株取引にかかる手数料
株取引にかかる手数料はある期間に支払った取引金額の合計に対して生じる場合と、1つの約定が成立するごとに生じる場合があります。また、「現物取引」と「信用取引」という2つの取引方法があり、多くの証券会社ではそれぞれで手数料が異なります。
以下で株取引にかかる手数料や取引方法の種類について詳しく説明します。
手数料の種類
株の売買をする際、証券会社に対して手数料を支払うことになります。手数料には2種類の支払い方法があります。取引が成立するたびに発生する約定ごとの手数料と、定額制の手数料があります。
約定ごとの手数料は、取引のたびに手数料が発生します。取引金額の数パーセントほどだと決められているため、手数料は取引金額に応じて変動します。取引金額が少ない場合、手数料が少なく済むため初心者や小口投資家に向いています。
一方で定額制の手数料は、1日や1か月間の取引金額に応じて金額が決まります。
例えば、1日の取引金額が100万円以下なら手数料は500円、というような1日の定額コースを適用したとします。この場合、その日に何回取引しても合計金額が100万円を超えなければ手数料は500円のままです。
取引回数や金額が多い場合は約定ごとに手数料を支払う場合よりも安くなることがあります。一方、約定の回数や取引金額が少ない場合は、約定ごとに手数料を支払う場合と比較して定額制の方が手数料が高くなることがあります。
定額制 | 約定ごと | |
概要 |
・1日、1か月など一定期間での取引の合計金額に応じて支払う 例)1日の取引金額の合計が100万円以下なら500円、200万円以下なら1,000円 |
・1回の取引が成立するたびに支払う |
向いている人 | ・取引回数の多い人 | ・取引回数の少ない人 ・初心者 |
取引方法の種類
株の取引方法には、「現物取引」と「信用取引」の2種類があります。それぞれの特性を理解し、リスクを適切に管理することが投資家にとって非常に重要です。
取引方法の種類
- 現物取引:現金と株式を受け渡す取引。現金(自己資金のみ)で株式を購入し、保有する株式のうち現物のみを売却することができる。
- 信用取引:証券会社などから資金を借り入れて手持ちの資金以上の株式の売買をする取引。
現物取引は、実際に株式を取引する方法です。株式を買う場合には、現金で購入するか、証券会社の口座にある預り金で購入します。また、売却する場合には、株式を所有していることを証明する株券を証券会社に提出することで売却できます。
信用取引とは、証券会社や銀行などから借り入れた資金を使って、株式や投資信託などの金融商品を購入する取引のことです。つまり、自分の資金だけではなく、借り入れた資金も使って投資することができます。特にFX取引や米国株のような高リスクな商品では、信用取引が多く用いられます。
株価が上昇した場合には購入した株式を売却して、借り入れた株式を返済することで利益が得られます。しかし、株価が下落した場合には、返済する株式の価格が上昇して大きな損失が生じる可能性があります。
現物取引と信用取引とでは基本的に手数料が同じ場合が多いですが、証券会社によっては手数料が異なることがあります。その場合、一般的には信用取引の方がリスクが高いため手数料が若干高くつけられる傾向にあります。
手数料がかかるタイミング
株取引においては注文を出した際ではなく、実際に約定が成立した時点で手数料が発生することに注意が必要です。株価の変動で注文価格と実際に成立する価格が異なることが多く見られますが、この場合、実際に成立した価格を基準に手数料が計算されます。
例えば、100枚の株を1株100円で買う注文を出したとします。しかし、注文価格が変動したため、実際には1株110円で約定することになりました。この場合、約定価格が110円なので、手数料がかかる場合にはこの110円を基準に手数料が計算されます。
このように、手数料は売買を行った際ではなく約定が成立したときにはじめて発生することを留意しておきましょう。
手数料は証券会社ごとに異なる
株を売買する際にかかる取引手数料は証券会社によって違いがあります。ネット証券は対面証券と比べて手数料が安い場合が多く、取引手数料が無料になっているところも増えています。
また、一定の取引回数や取引金額に達すると、手数料が割引になるプランが用意されている場合もあります。例えば、松井証券では、25歳以下であれば国内株の現物取引・信用取引にかかる取引手数料が無料であり、26歳以上でも信用取引は1日50万円までなら手数料は0円です。
また、SBI証券も同様に25歳以下なら現物取引にかかる手数料は無料となるキャンペーンを行っています。
このように、支払方法や取引方法、証券会社によって取引手数料は異なります。また、米国株や日本株など、取引する商品によっても差異があるのが一般的です。手数料やプランの情報は公式サイトに掲載されているため、ネット証券を選ぶ指標の1つとして取引手数料を考慮しましょう。
ネット証券の手数料比較のポイント
