資産運用したからといって100%資産が増えるわけではない
資産運用とは、株取引やFX、投資信託などの金融商品に投資することで、今の自分が持っている資産を効率的に増やすことです。日本経済は、ゆるやかに物価が上昇しているため、今100万円で買える物が10年後には100万円では買えなくなっている可能性もあります。仮に100万円をタンスに入れて置いたままにすると、将来はその価値が下がってしまう可能性があるため、資産を運用して少しでも増やしておく必要があります。ただし、資産運用で成功すればお金を増やせますが、失敗すれば資産が減る可能性があります。まずは、資産運用におけるリスクとリターンについて確認しましょう。
資産運用のリスクとリターン
資産運用では、高いリターンを求めればその分リスクも高くなります。リターンとは、資産運用によって得られる利益のこと、リスクとは資産運用によって損失が発生する可能性のことです。ハイリターン・ローリスクというケースはなく、リターンが大きくなればなるほどリスクも必ず大きくなる関係があります。資産運用と一言で言っても、「預貯金」「債券」「投資信託」「株式投資」など、複数の種類があります。これらの中で最もローリスク・ローリターンの資産運用は預貯金とされています。預貯金は、元本が保証されているため投資したお金を失う可能性は低いですが、金利が0.001%の銀行に100万円預けても年間で10円の金利しかつきません。
一方で、これらの中で最もハイリスク・ハイリターンの資産運用は株式投資とされています。株式投資は、元本が保証されておらず、投資先の企業が倒産すれば投資したお金が0円になってしまうこともありますが、投資先の企業の急成長によって株価が上昇し、投資したお金が2倍や10倍になることもあります。資産運用では高いリターンを求めれば求めるほど、リスクも大きくなることを覚えておきましょう。初心者のうちはリスクの低い資産運用をすることをおすすめします。
資産運用のリスクって?
前述の通り、資産運用には複数の種類があります。そのため資産運用にはさまざまなリスクが考えられますが、主なリスクは以下の通りです。
・価格変動リスク ・信用リスク ・為替変動リスク ・金利変動リスク ・流動性リスク ・カントリーリスク |
それぞれのリスクについて詳しく見ていきましょう。
価格変動リスク
価格変動リスクとは、投資対象商品の価格が将来上がっているのか下がっているのか不確実なこと、を指します。あくまで「不確実なこと」であって、価格の変動によって「損失が発生する可能性」を直接意味するものではありません。価格変動リスクとは、金融商品価格の変動によって損失が発生する可能性のことです。資産運用のうち、主に株式投資や債券などの投資において生じるリスクです。
価格が変動する要因は種類によって異なります。 例えば、株式投資では株式会社が発行している株に投資するため、その企業の収益の増減や市場の状況などが株価変動の要因です。また、外国の金融商品に関しては為替やその国の情勢が価格変動リスクの要因となることもあります。 このように、金融商品ごとに価格変動リスクが異なるため、それぞれの金融商品の価格変動リスクの要因を把握して、こまめに動向を確認しなければなりません。
信用リスク
信用リスクとは、国や企業が財政難・経営難によってデフォルト(契約時点の条件で借金を返せないこと)に陥ってしまう可能性のことを意味します。最悪の場合、倒産してしまえば、投資したお金はそのまま損失になってしまうこともありますし、そうでなくてもその企業の株や債券の価格は著しく下落するでしょう。
国が倒産するイメージはつきにくいかもしれませんが、実際にアルゼンチンは2001年に財政破綻し、対外債務の支払いを停止するデフォルト宣言を発したこともあります。 企業も、不正やスキャンダルをきっかけとした株価の暴落や、業績悪化により倒産する可能性があります。 国や企業は信用を失うことで経営難や倒産に追い込まれ、元本の毀損や利息が受け取れなくなるリスクがあります。
信用リスクを正しく把握するためには、国または企業の経営状況・財務状況・格付けなどを確認すると良いでしょう。格付けは、日本では東京商工リサーチや帝国データバンク、海外ではDun&BradstreetやMoody’sからのレポートなどから確認できます。
