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【J-REIT初心者入門】J-REITとは?メリットやリスク、現物不動産投資との違いを解説

最終更新:2022/01/12 15:57

J-REITは、不動産を対象とする投資信託です。少額から投資できることから、多くの投資家から人気を集めています。ただし、J-REITと一般的な現物不動産投資は仕組みが異なります。その違いを正しく理解できている人は少ないのではないでしょうか。この記事では、J-REITの概要をはじめ、メリットやリスク、現物不動産投資との違いを初心者向けに解説していきます。

J-REITとは

J-REITは、不動産投資信託の一種です。元はアメリカ生まれの金融商品で、不動産投資信託を英語表記した「Real Estate Investment Trust」から頭文字を取り「REIT」と表現しています。しかし、アメリカと日本とでは仕組みがやや異なることから、区別するために日本のREITは「J-REIT」と表記されます。

J-REITは、多くの投資家から集めた資金で賃貸マンションやオフィスビルなどの不動産を購入して、その売却益や賃貸収入を投資家へと分配する金融商品です。

このJ-REITは不動産を対象とした投資ではありますが、法律上は「投資信託」の一種です。そのため、不動産投資とは違い、不動産の所有権や取引会社の選定権は投資家にはありません。とはいえ、J-REITは「不動産投資法人」として証券取引所に上場されているため、投資家が自由に取引を行うことが可能です。

J-REITの仕組み

J-REITは法律に基づき、「不動産投資法人」と呼ばれる法人の形態をとっています。

J-REITが発行された「投資証券」を投資家が購入して、そこで集まった資金をさらに不動産へ投資することで、物件の売買・賃貸で得た収益が投資家に分配される仕組みとなっています。つまり投資家は、J-REITを通じて間接的な不動産オーナーになることで、売却益や賃貸収入を享受できるようになるというわけです。

また、J-REITは不動産投資法人のため、一般的な会社の株主総会にあたる「投資主総会」、意思決定をするための「役員会」が設けられています。投資家は、役員の選定や規約変更などの重要な取り決めにおいて、意思表示をすることが可能です。

さらに、J-REITは法人のため、金融機関から融資を受けたり、社債を発行したりすることも可能です。ただし、資産の運用・保管といった実務的な業務を行うことは法律で禁止されており、業務を複数の会社に委託しています。

実務的な業務における主な委託先は、資産の運用は運用会社、保有資産の保管は保管会社、一般事務は事務の受託会社と分けられています。保管会社に関しては、信託銀行になることが一般的です。

委託会社それぞれの業務内容を以下の表で紹介します。

運用会社 ・投資する不動産の選定や不動産の賃貸条件の内容決定といった戦略の決定
・不動産価値を維持するための修繕計画の立案・実行
・財務戦略の立案・実行および必要資金の調達 など
資産保管会社 ・保有不動産の資産管理
事務受託会社 ・納税に関する事務
・会計に関する事務 など

J-REITの分配金

J-REITの決算時になると、投資家に対してお金が支払われます。これを「分配金」と言い、株式会社でいう配当金に相当するお金です。年1回だけ決算を行うJ-REITもありますが、多くは年2回となっています。投資家は、運用が順調であれば年2回の分配金を受け取ることができます。

また、通常の株式会社は税制上の所得に対して法人税がかかるため、次の事業に向けた内部留保が差し引かれ、その残りを原資として配当金が支払われます。

一方、J-REITの場合は、収益の90%以上を分配するといった一定条件を満たせば、法人税がかからず内部留保もありません。そのため、投資家はその収益の多くを分配金として受け取れます。

J-REITのメリット

J-REITには、主に4つのメリットがあります。
それぞれのメリットについて詳しく解説します。

少額から投資できる

J-REITは不動産を証券化しているため、数万円~数十万円といった少額から投資することができます。不動産に直接投資する場合と比べて、はるかに小さい金額といえるでしょう。

たとえば、投資用マンション購入には一般的に1,000万円以上が必要となりますが、J-REITは銘柄によって異なりますが1万円~70万円前後から投資可能です。

分散投資ができる

J-REITは、分散投資によって投資リスクを低減できるといったメリットもあります。現物不動産に投資する場合は、ひとつの物件を購入するために高額な資金が必要になるため、手持ちの資金で複数の物件に投資することは困難といえます。投資する物件がひとつになると、買い手が付かない、空室が発生した場合に、収益を得ることはできません。

その点J-REITでは、少額投資できるため、複数の物件を投資証券の銘柄として所有できます。また、ひとつの銘柄で複数の物件を所有しているものもあります。このように、複数の物件に投資することで、リスクの分散効果が期待できます。

専門家に運用を任せられる

J-REITは、資産運用会社のプロが不動産の運営や売買を行います。そのため、投資家は銘柄を選んで購入するだけでよく、管理・運用は必要ありません。運用している不動産の状況は、投資法人が開示している資産運用報告書や決算短信、有価証券報告書といった決算書類で確認できます。透明性が高く、安心して運用を任せられることは投資家にとってメリットといえるでしょう。

