つみたてNISAの年齢制限は何歳から何歳まで?60・70代まで続く?

投稿日:2022/05/10 最終更新日:2023/10/10
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NISAを始めるにあたって年齢の上限はありません。2023年1月以降から、18歳以上の国内居住者であれば誰でもNISAを始めることができます。

この記事ではつみたてNISAと一般NISAの年齢制限や、高齢者がNISAで資産運用をする際の注意点について解説します。

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この記事の監修者

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菅原良介

株式会社Finatext

証券アナリスト

Finatext サービスディレクター・アナリスト。日本テクニカル協会認定テクニカルアナリスト。早稲田大学 政治経済学部 経済学科卒業。Finatextグループで展開される投資・証券サービスのディレクターを担当する傍ら、アナリストとしても活動。グループで展開するコミュニティ型株取引アプリSTREAM内で開催されるイベントのモデレーターなども務め、国内メディアへの寄稿も行う。

NISAに年齢制限はない

世代別のNISA活用方法も、年金生活世代まできました。60歳以降の世代におけるNISA活用方法について考えてみたいと思います。

【関連記事】現行のつみたてNISAの年齢制限は何歳まで?新NISAになったら変わる?

一般に高齢者は投資をオススメされない世代でしたが、現実として判断力を有し、投資意欲も旺盛な年金世代が増えており、少なくとも60歳代は投資適格世代となってきています。退職金を手にして管理すべき資金も高額になる一方で、20年以上にも及ぶセカンドライフの資産管理を考えればリスク資産の購入も選択肢として必要になってくるからです。

NISAは「20歳以上の国内居住者」(*)が口座開設条件であり、一般NISA・つみたてNISA共に利用できる年齢の上限を設けていません。70際でも80歳でも特に利用の制限が生じないことになります。これは、高齢者にとって大きなメリットです。NISAと異なり、財形年金や確定拠出年金、あるいは会社が提携しているグループ保険等の制度は現役世代しか利用できない仕組みだからです。

財形年金は、給与からの天引きで積み立てを行う貯蓄制度です。制度上5年以上の積立が必要なため、55歳以上では利用できません。確定拠出年金は、公的年金や企業年金と異なり加入者自身が運用を行うものです。60歳までしか加入できないため、60歳以降は運用のみを行い受け取り側に回ります(2014年1月より労使で定めれば65歳まで加入可能になる予定)。

NISAは現役世代、特に所得がまだ高くない層の「初めての投資」の受け皿になることを期待されていますが、年金生活者が利用してはいけないという理由はありません。通常の資産運用と異なり運用益非課税のメリットが得られるわけですから、これを利用することは合理的です。ここでは、年金生活世代にとってのNISA活用方法を考えてみましょう。

※成人年齢の引き下げに伴い、2023年1月以降から口座開設条件は「18歳以上の国内居住者」に変更されます。

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年金生活者のリスク許容度が下がっていることは留意した投資判断を

NISAを活用してどのような資産運用を行うかは、利用者が自由に決めることができます。個別株を買うもよし、ETF(上場投資信託)やREIT(不動産投資信託)で投資するもよし、と選択肢は多様です。

しかし、高いリスクをとることは、高い元本割れの可能性を伴うということを常に留意した投資判断が必要になります。逆にいえば、損失可能性も把握できない投資をしてはいけません。例えば、投資信託を購入する場合は、それがどのような銘柄に投資しているのか等、資料を見て情報収集する必要があります。

仮に国の年金運用や企業年金の運用のようにしっかりした分散投資を行っても、リーマンショックのようなマーケットの世界的急落があった場合には大きな損失を被ることがあります。実際に、リーマンショックの際には年率でマイナス18%程度の元本割れが生じました(企業年金連合会調べ)。個人の資産運用においては、プロより悪い運用結果が生じやすいと考えられるので、マイナス20%あるいはマイナス30%の運用結果になった場合に、セカンドライフのやりくりに致命的支障が生じないか、じっくり考えてみる必要があります。

