1ステージとなる2022年6月期~2024年6月期での取り組みを「新中期経営計画」とし、目標値として2024年6月期に売上高185億円、営業利益25.0億円、営業利益率13.5%などを掲げた。
基本戦略としては、「経営基盤強化」「コア事業の現場力強化」「商品事業の商品力強化」の3つの基本戦略で長期成長の土台を構築することで、2030年に向けて長期成長を可能にする社会作りを目指す。
「経営基盤強化」では、1) 強い企業であるための組織・制度等の仕組み作り(人事制度の刷新、プロジェクト管理の高度化)、2) 社員が働き甲斐をもって仕事ができる環境作り(社内システムの改善、働き方改革の推進、社員満足度向上施策の推進)、3) 会社の財産である社員を増やし育成する人財創り(新卒・中途採用の積極化、教育・研修制度の拡充・体系化、資格取得報酬制度の拡充)を推進することで、現場力/商品力強化を支えてさらなる収益力の向上を目指すとともに、企業として強く成長するためのより健全な循環を生み出していく。
「コア事業の現場力強化」では、1) 各種手法の標準化や知財の整備・活用、人材配置の適正化、2) 市場・技術の変化に早期に対応できる変化対応力の強化、3) 事業ポートフォリオの継続的な適正化、4) 顧客ニーズの深耕及びサービス提案型による顧客ビジネスの価値向上、5) 地方拠点拡大・戦力化の推進及びニアショア機能の強化などを推進する。また、これらの基本方針をもとに、ビジネスソリューション事業、エンベデッドソリューション事業それぞれの施策を掲げている。具体的には、ビジネスソリューション事業では、開発標準化や知財整備・活用による生産性向上と請負案件規模の拡大、既存顧客の深堀とエンドユーザーまたはそれに近い新規顧客の開拓、請負・サービス主体のビジネスモデルに切り替え、全工程をワンストップで受注することなどを掲げている。また、エンベデッドソリューション事業では、自動車メーカー・半導体メーカー等の既存優良顧客との取引シェアアップ、車載関連の量産系開発分野の案件獲得、組込みシステム検証の標準手法を完成させて品質向上と業務拡大につなげる、得意領域であるIoTソリューションの創造と新規顧客開拓などを推進する。
「商品事業の商品力強化」では、1) 既存商品の商品力強化により、大企業顧客を中心に拡販する、2) 得意分野の商品化及び採算化、3) AIによる音声認識やAIOCRなどニューノーマル社会に適合した製品の品揃え充実、4) 時代のニーズに適合する商品開発への継続した取り組みなどを推進する。Webセキュリティソリューション「WebARGUS」ではIoT版「WebARGUS」のビジネスチャンスを窺う。また、Excel業務イノベーションプラットフォーム「xoBlos」では累計導入顧客数700社以上(2021年7月時点で515社)を目指すとともに、電子契約アウトソーシング型サービス「DD-CONNECT」の本格展開も推進する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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