テクニカル分析の基礎⑤:RSIの見方と活用方法

投資をする際は、分析方法を駆使して買い時と売り時を見極める力が必要です。投資における分析方法は複数ありますが、このうち過去の値動きを表したチャートからパターンを分析し、今後の値動きを予測する分析をテクニカル分析といいます。今回は、そんなテクニカル分析の指標の一つであるRSIについて、概要や見方および使い方、注意点を解説します。
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RSIとは?

RSIとは「Relative Strength Index」の頭文字を取った言葉で、相対力指標とも呼ばれています。RSIは、一本のラインで表されており、RSIを見ることで客観的に株価を捉えられ、どこまでが買われすぎまたはどこまでが売れすぎかを判断しやすくなります。1978年にJ.ウェルズワイルダー Jrが発表した指標のため比較的古い指標で、発表直後から現在まで長期間にわたって利用され続けています。

後ほど詳しく解説しますが、RSIは上昇日と下落日を基準に算出します。一般的に、RSIが20%から30%まで下がると売られすぎていると判断でき、70%から80%を超えると買われすぎていると判断できます。

なお、RSIは50%を基準として0%〜100%の範囲内で示します。チャートが上昇局面になるとRSIの数値は50%以上で推移し、チャートが下落局面になるとRSIの数値は50%以下になります。

ただし、すべてのチャートにRSIを活用できるわけではありません。例えば、急落または急騰した場合など相場が一定方向に大きく動くと、RSIが100%または0%と極端な数値になります。このときRSIは、100もしくは0から変動せず横ばい状態になってしまうため、テクニカル指標として活用できません。

なお、RSIと混同されがちなオシレーター指標(※)としてRCIがあります。RCIとは、「Rank Correlation Index」の略称で、順位相関指数とも呼ばれています。端的に説明すると、RCIは、ある期間内の株価の終値に上昇順位をつけて相関関係を指数化することで、上がり始めまたは下がり始めの時期とタイミングを予測するための指標です。

つまり、RSIは株価の「上がりすぎ」または「下がりすぎ」を示す指標であり、RCIは株価の「上がり始め」または「下がり始め」を示す指標です。RSIとRCIは動きが似ているため混同されがちですが、それぞれ異なる指標を示す他計算方法や活用する場面などさまざまな違いがあるため、混同しないようにご注意ください。

そんなRSIの計算式や特徴を詳しく見ていきましょう。

※振り子や振り幅を意味し、相場の強弱を表すテクニカル分析手法

RSIの計算式

RSIは、チャートの数値を使って以下の計算式で求められます。

RSI=A/(A+B)×100

この計算式におけるAは「一定期間における上昇幅の合計」、Bは「一定期間における下落幅の合計」です。株価チャートからAとBをそれぞれ算出した上で、RSIの計算式に当てはめるとRSIが求められます。例えば、上昇日が7、下落日が3の場合は「7/(7+3)×100」と当てはめられるため、RSIは70%と計算できます。

RSIの計算に用いる一定期間とは分析するケースによって異なりますが、ほとんどのケースで14日間です。9日間や12日間と期間を短くする場合や、9週や13週とかなり長期間分析する場合もあります。投資初心者は14日間の上昇幅または下落幅の合計からRSIを求めると良いでしょう。

RSIの特徴

RSIは簡単に計算できるため、投資初心者でも比較的使いやすい指標です。そんなRSIには以下のような特徴があります。

・ボックスの逆張りに強い
・視覚的に使える
・トレンド中は機能しにくい
・通貨や時期によって癖がある

まず、「ボックス相場」とは市場にトレンドがなく、ある程度決まっている上限と下限の価格の間で、株価が上下しているチャートのことです。よく目にすることの多いトレンド相場とは逆の性質があります。

RSIにはボックスの逆張りに強いという大きな特徴があります。ボックス相場では、RSIの数値を正確に算出しやすく、RSIを参考にすることで小さな利益を繰り返し狙えます。特に、ボックス相場が使われることの多い為替相場では、ボックス相場に強いRSIが活躍するでしょう。

また、「逆張り」とは相場の動きに逆らって売買することです。例えば、下落が続いている銘柄に対し、「これ以上下落することはないだろう」と予測して購入することを逆張りといいます。