本記事では以下の6つのネット証券の手数料を比較します。
比較するネット証券
- 楽天証券
- SBI証券
- 松井証券
- auカブコム証券
- DMM.com証券
- SBIネオトレード証券
また、今回は商品を国内現物株式と信用取引に限定し、それぞれにおいて定額制の場合と1つの約定が成立するときに支払う場合の手数料について比較します。
手数料の比較
- 国内現物取引における定額制の手数料
- 国内現物取引における約定ごとの手数料
- 信用取引における定額制の手数料
- 信用取引における約定ごとの手数料
しかし、ただ手数料の安さを比較するだけでネット証券を選んでしまうと自分の納得のいく取引ができない場合があります。手数料を比較する際には、以下のポイントにも注意しましょう。
比較するポイント
- 扱っている手数料プラン
- 手数料の料金体系
- 特典・キャンペーンの有無
- 手数料以外の注意点
手数料プランが充実しているか
先ほど説明した通り、多くのネット証券においては手数料の支払い方に定額制と、1つの約定が成立するごとに手数料が発生する方式の大きく2つがあります。
取引回数が多い人にとっては定額制を選ぶことで手数料を安く抑えることができる一方で、取引回数が少ない人は、約定ごとに手数料を支払う方式の方が無駄な手数料を支払わずに済む可能性があります。
多くのネット証券では両方の手数料プランを扱っていますが、一方のプランのみを扱っているところもあるため、自分の取引スタイルに合った手数料プランがあるかどうか確認してみてください。
自分の投資スタイルに合った料金体系か
証券取引には、商品の取引単位や金額制限が設けられている場合があります。手数料の金額に対して、取引単位や金額制限が大きい方がお得な場合があります。
例えば、1回の取引金額が1万円未満の場合には手数料を安くしているネット証券もあるため、自分がどの程度の取引金額で取引するかを把握したうえで手数料を比較することが大切です。
また、取引回数によって選ぶべきプランが異なるので、取引金額に加えて取引回数も目安となる数値を決めておきましょう。
特典やキャンペーンがあるか
ネット証券には、新規口座開設や取引金額に応じた特典やキャンペーンがある場合があります。これらの特典やキャンペーンを利用することで、手数料を節約することができる場合があります。
例えば、25歳以下は手数料無料、といったように特定の年齢層を対象としたキャンペーンや、大口優遇といってネット証券が設定する条件を満たした場合に手数料が割引になるプランを実施しているネット証券があります。
自分に適用される特典やキャンペーンがあるとお得に取引することができます。
手数料以外にも注目
手数料以外でも比較すべきポイントはたくさんあります。例えば、取り扱っている商品の数です。
ネット証券ごとに取り扱っている投資商品には違いがあり、株式だけでなく、投資信託や債券、FXなど、自分が投資したい商品を取り扱っているかどうかを確認することが大切です。たとえば、マネックス証券やDMM.com証券は、FX取引や米国株のような特定の商品を強化しており、これらの商品に特化した情報やサービスを提供しています。自分の投資スタイルに合ったネット証券を選びましょう。
また、取引ツールの使いやすさもネット証券を選ぶうえで重要な要素の1つです。取引ツールの使いやすさや機能性、取引画面の見やすさ、情報収集のしやすさなどに着目して自分が使いやすい取引ツールを選ぶことで、取引に必要な時間や手間を省くことができます。
他にも、トラブルの際のサポート体制が確立されていることも確認しておきましょう。電話やメール、チャットなど、どのような方法でサポートしてくれるのか、また、サポートの対応時間帯や対応言語なども確認しましょう。
また、投資情報の質や量、アナリストレポート、リアルタイムの株価情報、市場分析などの情報提供が豊富かどうかを確認することをおすすめします。
このように複数の項目でネット証券同士を比較し、口座開設前に総合的に判断することが重要です。
国内現物取引しているネット証券の手数料比較
ここからは、実際にネット証券6社の手数料を比較していきます。まずは、国内現物取引にかかる手数料の比較です。
国内現物取引においては、1日の取引金額合計に対して手数料を支払う1日定額制と、1約定ごとに支払うプランの2つがあります。
1日定額制
※税込表示
1日定額制の手数料は以上の表のようになっています。定額制の手数料プランはDMM.com証券以外で展開されています。
25歳以下であれば無料プランが適用されるSBI証券か松井証券が良いでしょう。
26歳以上の場合は、100万円以下であれば無料である場合がほとんどなので大差はありませんが、100万円を超える場合はSBIネオトレード証券が1番割安となっています。
約定ごと
※税込表示
1約定ごとに手数料を支払う場合は以上の表のようになります。全体的に見るとSBIネオトレード証券が割安です。
