投資信託 [ Jリート abc ]
【第1回】
J-REITの仕組みはこうなっている!
世界のREIT市場
REIT(Real Estate Investment Trust)とは、不動産へ投資して、そこから生じる収益を投資家に分配することを目的とする投資信託です。1960年にアメリカで創設されたのが始まりですが、世界各国で広まってきたのはここ10年のこと。現在、その制度は20カ国以上で採用され、世界全体での時価総額はおよそ31兆円です。そのうち、アメリカが占めるのは4割以上。時価総額の大きい順に、フランス、オーストラリア、日本となっています(2009年4月現在)。
J-REITの登場〜身近になった不動産投資
日本におけるREITは、J-REIT(Japan Real Estate Investment Trust)といわれ、2000 年の投資信託法の改正で、不動産が投資信託の運用対象に加わったことからスタートしました。2001年9月に2銘柄が東京証券取引所に上場して以来、8年弱を経て41銘柄が上場しています(2009年5月現在)。
従来、不動産への投資といえば、必要資金の額が大きい、流動性が悪い、手間がかかるなどの理由から、個人投資家にとっては縁遠いものでした。しかし、 REITを利用すれば、数十万円単位の少額から不動産への投資が可能であるうえ、株式と同様にリアルタイムで売買できます。J-REITの登場で、個人投資家は、不動産投資への有力な手段を持つことになりました。
J-REITの仕組み
J-REITは、投資家から集めたお金を不動産へ投資して、収益を投資家へ分配する「投資法人」の形態をとります。投資法人は、投資家から集めたお金を不動産へ投資して、その収益を投資家へ分配する役目を担う法人です。しかし、運用などの業務は外部に委託することが義務付けられているうえ、使用人を雇うことや本店以外に営業所を設けることもできない、いわば器のような存在です。そのため、実際に投資法人の業務を支えているのは、主に次の3つです。
中でも重要なのが資産運用会社で、不動産の購入や売却、賃貸から管理までの判断を行うほか、金融機関と交渉して必要な資金調達などを行います。
投資法人は、投資口(=株式会社の株式に相当するもの)を発行して一般の投資家から広くお金を集めます(1)。あわせて、金融機関からの借入れを行ったり、機関投資家向けに投資法人債(=株式会社の社債に相当するもの)を発行したりして、運用するための資金を調達します(2)。 資金調達ができたところで、投資法人は複数の不動産へ投資(保有)(3)、メインとなる賃料収入(インカムゲイン)のほかに、不動産を売却した場合の利益(キャピタルゲイン)が投資法人の収入です(4)。 投資家への分配は、収入から必要経費(借入金や投資法人債の利息など)を支払った後(5)、残った利益の90%以上が決算毎に投資家へ分配金される仕組みとなっています(6)。