テクニカル分析の基礎②:移動平均線における「ゴールデンクロス」と「デッドクロス」とは?
菅原 良介
Finatext サービスディレクター・アナリスト。日本テクニカル協会認定テクニカルアナリスト。早稲田大学 政治経済学部 経済学科卒業。
Finatextグループで展開される投資・証券サービスのディレクターを担当する傍ら、アナリストとしても活動。グループで展開するコミュニティ型株取引アプリSTREAM内で開催されるイベントのモデレーターなども務め、国内メディアへの寄稿も行う。
移動平均線とは?
移動平均線とは、一定期間における株価の終値の平均値を線で結んで出来た指標です。よく使われている「5日移動平均線」では、過去5日間における終値の平均値を繋ぎ合わせたものになります。
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取引8日目の5日移動平均、9日目の5日移動平均、10日目の5日移動平均などを繋ぎ合わせた線が、5日移動平均線です。5日移動平均線以外にも、25日と75日移動平均線が頻繁に使われており、それらを併用することで株価トレンドを汲み取ろうとする投資家が多いです。
移動平均線は使いやすさと実用性を兼ね備えており、投資初心者からベテランまで、幅広い層の投資家が愛用しています。具体的に、移動平均線からは株価に関連する3つのことがわかります。
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これらの情報を元に売買のタイミングを見定め、有利な立ち回りをする方法を以下でご紹介します。
移動平均線の種類
短期から中期目線の投資は日足チャートにおける移動平均線を利用することが多いです。基本的には以下の3種類をまず抑えましょう。 ・5日移動平均線 ・25日移動平均線 ・75日移動平均線 この3種類を併用し、移動平均線が交差するタイミングやローソク足との距離などの情報から総合的に判断し、売買タイミングを見定めることが多いです。
中長期目線の投資については、週足における移動平均線を使用する場合もあります。週足で利用する場合は、13週移動平均線と26週移動平均線をまず覚えましょう。
移動平均線の活用方法
移動平均線の活用方法は、「移動平均線とローソク足の位置を見る」と「移動平均線の傾きを見る」の二つがあります。
移動平均線とローソク足の位置からは、買い/売りの勢いを確かめることができます。確認すべきこととして、現在の株価が移動平均線の上にあるのか、それとも下にあるか。一定期間において、株価が移動平均線の上で安定に推移していた場合、買いの勢いが強いと言えます。例えば、株価が一定期間5日移動平均線より上にある場合、短期目線で買われていることが多いと言えます。同じように、一定期間において株価が25日・75日の移動平均線の上にある場合、中長期目線で買われていることが多いと言えます。
しかし、注意すべきこととして、勢いを判断するには一定期間における移動平均線とローソク足の位置を確かめる必要があります。例えば、株価が5日移動平均線の上にあるのは直近の3日間のみである場合、買いの勢いが強いとは言えません。この場合、株価が上昇トレンドに反転する兆しを示している可能性があり、投資判断を下す際にはより慎重になる必要があります。
移動平均線の傾きからは、株価のトレンドを確かめることができます。移動平均線が上に傾いた場合、株価は上昇トレンドにあると言え、下に傾いた場合は下落トレンドにあると言えます。5日・25日・75日移動平均線の傾きからは、それぞれ短期・中期・長期のトレンドを確認できます。
ゴールデンクロスとデッドクロスで売買タイミングを見極める
移動平均線を用いて売買のタイミングを見定めるために最も使われている方法として、「ゴールデンクロス」と「デッドクロス」が挙げられます。「クロス」とは短期移動平均線と中長期移動平均線が交差する瞬間を指し、ポジティブな意味合いを持つゴールデンクロスは買いにつながる交差、ネガティブな意味合いを持つデッドクロスは売りにつながる交差です。2つのクロスの出現頻度は決して低くなく、見やすさという観点からも初心者の方に人気なシグナルの一つです。
ゴールデンクロスとは?