幸いにして一般NISAの年間投資可能額は120万円、5年で600万円にとどまりますので、無制限に自身の資金をリスクにさらすことにはなりません(2024年から新NISA制度が適用されるようになり、つみたて枠の年間上限が120万円になり、成長投資枠が240万円になります)。

しかし、600万円の投資元本を所有しているとして、仮にマイナス20%の相場急落が直撃すれば、120万円マイナスになることもありえます。NISAは運用益非課税のメリットがあるため、ついつい儲かったときの算段をしてしまいますが、むしろ最悪のケースについても考えてみることが大切です。

年金生活者においては、老後の貴重な生活資金として利用が想定されていたり、また市場の回復を何年も待つ余裕を持ちにくかったりします。つまりリスク許容度の低い資金であることを考慮し、投資額の決定を行うといいでしょう。

NISAの上限を前提とするのではなく、自身の損失可能額を考慮して金額決定をしてください。

【関連記事】つみたてNISAの銘柄のおすすめの組み合わせは?

 

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2024年から夫婦2口座で年間720万円の非課税枠

投資について理解があり、無理のない投資額であれば、夫婦でNISA口座を開設し2口座とすることもできます。2024年以降、新NISA制度が適用されてからは夫婦2口座合計で720万円(つみたて枠120万円・成長投資枠240万円 x 2)の運用益非課税口座が得られます。また、子や孫に生前贈与した額をNISA口座に入金させることも考えられます。生前贈与として子や孫が受け取った資金を、NISAを利用し株式や投資信託で運用すれば、その譲渡益を非課税とすることができるからです。

ただし、本人以外の証券口座での売買については、銀行口座以上に慎重に取り扱う必要があります。借名取引(口座の名義人以外が売買を行うこと)は基本的に禁止されています。また、相続時にも親が管理してる子の口座の場合、生前贈与が認められない可能性があります。開設の際は、口座管理や運用指図(株式・債券等の売買を指示すること)は当人が行うようにしておきましょう(本人同意のもとで積立投資信託の自動買い付けを行う手続きまで手伝うなど、工夫をしてみたいところです)。

NISAと毎月分配型投信の相性は?新NISAで問題が解決される?

ところで、収益分配金を毎月、隔月あるいは四半期ごとに出すような多分配型の投資信託とNISAの相性はどうでしょうか。

投資信託の分配金には「普通分配金」と「特別分配金」があります。普通分配金は運用益から支払われる分配金で、課税対象となります。特別分配金は元本の払い戻しとみなされる分配金で、非課税となります。

一般に分配が多い投資信託の問題点としては、利益が何度も分配されてしまうことで中長期的な資産形成につながらないこと、運用益を分配すると課税対象となるため税負担が生じること、運用が安定していないときに特別分配、つまり運用元本をただ取り崩していく例があること、などがあげられます。

しかし中高齢者において、資産を定期的に取り崩していく手段のひとつとして、分配回数の多い投資信託のニーズは根強く、NISAでこうした投資信託を買ってもいいか、という質問があります。

確かにNISAの場合、毎月分配が行われたとき、税金がかからないため従来のデメリットを気にしなくてもいいといえます。もともと取り崩しを想定している資産であるならば資産の成長はあまり重視されていませんし、特別分配金についてはどちらももともと課税されませんので、特にマイナスになることもありません。

現行の一般NISAには「毎月の受取額が少ない」という問題がありました。一般NISAにおける投資元本は1年あたり120万円に過ぎません。仮に10,000円=1口とし、1口あたり毎月20円が出る投資信託を想定してみます。単年で120万円分の投資をしたところで120口の投資信託しか保有できないため、毎月の受取額は2400円程度です。5年かけてようやく600万円の元本を作っても、毎月受け取れるのは12,000円にしかなりません。

