株式を学ぶ (基礎編)

【株式投資】ベストな損切りタイミングは?損失を抑えるための方法と注意点を徹底解説!

最終更新:2022/01/13 14:35

株式投資で損失を抑えるために「損切り」という決済注文があります。初心者の方のなかには、「損切りが何か分からない」「どのタイミングで損切りすればよいか分からない」という方も多いのではないでしょうか。 本記事では、損切りの必要性や損切りのタイミングについて徹底解説します。本記事をみて、株式投資による損失をうまく抑えましょう。

そもそも損切りとは?なぜ必要?

損切りとは、購入した株の価格が低下して含み損(※)が発生したときに、持っている株を売り損失を確定させることです。

株価の下落が進んで損失が大きくなる前に売却することで、損失を最小限に抑えられます。この損切りは、株式投資でリスクを低減するために欠かせない手法です。

とはいえ、「保有していると今後株価が上昇するのでは」という期待が生まれるため、適切なタイミングで損切りに踏み切れない方も少なくありません。次項では、損切りの必要性について解説します。

※含み損:株価が買った時よりも下がっていて、損失を含んでいる状態。

損切りとは

損切りとは

損切りはなぜ必要か

損切りは、「今以上に損失が膨らむことを防ぐため」に必要といえます。含み損が発生しているにもかかわらず、「先になればもっと価値が高まるだろう」と損切りをしないまま株を保有し続けていると、株価の大幅な下落によってさらに損失が大きくなる可能性があります。

このように、株価が下がり続ける株を保有し続けることを「塩漬け」と呼び、株式投資で大きな損失を被るリスクがあります。

株式投資でリスクを回避するには、適切なタイミングで株を売却することが重要です。株価の回復に確証がない場合は、感情的な理由で塩漬けにせず、損切りを実施しましょう。

「塩漬け」にはデメリットが大きい

塩漬けには、損失が大きくなるリスクのほか、他の銘柄へ投資する機会を逃してしまうというデメリットもあります。

たしかに、塩漬けで株価が回復する可能性はあります。しかし、根拠の乏しい状態で一度下がった銘柄の回復を待ち続けるよりも、成長見込みのある成長銘柄へ切り替えて投資し、損失分を回収した方が収益を生む可能性は高いと考えられます。

塩漬けしている期間に損失を拡大させてしまう可能性もあるため、塩漬けで資産をすり減らすよりも、早い段階での損切りをおすすめします。

塩漬け」にはデメリットが大きい

塩漬け」にはデメリットが大きい

損切りは難しい

損切りは心理的な抵抗感を覚えるため、初心者の方には難しい行為とされています。損切りをして株の売却を確定させると、当初購入した金額よりも得られる金額が低くなってしまい、損失が発生してしまいます。

また、人間の特性として、自分に都合が悪い情報、すなわち自分の予測と異なる結果を排除しようとする意識が働きます。この状況下では、冷静な判断ができなくなってしまい、損切りが合理的判断であっても心理的に決断しづらくなることが考えられます。

さらに、「待っていれば、損失が利益に変わるかもしれない」と考えてしまうと、損切りを決断しづらくなります。これは、損失の局面において、現実的な数値に反して株価上昇を期待する「プロスペクト理論」によるものです。具体的な根拠がない場合には、現状の数値を踏まえて損切りを検討することが必要です。なお、プロスペクト理論については後述します。

損切りルールを決めておくことが最も大事

損切りにつきまとう心理的な障害を乗り越える方法の1つが、損切りルールの明確化です。株を購入するときには、損切りをするタイミングを事前に決めておきましょう。

前述の通り、含み損があると分かっていても、なかなか諦められずに損切りの判断を迷ってしまいがちです。損切りする株価のラインを事前に決めておくことで、損切りをしなければいけない局面で、冷静な判断がしやすくなります。損切りのルールには、損切りするタイミング(いつ)・ライン(いくら)を決めておくことがポイントです。

ただし、設定した損切りのルールに少しでも不満があると、重要な局面で迷いやすくなります。損切りのルールは、自分が納得のいくラインに決定することが重要です。損切りルールの決め方については、次項で詳しく解説します。

損切りに最適なタイミング・ラインをいかに決めるか

損切りのルールを決める際に重要になる点が「タイミング」と「株価のライン」です。株式投資のリスクを抑えるためには、感覚や勘による運用を排除して、数値やルールに基づいて損切りを判断していくことがポイントです。紹介する方法以外に自分が納得のいく決め方がある場合は、独自の方法を選んでも構いません。