ゴールデンクロスとは、横ばいあるいは上向きの短期移動平均線が長期移動平均線を下から上に突き抜ける交差点のことを指します。ゴールデンクロスは一般的に買いシグナルとして捉えられており、上昇トレンドに突入するヒントの一つです。
ゴールデンクロスの出現頻度は決して低くなく、ほぼ全ての取引入門書に記載される有名なシグナルです。 しかし注意すべき点として、値動きが激しい場合、ゴールデンクロスが頻繁に出現する可能性があり、中には「ダマシ」と言われるような「ニセシグナル」もありますので注意が必要です。「ダマシ」などの注意点については後ほどご説明します。
デッドクロスとは?
デッドクロスはゴールデンクロスとは反対に、短期移動平均線が長期移動平均線を上から下に突き抜ける交差点のことを指します。デッドクロスは一般的に相場が下落に転じる「売りシグナル」として捉えられ、株を所持したままデッドクロスが出現した場合には注意が必要です。
ゴールデンクロスと同様、デッドクロスの出現頻度は決して低くなく、「ダマシ」が現れる可能性も十分ありますので、他の指標と合わせて投資判断を下すことをおすすめします。
移動平均線の注意点
移動平均線が最も多く使われる指標の一つとはいえ、他の指標と同様に注意すべき点があります。絶対的な指標は存在しないことを念頭において、以下の二つの注意点に気をつけましょう。
「ダマシ」の可能性がある
ゴールデンクロスとデッドクロスは認知しやすく、初心者にとっても使い勝手の良いシグナルですが、それらは必ずしも機能するわけではありません。その理由は「ダマシ」が出現する可能性があるからです。
「ダマシ」は「見せかけ」として理解できます。例えば、ゴールデンクロスが出現して相場が上昇すると見せかけて、実際に株価が下落した場合が多々あります。デッドクロスに関しても同様に、出現することによって相場が下落すると見せかけて、実際は株価が上昇した場合もあります。「ダマシ」が出現して相場が予想と逆の方向へ進行した場合、損切りラインを厳しめに設定することをおすすめします。
「ダマシ」に対処する方法の一つとして、移動平均線だけでなく、他の指標と合わせて投資判断をすることが挙げられます。移動平均線と組み合わせて用いられることが多い指標の1つがMACDです。2つ以上の指標が一貫した売買シグナルを表した場合、「ダマシ」が発生する確率が低くなります。
例えば、移動平均線とMACD両方ともゴールデンクロスが出現した場合、「ダマシ」ではなく実際に相場が上昇する可能性も高まります。その一方、移動平均線のみにゴールデンクロスが出現し、MACDに顕著な買いシグナルが現れていない場合、「ダマシ」である可能性も高まります。
移動平均線だけで売買の決断をしない
上述のように、移動平均線を他の指標と組み合わせて使用する方がより良い投資判断が下せます。先ほどは移動平均線とMACDの組み合わせを紹介しましたが、他にもボリンジャーバンドやRSIなどの指標と組み合わせることもでき、自分の投資スタイルに合う一番の組み合わせを試行錯誤しながら試してみると良いでしょう。
まとめ
今回は移動平均線の種類、活用方法、注意点など、さらにはゴールデンクロスとデッドクロスについて紹介しました。テクニカル分析において、移動平均線は最も重要かつ最も使われている指標の一つであり、初心者にとっても使い勝手のいい指標です。
自分の投資スタイルを照らし合わせ、最も効果的な移動平均線の種類を選び、傾きとローソク足の位置を考慮しながら投資判断を下してみてください。また、他の指標と上手く組み合わせることで「ダマシ」を防ぐこともでき、移動平均線の効果を最大限に発揮できるでしょう。
▶テクニカル分析の基礎①:ローソク足とは?覚えておきたい基本パターンをわかりやすく解説!
▶テクニカル分析の基礎③:ボリンジャーバンドの見方・使い方
▶テクニカル分析の基礎④:MACDの見方と使い方
▶テクニカル分析の基礎⑤:RSIの見方と活用方法
監修者:菅原 良介
編集者:K-ZONE money編集部
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