つみたてNISAは、2023年以降18歳以上の方であれば利用できる制度です。長期投資の観点から、早いタイミングから利用するほうがメリットが大きく、実際に20代や30代の若い世代ほど、つみたてNISAを利用している割合が多くなっています。
この記事ではつみたてNISAの年代別の運用や高齢者の運用の注意点、さらに2024年以降に始まる新しいNISA制度のつみたて投資枠についても簡単に解説します。
つみたてNISAの年齢制限は18歳以上
つみたてNISAを含むNISA制度は2023年以降1月1日以降は18歳以上であれば利用可能になります。(2022年までは20歳以上でしたが、成人年齢引き下げに伴い変更されました)
2024年以降、NISA制度は大幅に拡充予定ですが、利用できる年齢は引き続き18歳以上となりそうです。
※新しいNISA制度は関連法案の可決を経て成立する見込みですので、正確な情報を待ちましょう。
つみたてNISAは何歳まで?
つみたてNISAは18歳以上から利用でき、年齢の上限はありません。注意が必要なのは口座開設する年の1月1日時点で18歳以上なので、仮に2023年の途中に18歳になる人は利用できません。
2023年までの旧NISA利用は、2024年からの新NISA利用とは別枠になる見込みですので、まだNISAを利用していない人は利用しておくことをおすすめします。
つみたてNISA | 一般NISA | |
利用可能者 | 18歳以上(口座開設する年の1月1日時点) | |
制度利用期限 | 2024年以降新規買付不可 | |
制度の併用 | 不可 | |
年間非課税投資枠 | 40万円 | 120万円 |
非課税期間 | 20年 | 5年 |
投資商品 | 条件を満たした投資信託 | 株式・投資信託など |
ロールオーバー | 不可 | 可 |
新NISAになっても年齢制限は変わらない
2024年以降の新しいNISAでも利用開始年齢など、年齢に関する制限は変わらない見込みとなっています。ただし、投資枠の拡充や制度の併用など、これまでにない大きな制度変更になりそうです。
つみたて投資枠(つみたてNISA) | 成長投資枠(一般NISA) | |
利用可能者 | 18歳以上(口座開設する年の1月1日時点) | |
制度利用期限 | 制度恒久化 | |
制度の併用 | 可能(内訳の上限あり0 | |
生涯非課税限度額 | 1,800万円(簿価ベース) ※成長投資枠の上限は内数で1,200万円 |
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年間非課税投資枠 | 120万 | 240万 |
非課税期間 | 無制限限 | |
投資商品 | つみたてNISAと同様 | 一般NISAと同様 |
ロールオーバー | 不要(非課税期間が無期限の為) ※旧制度からのロールオーバーは不可 |
大きな変更は以下のような点です。
- 制度の併用が可能になった
- 利用可能限度額が年間の管理だけでなく、生涯非課税限度枠でも管理されるようになった
- 年間非課税投資枠が大幅に拡充され、非課税期間が無期限になった
最も大きな点は制度が併用できるようになった事です。これによりつみたて投資をしながら、個別株にもNISAを利用できるようになりました。
また、年間非課税投資枠が大きくなったのと同時に生涯非課税限度額でも管理されるようになっています。つまり、今までのNISA制度では、(つみたて)NISA枠で購入した商品を売却した場合、非課税投資枠は復活しませんでしたが、新しいNISAでは非課税投資枠が復活すると考えられています。
非課税投資枠が復活することと、年間の非課税投資枠が大きくなったことで柔軟な投資戦略が行えるメリットがあります。
また、非課税期間が無期限になったため、ロールオーバーの考え方がなくなります。旧制度からはロールオーバー不可のようです。
旧NISA制度と新NISA制度では非課税枠が別扱いになるようですので、まだNISAを利用していないひとは2023年のNISA枠を利用したほうがお得です。新しい制度の1800万円分プラス、120万円のNISA枠を利用することができます。(非課税投資枠が大きいため、2023年にどちらかを申し込むなら一般NISAのほうがおすすめです)
20代〜50代のつみたてNISA運用方法