為替変動リスク
為替変動リスクとは、日本円と外貨(ドルやユーロなど)の為替相場の変動が不確実なこと、あるいはその変動によって外貨建て資産(ドルやユーロなどで投資した資産)の価値が上がったり下がったりする可能性があること、を意味します。主に外国の金融商品に投資した場合に生じるリスクです。
外国の金融商品を売って日本円に換金しようと思うと、「外貨と日本円の交換」というステップを踏まなければなりません。ここで為替レートが影響してくるのです。例えば1ドル=100円の時に、1万ドル分の資産を100万円で購入したとします。その後、為替レートが円高に推移し、1ドル=90円になった場合、保有している1万ドル分の資産は、日本円で90万円の価値しかありません。ただし、円安に推移すれば、為替レートによる利益が発生します。このように、外貨建て資産に投資する(外国の資産へ投資する)と、外貨で表した価値が変わらないとしても、為替相場の変動によって、日本円で表したときの価値が下がったり上がったりする可能性が出てくるのです。
外国の金融商品に投資する場合は、為替の変動にも注意が必要でしょう。
金利変動リスク
金利変動リスクとは、金利の変動によって資産(主に債券)の価値が変動する可能性のことです。主に債券に投資した場合のリスクです。金利1%の国債(国が発行する債券)を保有していた場合を例に挙げて具体的に金利変動リスクを確認しましょう。
通常、好景気になると金利は上がっていきます。そこで、この国で新たに発行される国債の金利も上昇し2%になったとしましょう。すると投資家たちは低い金利の国債を売って、高い金利の国債を買おうとするため、過去に発行していた金利1%の国債は価値が下落してしまいます。
一方で、不景気になって金利が下がり、金利0.5%の国債が発行されたときを考えてみましょう。このときは低い金利でお金を借りて、金利1%の国債へ投資する人が増えるため、今持っている金利1%の国債の価値は上がっていきます。
このように、金利と債券価格は「上昇したら下がる」「下落したら上がる」という関係にあるのです。
債券投資をする場合は、市場の金利や中央銀行が操作する「政策金利」、さらには景気動向にも注目した方が良いでしょう。
また、住宅ローンの金利にも金利変動リスクがあります。不動産を変動金利で契約している場合も、金利変動リスクに注意が必要です。
流動性リスク
流動性リスクとは、金融商品を売買したいときにできなかったり、不利な価格で取引せざるを得なくなる可能性のことを指します。
売れなくなる原因はさまざまですが、一例としては自然災害や戦争が挙げられます。また、売買の量が極端に少ないことが原因で取引が成立せず、売れない場合もあります。 特に流動性リスクに注意が必要な投資手法が不動産投資です。なぜなら、不動産は他の金融商品に比べて購入単価が高く、売る相手がすぐに見つけられないためです。また、売る相手が見つかっても現金化を急ぐと買い叩かれる可能性もあります。 このように、流動性リスクの原因はさまざまですが、特に不動産投資をする場合は注意が必要です。
カントリーリスク
カントリーリスクとは、投資先の国・地域の政治・経済状況などの変化を原因に、金融商品の価値が変動する可能性のことをいいます。
例えば、海外(特に新興国)の国債を保有しているとき、財政難などを原因にその国がデフォルトに陥ると、持っている国債は紙くずになってしまうかもしれません。財政難以外にも、戦争や災害などで国が機能しなくなるといったこともカントリーリスクの要因の1つです。
一般的に、財政難に苦しんでいる国や何らかの危機に瀕している国の国債は、金利が高くなる傾向にあります。危険性が高いために、その危険性の分だけ金利を高くしないと買い手がつかないからです(リスク・プレミアムといいます)。これは「ハイリスク・ハイリターン」の関係性そのものといえるでしょう。
このように、外国の金融商品に投資する場合には、その国の情勢を細かく確認してから投資し、投資後も定期的に情勢の確認が必要です。
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資産運用で失敗したら?