次に、視覚的に使えるという特徴もあります。RSIでは、RSIが買われすぎまたは売れすぎのラインに近づくと、相場が反転しやすいです。そのため30%以下では買い、70%以上では売りと判断しやすく、視覚的に買うタイミングまたは売るタイミングを判断できます。

ただし、RSIのラインに近づいたからといって必ずしもチャートが反転するとは限りません。あくまでも一つの指標とし、RSIだけを信用して売買することは避けましょう。

次に、トレンド中は機能しにくいという特徴もあります。チャートのトレンド中はRSIが50%前後になります。RSIが50%前後にある時(チャートがトレンド中)は小幅なもみ合いが続き、その後の相場の動きを予想しづらいです。

このように、RSIはトレンド中のチャートに対しては機能しにくいというデメリットもあります。RSIを使える適切なタイミングを把握しておくことで、RSIを最大限に活用できます。

最後に、FXでRSIを用いる場合、通貨や時期によって癖があるという点もRSIの特徴です。例えば、ある通貨では80以上が売りシグナルで20以下が買いシグナルであるのに対し、他の通貨では60以上が売りシグナルで40以下が買いシグナルであるというケースも少なくありません。

このように、RSIは通貨や時期によって売りシグナルや買いシグナルが大きく異なるため、その通貨や時期の過去の傾向を把握しておくことが重要です。

RSIの見方・使い方

RSIの計算式や特徴を把握したところで、ここからはRSIの見方や使い方についてさらに詳しく見ていきましょう。

ここからは、RSIの売買シグナルとトレンド判断について解説します。

売買シグナル

RSIにおいて、買われすぎていることを「買いシグナル」、売られすぎていることを「売りシグナル」といいます。

先ほどご紹介した通り、RSIはトレンド中のチャートに使用することはほとんどなく、主にチャートが過熱した後に反転するタイミングを分析する際に使用します。例えば、RSIが30を下回るほど売りが加熱すると反発し(売りシグナル)、RSIが30を上回るようになると買い戻しが増えやすくなります(買いシグナル)。逆に、RSIが70を上回るほど買いが加熱すると反発し(買いシグナル)、RSIが70を下回ると売り戻しが増えやすいです(売りシグナル)。

このように、前述の計算式で求められるRSIを基準として反転するタイミングを分析します。

ただし、RSIによって必ずしも反転するタイミングが判明するわけではありません。RSIはあくまでも一つの指標であり、反転の値動きが長く続くことが保証されることではないことを念頭においておきましょう。

トレンド判断

RSIは、ダイバージェンスから相場を分析できます。ダイバージェンスとは逆行現象という意味の言葉で、チャートは上昇しているにも関わらず、オシレーター系のテクニカル指標は下落している状態のことです。オシレーター系のテクニカル指標とは、「買われすぎ」または「売られすぎ」の状況を数値で表すテクニカル指標の総称です。なお、ダイバージェンスと似た言葉に「リバーサル」がありますが、ダイバージェンスは逆張りを狙うために活用され、リバーサルは順張りを狙うために活用されるという違いがあります。つまり、ボックス相場の逆張りに有効活用できるRSIは、リバーサルではなくダイバージェンスを活用します。

例えば、価格が新高値を記録している状態のチャートに対し、RSIが高値を更新できていない場合をRSIのダイバージェンスと呼びます。ダイバージェンスの発生後は相場の転換点となることが多いことから、RSIはダイバージェンスから相場分析できます。

なお、多くのケースでRSIのダイバージェンスは、株価の下落の勢いが落ち着いたタイミングで発生します。ダイバージェンスが確認できてから株価が反発して上昇転換するまでに要する時間はさまざまで、中には時間がかかる場合もありますが、ダイバージェンスは買いシグナルとして判断できるでしょう。

また、RSIは買われすぎや売られすぎの基準を示す指標としてだけではなく、中間地点である50%ラインを基準としてトレンドの持続性を示す指標としても活用できます。例えば、RSIが50%を上回っている状態にある時は上昇トレード、RSIが50%を下回っている状態にある時は下落トレードと判断できます。

投資初心者は、チャートの推移だけでは上昇トレードであるか、下落トレードであるか判断しにくい場合もあるでしょう。このような場合は、RSIを使って上昇トレードか下落トレードかを判断すると良いでしょう。