若い世代の場合、その分だけ投資できる期間も長くなります。投資で重要なのは「複利」の効果を活かして資産形成のスピードをあげることです。
そのため、20代や30代といった若い世代では、リスクを抑えつつ長期で投資するためにつみたてNISA(つみたて投資枠)を利用して長期の資産形成をするのがおすすめです。
比較的資産が多くなってくる40代以降や、ある程度投資の経験がある人は一般NISA(成長投資枠)でリターンを狙う投資も検討してみましょう。
新しいNISAでは2つの制度の併用も可能なので、つみたて投資枠(つみたてNISA)と成長投資枠(一般NISA)をうまく組み合わせて投資するのが重要になります。
20代〜30代のつみたてNISAの活用方法
20代〜30代の世代では、長期投資で複利の効果を活かすのが効果的です。そのためにはつみたてNISA(つみたて投資枠)を利用するのがおすすめです。
実際に現在のNISA制度では、若い世代ほどつみたてNISAを利用している割合が多くなっており、NISAやiDeCoといった国の政策もあって長期投資が浸透しつつある結果といえるかもしれません。
年代 | つみたてNISA | 一般NISA | NISA口座のうち、 つみたてNISAの割合 |
20代 | 125万3195口座 | 40万5266口座 | 75.6% |
30代 | 183万9965口座 | 106万3284口座 | 63.4% |
40代 | 158万4079口座 | 158万8324口座 | 49.9% |
50代 | 107万3409口座 | 190万9973口座 | 36.0% |
60代 | 63万4510口座 | 567万9044口座 | 10.0% |
70代 | 638万5158口座 | 1064万5891口座 | 37.5% |
参考:金融庁 NISA特設ウェブサイト「NISA・ジュニアNISA利用状況調査」
つみたてNISA(つみたて投資枠でも同様)の場合、金融庁に届けられている一定の投資信託が投資対象商品となります。その中でも投資する商品を選ぶときのポイントは以下の2つです。
- 信託報酬手数料が安いこと
- 今後成長の期待できること
つみたてNISA投資対象銘柄はノーロード(購入時の手数料がない商品)なので、基本的には保有期間中常に発生する信託報酬手数料が低い銘柄を選ぶことが重要です。
投資信託の基準価額は純資産総額から計算しますが、純資産総額は信託報酬などのコストが引かれた金額です。つまり、信託報酬手数料率が高い商品は基準価額が上がりにくいことを意味しています。つみたてNISAではキャピタルゲイン(基準価額の上昇)を狙うことになるので、信託報酬手数料率が低い商品を選ぶことが重要なことが理解できると思います。
参考:日本証券業協会 「基準価額(きじゅんかがく)」
今後の成長ができる銘柄を選ぶには、やはり海外(特に米国)の株式を組み入れている銘柄を選ぶことが重要になってきます。投資信託は市場全体に連動する銘柄(パッシブ運用といいます)を選ぶことが多いのですが、市場全体の成長は、この30年間の成績でみると日本よりも米国のほうが優れています。米国は人口増加が今後も進むと考えられており、今後の成長が期待できる投資先の1つです。
とはいえ、常に米国への投資が最善というわけではありません。特に2023年には米国でもリセッション(景気後退)の懸念も高まってきています。投資先も分散させることでリスクを減らすことが重要になります。
40代〜50代のつみたてNISAの活用方法
40代〜50代でつみたてNISAを利用する場合でも若い世代でつみたてNISAを利用するときと戦略は変わりません。信託報酬手数料などのコストが低く、今後成長できる銘柄を選びます。
新しいNISA制度では、生涯非課税限度1,800万円のうち、1,200万円まで成長投資枠(一般NISA)で利用できることになりそうです。つみたて投資枠(つみたてNISA)と併用しつつ、成長投資枠(一般NISA)の投資割合を増やしていくのも検討してみて下さい。
もちろん、つみたて投資枠(つみたてNISA)に集中して投資するのも悪い投資戦略ではありません。
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60代〜70代からでもつみたてNISAを始めるべき?