前述の通り、資産運用に限らず投資にリスクはつきものです。では、資産運用で失敗したらどのような事態になるのでしょうか。 ここからは、資産運用で失敗したら起こり得る事態を3つご紹介します。
資産が減る
資産運用に失敗すると資産が減ります。なぜ資産運用に失敗すると資産が減るのかというと、資産運用には元本割れのリスクがあるためです。元本割れとは、金融商品の価値が投資した金額よりも低くなることです。資産運用では資産を使って投資するため、元本割れが起きて損失が生じると、当然資産が減ってしまいます。
このように、資産運用には元本割れのリスクがあり、運用を失敗すると資産が減ります。
ストレスがかかる
資産が減るなどの要因で、精神的苦痛を受ける場合があります。資産が減ると誰しもショックを受けます。ストレス耐性は人それぞれ異なるため、ストレス耐性が低いと資産が減ったことによるストレスでうつ病などの精神疾患を発症してしまう可能性があります。特に、短期的な値動きに一喜一憂していると精神的に不安定になりやすく、ストレスを感じてしまいます。 投資は、短期的ではなく長期的に運用することが大切です。目先の値動きに一喜一憂せず、冷静に分析できる精神力を身につけることで、ストレスを軽減できます。
最悪の場合、借金することも
資産運用で失敗すると、最悪の場合借金をしてしまうことがあります。借金をしてしまう主な原因は、損切りするタイミングがわからないためです。損切りとは、保有している金融商品に損失が出ているタイミングで売却して損失を確定させることです。 資産運用では、必ずしも利益が得られるわけではなく時には損失が発生することもあります。
しかし、損切りするタイミングが見分けられず、そのまま保有し続けて損失が大きくなり続ければ、やがて損失を資産で補えないようになり借金しなくてはなりません。 このように、損切りせずに損失が大きくなり続けると、借金してしまうという最悪の事態に陥るリスクもあります。
資産運用に失敗する人の特徴とは?
ここまで、資産運用のリスクと失敗した場合に起こり得る事態をご紹介しました。 資産運用にリスクはつきものですが、資産運用に失敗する人には共通の特徴があります。その特徴は以下の通りです。
・投資金額を決めずに投資を始める ・集中投資してい ・おすすめ商品を言われるがまま購入する ・ハイリスク・ハイリターンな商品を買っている |
ここからは、それぞれの特徴について詳しく解説します。 失敗しやすい特徴を知り、同じような失敗をしないように注意しましょう。
投資金額を決めない
「何となくお金を貯めたいから」などと曖昧な理由で、運用の目標や投資金額を決めずに投資してしまうと失敗しやすいです。なぜなら、明確な運用目標がないと投資先や売却を決めるタイミングの判断基準がないためです。 また、資産運用は今持っている資産を使って投資します。金額を決めずに投資すると、生活費まで投資してしまう場合があります。投資運用は将来の資産を作るものであるにも関わらず、生活費を使ってしまうと現在の生活すらも危うくなります。
このように、投資金額や運用目標を決めずに投資すると投資に失敗しやすいため、必ず投資金額や運用目標を明確にしてから投資を始めましょう。
集中投資してしまう
集中投資も、投資運用で失敗する大きな原因です。集中投資とは、資産運用に投資する資産全てを一つの金融商品に投資する方法です。集中投資すると、その金融商品が万が一損失が出た際の損失が、そのまま損失となります。 資産運用で失敗しないためには、リスクを分散させることが大切です。
リスクを分散させるためには、集中投資ではなく分散投資をしましょう。なお、分散投資については後ほど詳しく解説します。 このように、資産運用での失敗を防ぐためには集中投資は避けるべきです。
おすすめ商品をそのまま買ってしまう
営業マンや専門家の意見をそのまま尊重し、金融商品を買ってしまう行為も資産運用の失敗につながります。なぜなら、専門家や営業マンは資産運用のプロとはいえ、必ずしもその金融商品で利益が得られるとは限らないためです。特に営業マンは、営業マンに都合の良い金融商品を買わせようとしている可能性もあります。 初心者の方はどの金融商品が良いか判断できず、そのままおすすめされた商品を購入することもあるでしょう。
しかし、自分の資金やリスク許容度などを考慮せず、おすすめの商品をそのまま買ってしまうと失敗することが多いです。専門家や営業マンの意見はあくまでも一つの意見として耳を傾け、おすすめしているからといって鵜呑みにせず、最終的には自分が良いと思った金融商品を購入することが大切です。
ハイリスク、ハイリターンな商品を買ってしまう
ハイリターンを求めるとハイリスクになります。このようなハイリスク・ハイリターンな商品を買う人も失敗しやすいといえるでしょう。
何度か述べてきましたが、期待できるリターンが大きい商品は、その分価格が騰落する可能性(リスク)も大きくなります。値動きの激しい商品の扱いはプロでも難しく、初心者ならなおさら、運用に損失が出てしまい、失敗する可能性も高くなるでしょう。