基本的に自由に設定して構わない

前提として、損切りする株価のラインには決まりがありません。投資額や投資のスタイルによって自由に設定できますが、一般的には「買値の5~10%」の損失が出た場合が目安とされています。

また、テクニカル分析のチャートに表示される「移動平均線」を基準にする方法もあります。移動平均線とは、5日・25日・50日など一定期間の株価の終値から平均値を割り出し、横軸の折れ線グラフにしたものです。この移動平均線を基準として、「現在の株価が割り込んだときに損切りを実施する」などとルール化することが可能です。

ほかにも、取引の期間をあらかじめ設定しておく方法もあります。あらかじめ決めた期間が過ぎたら損切りを実施します。決め方はさまざまですが、どのようなルールを定めるかは個人の自由です。紹介したルールの決め方に囚われる必要はないため、自分が納得できる基準を優先して、独自のルールを構築していくとよいでしょう。

損切りに最適なタイミング

損切りに最適なタイミング

自分の損失可能額を踏まえて決める

損切りのラインを決定する際は、自分が許容できる範囲の「損失可能額」を考慮することがポイントです。損失可能額は、ご自身の貯蓄状況や収入、生活の支出額によって異なります。また、子どもの養育費や老後の準備としていくら必要になるかなど、将来かかるコストも考慮しなければなりません。

損失額が膨れると心に余裕がなくなり、正常な判断ができなくなります。日常生活にも支障をきたす可能性もあるため、損失可能額は精神的な負担が少なく、納得できる金額に設定しましょう。損失可能額を超えた場合に損切りを実施できれば、損失が大きくなることを防げるほか、次の投資へとスムーズに切り替えできます。

その他の決め方

損切りのタイミング・ラインを決める方法として、トレードに対する根拠の有無を判断する方法が挙げられます。銘柄の購入時に株価の上昇が予想されていた場合に、その根拠がなくなったタイミングで損切りすることで、含み損を出す前に利益を確定できます。

加えて、株式を購入して終わりではなく、ポートフォリオの見直し期間を設定して、含み損のある銘柄を売る方法もあります。定期的に含み損がある銘柄を確認することで、余分な損失を抑えることが可能です。定期的にポートフォリオの見直しを実施しましょう。

バッファーの設定

バッファーとは、設定した損切りラインを割ってから、売らずに静観する一定の回復期間です。バッファーを設定しておくことで、損切りの心理的な負担を減らすことが可能です。

たとえば、「買値の3%」を損切りラインとして設定したとします。その後、買値の3%になった際に、3日間様子をみて、回復しない場合は売るといったバッファーを設定します。どのくらいの期間を設定するのかは、自身の判断となります。

通常であれば買値の3%になった時点で損切りを実施しますが、3日間のバッファーを設定することで、「本当に回復の兆しはないのか」冷静に判断することが可能です。一定期間様子を見ることで、心理的な圧力も軽減できるでしょう。

なお、バッファーを設定する際は「絶対損切りライン」の設定が欠かせません。絶対損切りラインとは、設定した待機期間であっても、「買値の何%かに到達した場合には必ず損切りする」といった下限ラインのことです。株価には大暴落のリスクがあるため、少しの待機期間でも損失が想定外に拡大することがあります。余計な損失を防ぐために、2本目の損切りラインを設定しておきましょう。

損切りにおける注意点

損切りのルール以外にも、注意しておく点がいくつかあります。適切なタイミングで損切りを実施できるよう、注意点を把握しておきましょう。また、「逆指値注文」や「ナンピン買い」についても詳しく解説します。

損切りルールは決して破らない

自分で決めた損切りのルールは、決して破らないようにしてください。損切りのラインまで来ているにもかかわらず、「今回だけは」といったようにラインを無視することは避けましょう。

一度ルールを破ってしまうと「この前もルールに反したから」とルールの効力が薄くなってしまい、的確な判断がしづらくなります。設定したルールを破ってしまうと、損切りルールを使った投資は困難です。「適切なルールをいかに遵守できるか」といった感情との戦いになるため、どのような状況でも、最初に設定したルールは決して破らないことを意識しておきましょう。

最初のうちは逆指値注文を使う

逆指値注文とは、株価が指定した額を下回った場合に売り注文を実行する方法です。株価があらかじめ自分で設定した指定額を割ったときに、自動で売り注文が実行される仕組みとなっています。

自己判断で損切りをなかなか決断できない場合や、気づかないうちに損失を拡大させてしまうといった事態を防ぎたい場合に有効です。とくに、株式投資に慣れていない方や、株価の動きを逐一チェックできない方におすすめです。