毎月分配型のような投資信託はNISAの上限では生活のプラスアルファにはなりそうにありません。毎月4〜5万円以上の分配金を希望する方の期待には応えられない、というのが現行のNISAの問題点でした。

しかし、2024以降、新NISA制度が適用されるようになり、新NISAではつみたてNISAと一般NISAが併用できるように一本化され、年間投資上限額は合計360万円になります。年間投資上限額の増加と非課税保有期間の恒常化といった変更点は「毎月の受取額が少ない」という問題を解消できると考えられます。自身の投資額と照らし合わせて分配金の金額をシミュレーションしてみましょう。

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健康の不安、判断能力の低下に応じて投資からのクロージングも考えていく

また、年金生活においては、健康の不安や判断能力の低下を受け入れていくことが必要となってきます。リスク資産の運用においては、個人の事情を考慮してマーケットが猶予を与えてくれることはありません。投資を終わらせることも、自分で判断していく必要があります。

もし、価格が日々変動するマーケットに対応できない場合は、リスクが低い投資商品を選択することを検討したり(例えば個別株式ではなく投資信託を保有すると価格変動の幅は抑えられる)、あるいは投資を終了し預貯金を中心とした資産管理に切り替えていくことも必要でしょう。

お金を上手に増やすことは重要ですが、実際の生活の安心と安定こそがセカンドライフの最優先題です。無理をせず、資産運用とつきあっていきたいものです。

まとめ

つみたてNISAと一般NISAには年齢の上限がなく、成人したばかりの方から年金受給者まで、幅広い世代に活用していただけます。本記事では、高齢者がNISAで資産活用をする際の注意点やNISAを活用する方法について紹介しました。投資をする際はご自身の年齢や身体状況に応じてリスクについて考慮し、無理のない投資を心がけましょう。また、本記事でも説明した通り、2024年からNISA制度が改められます。変更点を確認し、NISAを利用した資産形成を検討してみてください。

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よくある質問

Q

つみたてNISAは何歳から?

A

つみたてNISAは18歳から口座開設が可能です。2022年4月1日に成人年齢が引き下げられたことに伴って、2023年からは1月1日時点で18歳以上の人も対象となりました。なお、「2023年1月1日時点で18歳」を満たしていなければならないため、2023年1月2日以降に18歳になる方は口座開設ができません。

詳しくは「NISAに年齢制限はない」を参照

Q

つみたてNISAは60代・70代からでもできる?

A

つみたてNISAは制度上、60代や70代からも始めることができます。ただし、実際に始めるかどうかに関しては慎重に判断するようにしましょう。定年退職後は安定した給与所得がなくなり年金での生活へ入るでしょうから、NISAを始めて運用リスクを負うことで、損失を出しても生活に支障がないかしっかり考えた方が良いでしょう。
またつみたてNISAは、長期投資でより効果を発揮するものです。70代以上になれば「終活」も視野に入りますし、健康についてもきちんと考える必要が出てきますので、自分に長期投資が向いているか冷静に判断することが大切でしょう。

【関連記事】現行のつみたてNISAの年齢制限は何歳まで?新NISAになったら変わる?

Q

つみたてNISAの運用は年齢によって変えるべき?

A

自分の年齢に応じて、つみたてNISAの運用方法も変えていくと良いでしょう。運用に対する考え方は、基本的には「自分がどのくらいの損失まで許容できるか」というリスク許容度に応じて決めます。

原則的には、年齢が低いほどリスク許容度も大きくなりますので、20代など若いうちは積極的に運用すると良いでしょう。30代になり所得・資産が増えれば、やはりリスク許容度も高まるので、さらに積極度を増しても良いかもしれませんが、結婚・出産など家族が増えれば逆にリスク許容度は小さくなるので、生活資金や子どもの養育費も考えつつ運用しましょう。このように、自分の年齢だけでなくライフイベントも考慮し、運用の目標や考え方を見直すと良いです。

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