資産運用の初心者なら、ハイリスク・ハイリターンの商品ではなく、ローリスク・ローリターンの商品で中長期的に安定した利益を狙うのがいいかもしれません。
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失敗しないためのコツや注意点
前述の資産運用で失敗する人の特徴を踏まえ、資産運用で失敗しないためのコツや注意点を確認しましょう。 失敗しないための主なコツや注意点は以下の3点です。
・長期投資をする ・分散投資を心がける ・投資する前に適切な投資金額を設定する ・取引のルールを決めておく ・投資する金融商品について調べておく |
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
基本的に長期投資をする
資産運用では、基本的に長期投資の方が失敗する可能性が低いと言えるでしょう。初心者にとっては短期間で大きなリターンを狙うのは難しい一方で、長期投資なら短期的な変動にとらわれず、さらに複利効果も期待できるためです。
複利とは「利子に利子がつくこと」で、資産運用では投資した利益を元本に足して再び運用する投資方法のことを「複利法」と呼びます。
いずれにせよ、初心者にとっては短期投資より長期投資の方が適していることには違いないので、基本的には長期投資を意識しましょう。
【この記事もおすすめ】投資リスクを減らす「長期投資」について徹底解説! |
分散投資を心がける
資産運用では、集中投資ではなく分散投資によってリスクを分散させることで、リターンをより安定させることが可能になります。投資格言の1つに「卵を1つのカゴに盛るな」という言葉があります。複数の卵を1つのカゴで運んでいると、カゴを落としたときに全て割れてしまいますが、いくつかのカゴに分けて運べば、もしカゴを落としても全部割れることはありません。投資の世界でも同じで、分散投資をしておけば一つの商品に損失が出ても、他の商品に利益が出ていれば損失の補填ができるというわけです。
例えば、株式投資だけではなく投資信託や債券も保有する方法や、円だけではなく米ドルや豪ドルの外貨建て商品も保有する方法などがあります。
資産の種類や地域で分散する以外にも、異なる業種へ投資する「銘柄の分散」や積立投資を利用した「時間の分散」なども可能です。
分散投資は、ただ単に投資先を複数にするだけでは意味がありません。値動きが異なる金融商品を組み合わせることがポイントです。
【この記事もおすすめ】投資リスクを減らす「分散投資」について徹底解説! |
適切な投資金額を設定する
資産運用は、余裕資金で行うことが基本です。余裕資金とは、生活費など現在生活していく上で必要な費用以外の資産です。生活費を資産運用に使ってしまうと、損失が出た際に生活ができなくなる危険があります。
また、資産運用で作りたい資産がいくらなのかを明確にし、その上で投資金額を設定することも大切です。 生活費にかかわる費用なども含め、お金の管理を徹底しながら資産運用を行いましょう。
取引のルールを決めておく
資産運用を始める際には、投資金額だけではなく取引のルールを決めておくことも大切です。例えば、「この程度の損失が出たら損切りしよう」など、損切りのタイミングなどをあらかじめ決めておきましょう。損切りのタイミングを決めておけば、損失を増やし続けて借金をするなどの最悪の事態を防げます。 このように、資産運用を適切にかつ冷静に行えるように、あらかじめ自身の取引ルールを決めておきましょう。
金融商品について知っておく
自身が保有していたり気になる商品に対して、どのような商品なのか、どのような銘柄が含まれているのか、どのような会社なのか、しっかり調べておくことも大切でしょう。その投資商品が資産運用の目的と合っていないと効率よく資産を貯蓄できませんし、企業についてきちんと知っておかないと、業績悪化の他にも、取引先企業の倒産、所在国の情勢悪化など思わぬことが原因で損害を被る可能性もあります。
金融商品にはさまざまな種類があります。金融商品の価格だけに目を向けずに、企業の業績や外国の金融商品であればその国の情勢などについても詳しく調べましょう。
まとめ
将来必要な資産を作るために、今のうちから資産運用を始めておくことは非常に有効な手段です。しかし、資産運用に限らず投資にはリスクがつきもので、ハイリスク・ハイリターンまたはローリスク・ローリターンという関係性があります。 将来の資産を作るために資産運用を始めたにも関わらず、資産運用に失敗し、現在必要な資産が無くなって生活ができなくなっては元も子もありません。
資産運用で失敗しないためには、目的を見失わずに自分の身の丈に合った投資をし、資産運用のリスクを知りリスク回避することが大切です。 今回ご紹介した失敗しないためのコツや注意点を踏まえた上で、資産運用を始めましょう。
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