逆指値注文とは、株価が指定した額を下回った場合に売り注文を実行する。

逆指値注文とは、株価が指定した額を下回った場合に売り注文を実行する。

「ナンピン買い」はしない

ナンピン買いとは、保有銘柄の株価が値下がりした際に、さらに買い増しをして自分の平均購入単価を引き下げる手法です。このナンピン買いは、株価が上昇トレンドのときや、一時的に株価が下落しているときにおいて有効な手法です。

しかし、株価が下落トレンドの場合は、これからさらに損失が拡大する銘柄を買い増すことになりかねません。トレンドを読む経験・知識が乏しい初心者のうちは、ナンピン買いは避けることが望ましいといえます。

「ナンピン買い」はしない

「ナンピン買い」はしない

【この記事もおすすめ】株を売る時のタイミングは?利益確定する見極めポイントについて解説

番外編:プロスペクト理論を知っておこう!

プロスペクト理論とは、不確実な状況での意思決定において「目先の損失を回避する行動」を行うことについて説明した理論です。これは、人がポジティブな感情(利益)よりもネガティブな感情(損失)の方が敏感だということに基づいています。

株式投資に当てはめると、人間は利得局面ではリスクをとりにくく、損失局面ではリスクをとりやすくなるという意味があります。株価の上昇局面では、下落を恐れてすぐ利益確定をする一方で、下落局面では、損失を嫌がることから上昇を期待してなかなか損切りを実施しません。

その結果、利益が小さく、損失が大きくなってしまう可能性があります。株式投資をする際は、このような人間の心理特性を把握しておくことが重要です。株価の下落局目でリスクを取ろうとしているときに、客観的に自分を見つめ直し、冷静な判断ができるようにしましょう。

プロスペクト理論

 

プロスペクト理論

まとめ

損切りは、株式投資による損失の拡大を防ぐために欠かせません。損失の確定には抵抗感を覚えますが、ルールやラインを決めておくことで、適切なタイミングで損切りを実施できるようになります。損切りルールの決め方はさまざまですが、自分が納得できる基準を定めておくことが重要です。また、バッファーを設定しておくことで、心理的な負担を軽くする効果も期待できます。自分に合ったルールを作り、株式投資のリスクを少しでも減らしましょう。

その他の記事を見る

株式初心者入門

something
株式初心者入門
老後資金は平均いくら必要?年金だけでは足りない?いまからでも間に合う資産形成について徹底解説!
2022/04/28 10:13
something
株式初心者入門
【資産運用】資産を効率的に増やすなら貯金・節約・資産運用どの方法がいい?
2022/03/16 16:14
something
株式初心者入門
【資産運用】初心者向け!資産運用を始める時のポイントについて解説 - ゼロから始める資産運用
2022/03/10 17:32
something
株式初心者入門
【資産運用】初心者におすすめの少額投資!ミニ株や積立投資について徹底解説!
2022/03/10 17:18
something
株式初心者入門
【資産運用】今すぐ始めるべき理由とは?初心者におすすめの運用方法をご紹介!
2022/02/25 16:41
something
株式初心者入門
初心者向け!基本的な株の取引方法まとめ -ゼロからはじめる株式投資-
2022/01/10 17:39
株式初心者入門の記事一覧へ

株式を学ぶ (基礎編)

something
株式を学ぶ (基礎編)
日経平均を見て一喜一憂するなかれ
2022/05/09 16:19
something
株式を学ぶ (基礎編)
【第7回】株価はどんな要因で形成されるのか - 株式投資に必要な財務データの読み方
2022/05/09 16:06
something
株式を学ぶ (基礎編)
地価と株価−1−「インフレヘッジになる株」 - 投資の極意〜中東の元ファンドマネージャーが伝授〜(第4回) - 株式
2022/05/09 16:02
something
株式を学ぶ (基礎編)
地価と株価−2−「インフレとデフレ」 - 投資の極意〜中東の元ファンドマネージャーが伝授〜(第5回) - 株式
2022/05/09 16:01
something
株式を学ぶ (基礎編)
地価と株価−3−「株価と地価の相関関係」 - 投資の極意〜中東の元ファンドマネージャーが伝授〜(第6回) - 株式
2022/05/09 16:01
something
株式を学ぶ (基礎編)
外人買いとか外人売りとか。それってナニ?
2022/05/09 15:05
something
株式を学ぶ (基礎編)
テーマ株の特徴は?投資戦略はどう考える?
2022/05/09 14:08
something
株式を学ぶ (基礎編)
マイナス金利、あなたの生活は?そして株価は?
2022/05/09 12:19
something
株式を学ぶ (基礎編)
株にもイロイロありまして
2022/05/09 03:28
something
株式を学ぶ (基礎編)
これから初めて株を買います!必要な心構えや行動は?
2022/05/09 01:45
something
株式を学ぶ (基礎編)
グロース株・バリュー株とは?どちらに投資すればいい?違い・特徴について徹底解説!
2022/02/25 16:38
something
株式を学ぶ (基礎編)
【株式投資】株価の割高・割安ってどう見極めればいい?判断する指標を噛み砕いて解説!
2022/02/01 15:08
株式を学ぶ (基礎編)の記事一覧へ