また1回の取引金額が300万円を超える場合は、取引金額にかかわらず880円で一定のDMM.com証券かSBIネオトレード証券が良いでしょう。
楽天証券は超割コース、超割コース(大口優遇)それぞれで楽天ポイントの還元を行っています。それぞれ手数料の1%、2%がポイントバックされるため、楽天会員の方は検討してみてください。
信用取引を扱うネット証券の手数料比較
続いて信用取引にかかる手数料の比較です。
国内現物取引と同様に、信用取引でも多くのネット証券で1日定額制と1約定ごとの手数料プランが展開されています。
1日定額制
※税込表示
国内株の信用取引について、定額制の手数料は以上の表の通りです。信用取引は取引金額が低い場合に手数料が無料であるネット証券が多いことが特徴です。
松井証券は25歳以下なら信用取引の手数料が無料ですが、SBIネオトレード証券は年齢にかかわらず手数料が無料です。
約定ごと
※税込表示
信用取引の1約定ごとの取引手数料は以上の表となっています。
SBI証券、楽天証券、auカブコム証券は大口優遇の有無に違いはありますが、どれも金額に対する手数料の推移が同じになっています。
1日定額制と同様、SBIネオトレード証券の手数料は無料です。手数料の点でいえば、SBIネオトレード証券が最適と言えるでしょう。
手数料が安いネット証券
以上の比較を踏まえ、手数料が安いネット証券を3つご紹介します。
手数料が安いネット証券3選
- 楽天証券
- DMM.com証券
- SBIネオトレード証券
①楽天証券
楽天証券の手数料の特徴は以下の3点です。
特徴
- 手数料の1~2%をポイントバック
- 大口優遇あり
- 複数回少額取引ができる「いちにち定額コ―ス」
楽天証券は他のネット証券と比べて手数料が特別安いわけではありません。
しかし、手数料の1~2%に相当する楽天ポイントが還元されるという特徴があり、楽天会員であれば取引しながらポイントを貯められます。楽天会員の方は手数料の一部を楽天ポイントへと換えてお得に取引ができるでしょう。
また、楽天証券には大口優遇のコースがあります。条件を達成すると3か月間コースが適用され、信用取引の手数料が無料になったり、ポイント還元率が2%に上がったりといった優遇を受けることができます。
さらに、「超割コース」、「超割コース 大口優遇」に加えて「いちにち定額コース」という手数料プランもあります。
こちらは現物取引と信用取引を合算した1日の取引金額合計に対する手数料を支払うことになります。
ポイントバックはありませんが、現物取引と信用取引を少額ずつ1日に何度か行いたい場合におすすめのプランです。
手数料プランは毎営業日変更することができるので、自分の取引スタイルが変わってもそれに合わせてすぐに変更することが可能です。
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参考:楽天証券の手数料一覧
②DMM.com証券
DMM.com証券の手数料の特徴は以下の3点です。
特徴
- 1約定ごとの手数料プランのみだが最低水準
- 信用取引は1回の取引金額が300万円を超えると手数料無料
- 国内現物取引では25歳以下の手数料が無料
DMM.com証券には手数料の定額制はありませんが、1約定ごとの手数料体系は他のネット証券と比べて安い水準となっています。
25歳以下であれば国内現物取引の手数料が実質無料(翌月キャッシュバック)なので、投資を始めたばかりの若者に向いているといえます。
定額制がないため取引回数の多い方には向いていませんが、1度に取引金額が300万円を超えると現物取引では手数料が880円で一定になり、信用取引では無料になるため、一度に取引する金額が大きい場合に利用すると良いでしょう。
また、DMM.com証券は新たに口座を開設すると、国内株の現物取引と信用取引を対象に1か月間取引手数料が無料になるキャンペーンを実施しています。これから株取引を始めようと考えている方はぜひチェックしてみてください。
③SBIネオトレード証券
SBIネオトレード証券は以下の特徴があります。
特徴
- 信用取引の手数料が無料
- 現物取引も「一律プラン」と定額プランの両方で最低水準
SBIネオトレード証券は、信用取引における手数料が無料となっています。
また、国内現物取引においては1約定ごとに手数料が発生する「一律プラン」と、1日の約定代金の合計金額に対して手数料が発生する「定額プラン」の2つのプランがあります。
そして、どちらのプランも他のネット証券と比べて安いため、手数料に気を取られず取引したいという方におすすめです。
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その他のネット証券
手数料が先述した証券会社と比べて安くない傾向にあるものの、魅力的な要素が存在する証券です。①SBI証券
SBI証券の特徴は以下の通りです。
特徴
- 国内最大の取り扱い銘柄
- クレカ積立ができる
