投資信託 [ Jリート abc ]
【第7回】
分配金と分配金利回り
J-REIT投資の際は、「どのくらいの収益が得られるか」が気になるでしょう。そこで今回は、J-REIT投資によって得られるインカムゲイン(資産を保有することで安定的・継続的に受け取ることのできる現金収入のこと)である分配金と、その分配金利回りに注目します。それぞれどのようなことに影響を受けるのでしょうか。
分配金の変動要因を知っておこう
分配金の原資は、利益からコストを控除したものです。そのため、J-REITの分配金は、利益とコストの変動に影響を受けます。
まず利益に着目しましょう。利益は、保有物件からの賃料とその売却損益によって変化します。保有物件の収益力が高まれば、賃料、売却価格ともにその水準が高まって利益は増加しますが、賃料の下落や売却損の発生は利益の減少につながります。一方、コスト面では、保有物件のメンテナンス費用や金利負担などのコスト増は利益減に、コスト減は利益増に結びつきます。
ところで、投資家が受け取る『1口当たりの分配金』は、『分配金の総額』を『発行済みの投資口数』で割って求めます。そのため、投資口の追加発行などによる投資口数の増加も、分配金が減る要因となることに気を配っておきましょう。
【 1口当たりの分配金=分配金の総額 ÷(発行済)投資口数 】
分配金利回りの考え方
分配金をどのくらい得られるかは、J-REIT投資をするにあたって重要な関心事でしょう。しかし、分配金の額を見るだけではJ-REITへの投資によって期待できるインカムゲインの度合いはわからないため、分配金利回りにも着目することが大切です。
分配金利回りは、1年間で得られる『1口あたりの分配金』を『投資口価格』で割って求めます。投資家にとってうれしいのは、分配金利回りの上昇です。これは『分配金が上がる』『投資口価格が下がる』のいずれかに起因しますが、注意しなければならないのは、投資口価格が下がるケースです。
【 分配金利回り=1口当たりの分配金(年間)÷ 投資口価格 】
投資口価格が下落するケースには、2008年の後半に、金融市場の混乱からJ-REITの投資口が売り込まれた例に代表されるようなマーケット要因によるもののほか、個別要因による下落が考えられます。これらは明確に区別して考えましょう。マーケット要因で投資口価格が下落したのであれば、今後の回復を見込んで投資するという選択も考えられますが、個別のマイナス要因によって投資口価格が売り込まれているような場合は要注意です。見た目の利回りの高さだけにとらわれないことが肝心です。
ところで、現在のJ-REITの利回り水準はどのくらいでしょうか。10年国債の利回りと比較すると、J-REITの利回りは相対的に高い水準です。利回りが高いことは、J-REIT投資のひとつの魅力ですが、これは、リスクを内包していることの裏返しでもあります。