株式を学ぶ (実践編)

something
株式を学ぶ (実践編)
決算は株価に影響する?決算発表前・発表直後にやるべきことについて解説!
2022/05/16 21:17
something
株式を学ぶ (実践編)
【第8回】株価の推移の確認の仕方と株価の分析指標の本当の意味 - 株式投資に必要な財務データの読み方
2022/05/09 16:06
something
株式を学ぶ (実践編)
【第2回】公的年金が破綻しない理由と破綻しなくても安心できない理由(後編) - 退職・年金ナビ
2022/05/09 15:45
something
株式を学ぶ (実践編)
【第1回】公的年金が破綻しない理由と破綻しなくても安心できない理由(前編) - 退職・年金ナビ
2022/05/08 15:45
something
株式を学ぶ (実践編)
40代から家を買う?ずっと借りる?(1) 〜コストの比較〜【第6回】 - 退職・年金ナビ
2022/03/27 15:44
something
株式を学ぶ (実践編)
会社四季報の活用方法と読み方のポイント
2022/03/25 09:32
something
株式を学ぶ (実践編)
2022年コロナ変異株の日本株式市場への影響は?後半には大きく巻き返せるのか?
2022/03/18 13:28
something
株式を学ぶ (実践編)
株主優待と配当金との違いって?いつまでに買えばもらえるのか?権利取得までわかりやすく解説!
2022/03/16 15:04
something
株式を学ぶ (実践編)
株にかかる税金は高い?株の税金について徹底解説
2022/03/16 13:07
something
株式を学ぶ (実践編)
インカムゲインとキャピタルゲインの違いとは?運用方法や選び方について分かりやすく解説!
2022/03/10 17:31
something
株式を学ぶ (実践編)
日経平均株価とTOPIXの違いは?各指数の特徴とチャートの見方について分かりやすく解説!
2022/03/10 17:30
something
株式を学ぶ (実践編)
自社株買いとは?株価が上がる本当の理由とメリット・デメリットについてわかりやすく解説
2022/03/10 13:27
株式を学ぶ (実践編)の記事一覧へ

資産運用

something
資産運用
今注目の「FIRE」とは?早期リタイアのメリット・デメリットについて徹底解説!
2022/05/17 13:22
something
資産運用
【資産運用】資産運用に失敗する人の特徴とは?失敗しないためのコツや注意点について徹底解説!
2022/05/10 15:52
something
資産運用
【資産運用】初心者が投資を始めやすい資産運用「つみたてNISA」とは?
2022/05/10 12:40
something
資産運用
60代のNISA活用のポイント 〜年金生活に入っても無理なくNISAを活用しよう! - 世代別NISA活用術
2022/05/10 12:34
something
資産運用
NISAを使って老後のお金を貯める方法〜ロールオーバーがポイント!
2022/05/10 11:28
something
資産運用
NISA×DC〜おろせない仕組みとおろせる仕組みをうまく組み合わせる
2022/05/10 08:41
something
資産運用
NISAの概要1(NISAの仕組みと買い方) - NISAの基本のキホン
2022/05/10 08:39
something
資産運用
NISAと税金、手続き - NISAの基本のキホン
2022/05/09 20:56
something
資産運用
【第6回】年金の請求手続き
2022/05/09 16:57
something
資産運用
結婚したら考えるべきライフイベントとお金のやりくり - ライフプラン別資産運用活用術
2022/05/09 16:08
something
資産運用
【第23回】気になる今後の年金改正をチェックするポイント(前編) - 退職・年金ナビ
2022/05/09 15:45
something
資産運用
【第24回】気になる今後の年金改正をチェックするポイント(後編) - 退職・年金ナビ
2022/05/09 15:45
資産運用の記事一覧へ