分配金が高めである

J-REITで投資家に支払われる分配金の多くは、物件から得られる賃貸料が原資となっています。利益の90%以上を支払配当として分配すると分配金が非課税になるため、得られた収益の大部分を投資家が受け取ることが可能です。株式投資と比べても、高い利回りが期待できるメリットがあります。

また、J-REITの賃貸事業は、住人やテナントがある限り一定の収入の確保が見込むことができます。そのうえ、運用会社は空室リスクを回避するために、複数の不動産に投資をしています。このようなリスク回避によって、安定した分配金が期待できます。

J-REITのリスク

J-REITは、投資信託と株式の両方の側面があるため、リスクも存在します。
ここでは、J-REITの4つのリスクを紹介します。

金利変動のリスク

J-REITには、金利変動のリスクがあります。多くのJ-REITでは、一般投資家の投資だけではなく、金融機関から借入をして資金調達をしています。借り入れをした場合、金利が上昇すると金融機関への返済が増え、収益にも影響を及ぼします。この金利変動は、価格や分配金の変動となり、結果的にリターンの減少につながる可能性があります。

【この記事もおすすめ】金利は株価にどう影響する?金利と株価の関係について解説

価格変動のリスク

J-REITには、価格変動のリスクがあります。J-REITは不動産に投資するため、不動産市場や経済状況の影響を受けることは免れません。そしてこの影響は、保有している物件価格の下落や賃料減少へとつながります。その結果、投資家への分配金が減少して、元本割れする可能性があります。

また、J-REITは現物不動産と違い、流動性が高いという特徴があります。証券取引所に上場していることでリアルタイムでの取引が可能ですが、この流動性の高さゆえに、価格変動が起こる可能性もあります。

さらに、J-REITは株式と同様に需給関係が価格に大きな影響を及ぼします。たとえば、株式市場の下落によってJ-REITの投資家が一斉に売却してしまうと、J-REITの株価も下落してしまう可能性があります。

災害のリスク

J-REITには災害のリスクがあります。J-REITは不動産を投資対象としているため、火災や地震、洪水といった自然災害により、保有している不動産が被害を受ける可能性があります。これにより、J-REIT価格の下落や分配金の減少が起こる恐れがあります。

上場廃止のリスク

J-REITは証券取引所で扱われているため、株式投資の上場会社と同様に上場廃止となるリスクを抱えています。証券取引所の定める上場廃止基準に該当してしまうと上場廃止になり、取引そのものが終了してしまう可能性があります。

J-REITと現物不動産投資の違い

不動産投資法人に対して不動産投資信託をする「J-REIT」と、現物物不動産に投資する場合では、どのような違いがあるのでしょうか。

投資金額における違い

現物不動産投資の場合、投資に高額の資金が必要です。郊外のワンルールでも数百万円、一棟マンションでは数億円ほどの高額な費用がかかります。これに対して、J-REITでは数万円から投資できるため、資金に余裕を持って手軽に始めることができます。

とはいえ、現物不動産投資の場合は、物件を担保に融資を受けることも可能です。融資を受けることで自己資金を超えた金額の取引ができるため、レバレッチによる大きなリターンが期待できます。

その点、J-REITに融資はないため、自己資金の金額が投資可能な金額の上限となり、リターンの大きさは決まっています。

流動性における違い

J-REITは証券取引所に上場しているため、全国の証券会社の窓口やインターネット上でいつでも売買することができます。流動性が高く換金性に優れているため、短期間でリターンを狙えます。

これに対して現物不動産投資では、物件購入の買主探索から現地確認、売買契約、決済、引渡しまでに最低1ヶ月程度、場合によっては数ヶ月~半年ほどかかることがあります。また、一般的に数年~5年程経ってから売却して収益を得ることから、流動性は低い投資といえます。そのため、長期運用を前提とした投資に向いています。

まとめ

J-REITは、以下のような人におすすめです。

・少額投資を行いたい人
・管理・運用を任せて、手軽に不動産投資をしたい人
・短期間でリターンを得たい人
・分散投資でリスクを抑えたい人

商業施設やオフィスビルといった不動産は、個人での購入手段が限られています。しかし、J-REITを活用することで、これらの不動産投資にもチャレンジが可能です。不動産投資で得た収益の多くが投資家に分配されるため、株式と比べて高い利回りが期待できるといったメリットもあります。

ただし、J-REITによる分配金の原資は家賃収入や売却益となるため、不動産市場や経済状況によって価格変動が起これば、分配金の減少や元本割れのおそれがあります。

このようなリスクを回避するためには、複数の手法を併用して、J-REITと現物不動産投資を組み合わせることも手段のひとつです。たとえば、アパートのワンルームには現物不動産投資を利用して、商業施設やオフィスビルはJ-REITを利用する方法です。
このように、複数の投資手法を併用することで、J-REITのメリットである分散投資と、現物不動産投資のメリットであるレバレッジによる収益拡大を両取りすることができます。

また、今ある資金を元手に現物不動産投資をして、その後月々発生する余剰資金で少しずつJ-REITを積み立てすれば、一括投資と積立投資の両立もできます。

今回紹介したように、現代では個人投資家向けのさまざまな不動産投資が存在します。投資金額や収益性、管理の手間などは異なるため、保有資金や投資方針を踏まえた上で、自分に合う不動産投資を選びましょう。

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