60代以降の高齢者世代になってきた場合、そこからつみたてNISAを始めるべきかは人によります。まず、投資資金とは別に十分な生活資金を用意するようにしましょう。十分な資金がある場合、それでも投資する必要があるのかも考えてからつみたてNISAへの投資を始めてください。
60代〜70代のつみたてNISAの活用方法
齢者世代になるほど、慎重に運用するように心がけるようにします。大前提として(つみたて)NISA制度を利用しても、損失が出る可能性があります。仮に損失が発生しても生活に問題がない割合で投資しましょう。
そのうえで投資をする場合、つみたてNISAは比較的リスクが低い商品がそろっているのでおすすめです。投資戦略は他の年代と変わらず、信託報酬などのコストが安く、成長性がある銘柄を選ぶことが重要です。
60代からつみたてNISAを始める際の注意点
一般的にいえば、年齢が高くなるのに伴い、流動性の高い資産(現金や預貯金など)の比率をあげていきます。
つみたてNISAで投資できる投資信託の場合、短期的に基準価額が大きく変動することは少ないですが、経済全体が不況に陥った場合などは基準価額が下落して簡単には戻らないこともあります。日米の経済状況など、マクロ的な要因も見ながら保有割合を考えるようにしましょう。
70歳以降は健康に応じて投資からのクロージングも考えていく
厚生労働省の調査では、令和3年の男性の平均寿命は81.47歳、女性の平均寿命は87.57歳となっています。
70歳以降であれば、無理に投資して資産形成する必要がなくなる人も多くなってくるのではないでしょうか。高齢になるほど健康的なリスクも高まりますし、判断能力も落ちてくるのは仕方がないことです。
投資で含み損が発生すれば、精神的にもよいものではありません。投資制度を利用しないとよくないという考えに縛られずに、生活の安定と安心が重要であることを十分認識しておいてください。
高齢になってきたタイミングでは、投資資金を現金や預貯金などに戻していくクロージングも考えていきましょう。また、仮に高齢になって死亡してしまう場合などに事前に備えておくことも重要になります。
参考:厚生労働省「令和3年簡易生命表の概況」
まとめ
つみたてNISAは2023年以降は18歳以上から、年齢の上限なく利用できる制度です。特に投資は長期で行うことが重要なので、投資可能な期間が長い20~30代の若い世代にメリットがあります。
一方、60代以降の高齢になってきたタイミングでもつみたてNISAを利用するメリットはありますが、高齢になるほど健康面や判断面のリスクを考慮して投資のクロージングも考えることが重要です。
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よくある質問
Q | つみたてNISAを始めるベストなタイミングは? |
A | 原則早いタイミングで始めるほうが長期投資で複利の効果を得ることができます。ただし、明らかに今後の株式市場が下落する見込みであれば投資開始を遅らせる選択肢もあります。いずれにしても口座開設は早めに完了させておきましょう。詳しくは以下の関連記事をご覧ください。 |
Q | つみたてNISAの年齢層は? |
A | 若い世代ほどつみたてNISAを利用しています。20代ではNISA口座のうち約75%、30代でも60%以上がつみたてNISAを利用しています。 運用方法などについて、詳しくは「20代〜50代のつみたてNISA運用方法」を参照 |
Q | つみたてNISAと新NISAどっちがお得? |
A | 新旧のNISA制度を併用することはできません。2024年以降は新しいNISA制度で投資することになります。2024年以降のつみたて投資枠は年間の非課税金額も、非課税可能枠も現行NISAよりも拡充されています。新しいNISA制度については以下の関連記事をご確認ください。 |