- 様々なポイントが貯まる、使える
SBI証券は業界大手の証券口座であり、それゆえに国内最大の取り扱い銘柄数を誇っています。
さらにクレジットカード積立にも対応しており、クレカ積立を行った場合、クレカの利用ポイントに加えて、Tポイント、Vポイント、Pontaポイントなど様々なポイントを二重に貯めることができます。
手数料が高いながらも、ポイントをお得に活用することで実質的な金銭的負担を減らすことができます。
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参考:SBI証券ホームページ
②松井証券
松井証券の特徴は以下の通りです。
特徴
- 投資家をサポートする体制が充実
- 投資に関する情報が豊富
松井証券は初心者から上級者までが必要とする投資に関する情報を提供しています。また初心者でも安心して投資が始められるよう、よくある質問やオペレーターサービスなどが非常に充実しています。
手数料が他社より高いながらも、情報や充実のサポートを買うと思えば、そう高くはないでしょう。
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③auカブコム証券
auカブコム証券の特徴は以下の通りです。
特徴
- Pontaポイントが貯まる
- 特典やキャンペーンがある
- au PAYと連携して便利に利用できる
auカブコム証券では定期的に特典やキャンペーンが開催されており、お得にPontaポイント等を貯めることができます。
さらにau PAYと連携することで、au PAYアプリからファンド概要、投資成績、ポートフォリオなどを確認することができます。
アプリのみでファンド情報を確認し、スムーズに買付発注を行うことができるため、いつでも気軽に投資を行うことができます。
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まとめ:手数料に注意してネット証券を選ぼう
株取引を行う際には手数料を支払わなければなりません。手数料は証券会社によって異なるため、手数料の安さはネット証券を選ぶ際に必要な指標のひとつです。今回の記事を参考にして、各ネット証券の手数料プランを調べてみてください。
しかし、取引商品の豊富さや取引のしやすさなど他にも比較すべき指標もいくつかあり、例を挙げると以下のようなものがあります。
- 手数料
- 取扱商品の豊富さ
- 取引ツールの使いやすさ
- 情報提供の質と量
- サポート体制
手数料を含めた複数の判断材料でネット証券を比較し、自分に合ったネット証券を選びましょう。
よくある質問
Q | 株式の取引方法はどのような種類がありますか? |
A | 株式の取引方法は「現物取引」と「信用取引」の2つがあります。現物取引は自分のお金で株を購入する方法で、信用取引は証券会社や銀行からお金を借りて、株式を購入する方法です。そのため、信用取引は現物取引に比べてリスクの高い方法になります。 詳しくは「取引方法の種類」 |
Q | 現物取引で手数料を抑える方法はありますか? |
A | 例えば、SBI証券や松井証券なら、25歳以下は手数料無料となっています。このように、証券口座によっては手数料が無料となるコースやキャンペーンを提供している所があります。 詳しくは「国内現物取引しているネット証券の手数料比較」 |
Q | 信用取引におすすめの証券口座はありますか? |
A | 「SBIネオトレード証券」では信用取引の手数料が無料となっています。金額やプランに問わず手数料が完全無料となっている点が最大のメリットです。 詳しくは「③SBIネオトレード証券」を参照。 |
Q | 手数料にはどのような種類がありますか? |
A | 取引が発生するたびに手数料がかかる約定ごとと1日や1か月の合計取引金額に応じて手数料がかかる定額制の2種類があります。 ただし、松井証券では約定ごとのプランがなかったり、DMM株では1日定額制のプランがなかったりします。そのため、ネット証券で取引を始める場合、自分の投資スタイルに適した手数料プランを選べる証券口座を開設しましょう。 詳しくは「手数料の種類」 |
Q | 手数料以外でネット証券を比較するポイントはありますか? |
A | 手数料以外では、自分が取引したい商品を証券会社が取り扱っているかが比較のポイントになります。 例えば、FXを取引したい場合、開設したい証券口座でFXの取扱いがあるかチェックしましょう。 詳しくは「手数料以外にも注目」 |
Q | 手数料が安いネット証券について教えてください |
A | 手数料が安いネット証券として、楽天証券、DMM株、SBIネオトレード証券があります。 例えば、楽天証券では手数料の1~2%がポイントとして還元されるメリットがあります。また、DMM株は1約定ごとの手数料が他の証券会社と比較して安く、SBIネオトレード証券は信用取引の手数料が0円といった特徴があります。 詳しくは「手数料が安いネット証券」 |