RSIの注意点

RSIは、チャート分析における一つの指標として活用でき、特に逆張りしたい場合に有効です。しかし、RSIを使う際には、以下の2点に注意が必要です。

・ダマシの可能性がある 
・他の指標と合わせて利用しなければならない

ここからは、それぞれの注意点について詳しく解説します。

ダマシの可能性がある

チャートがRSI分析とは異なる動きになることを「ダマシ」と呼びます。前述の通り、RSIはあくまでも一つの指標で、RSI分析して指標に沿って売買したとしても100%利益が得られるとは限りません。そのため、RSI分析によって得られた情報ばかりに注視してトレードに固執してしまうと、連敗が続いて大きな損失となる危険性があります。RSIは一つの指標として捉え、特に売買の決断を下す際はRSI分析によるチャートの反転ばかりに固執しないように注意しましょう。

他の指標と合わせて利用する

RSIは、単体で活用せずに他の指標と合わせて利用するようにしましょう。なぜなら、他の指標とRSIを併用することでダマシに遭うリスクを下げられるからです。RSIと併用できる指標としてMACDボリンジャーバンドが挙げられます。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

まず、MACDとは「Moving Average Convergence Divergence」の略称で、移動平均収束拡散手法と呼ばれています。MACDは、テクニカル分析の一つで、移動平均線を応用して相場を分析します。

MACDでは、移動平均の差を1本のラインで表す「MACDライン」と、MACDラインをさらに一定期間に絞って平均した「シグナルライン」の2本のラインを使って相場を読みます。

基本的には、MACDラインがシグナルラインを下から上に突き上げたタイミングが買い、MACDラインがシグナルラインを上から下に突き抜けたタイミングが売りです。

MACDとRSIを組み合わせて利用することで、無駄なエントリーを減らすことができ、より利益が得られる可能性が高くなります。例えば、RSIでは売られすぎのサインが出ているものの、価格は下落しているチャートがあります。このタイミングでRSIだけに注目して買ってしまうと、価格は下落しているため損失が発生します。そこで、MACDとRSIを組み合わせて買いのサインのタイミングで買うことで、利益が得られる確率を高められます。

RSIは、ボリンジャーバンドと組み合わせて利用することもできます。ボリンジャーバンド(Bollinger bands)とは移動平均線と、移動平均線の上下2本ずつの標準偏差の計5本の線で表わされたテクニカルチャートのことで、米国の投資家であるジョン・ボリンジャーによって考案されました。

ボリンジャーバンドの売買シグナルの一例としては、高値側の標準偏差ラインに対してローソク足が近付けば売りのタイミング、安値側の標準偏差ラインに対してローソク足が近付けば買いのタイミングと判断できます。また、ボリンジャーバンドの上下ラインの幅の変化は、株価予想としても使われるなど汎用性が高いテクニカルチャートです。

ボリンジャーバンドとRSIを組み合わせて使う方法は複数あります。その中で特によく使われる方法は、メインチャートにボリンジャーバンドを、サブチャートにRSIを表示する方法です。例えば、ボリンジャーバンドは±σ2に近づいており、RSIも売られすぎまたは買われすぎの水準に達しているタイミングは、どちらも売られすぎまたは買われすぎのタイミングであると判断でき、逆張りサインであることがわかります。2つの指標で同時に売られすぎまたは買われすぎとでているということは、RSIのみのサインよりも正確性が高くなるため、その分利益が生まれる確率が高くなります。このように、ボリンジャーバンドとRSIを組み合わせる方法も、MACDとの組み合わせ同様、ダマシに遭う確率を下げて利益を効率よく得やすくなります。

なお、RSI単体で使うよりも他の指標と組み合わせた方が、利益を得られる確率は高くなりますが、必ずしも利益が得られるというわけではありません。あくまでも利益が得られる確率が高くなるためのものということを理解した上で、MACDやボリンジャーバンドとRSIを組み合わせてみましょう。

まとめ

投資にはさまざまな分析方法がありますが、代表的な分析方法として用いられることが多いテクニカル分析のうち、初心者でも用いやすい指標がRSI(相対力指標)です。なぜなら、RSIの計算式は単純で、簡単に求められて視覚的に表せるからです。

しかし、RSIはチャートの動きを正確に分析できるとは限らず、RSIに固執しすぎると小さな損失が重なり、やがて大きな損失となる危険性があります。そのため、MACDやボリンジャーバンドなど他の指標についての知識も深め、他の指標と組み合わせることで損失のリスクを減らすことが重要です。

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