投資信託 [ Jリート abc ]
【第10回】
J-REITにふさわしい活用法とは?
個人投資家は、J-REITをどのように利用すればいいでしょうか。J-REITの性質を知り、ふさわしい活用法を考えてみましょう。
J‐REIT投資はインカムゲイン狙い
J‐REITの投資家は、2つの収益を期待することができます。1つは保有する投資口を売却することによる売却益(キャピタルゲイン)、もうひとつは投資口を保有することで得られる分配金(=株式の配当に相当、インカムゲイン)です。
投資口価格は株価の動きに連れて大きく動くため、タイミングを見て売買することで、売却益を得るチャンスも多いでしょう。しかし、J‐REITの収益の柱は、賃貸借契約に基づいてコンスタントに入ってくる賃料収入であることを忘れてはなりません。本来の収益構造に立ち返ってみれば、J‐REITは、キャピタルゲインよりも安定的なインカムゲインを重視する分配型の商品であるということが理解できます。
組み合わせ技を使おう
J-REITは、1銘柄を除き、決算が6カ月ごとです。そのため、1つの銘柄を保有するだけでは、毎月の分配を得ることはできません。しかし、注意して見ると、各銘柄の決算月はバラバラで偏りがないことに気付くでしょう。決算月の異なる銘柄を上手に組み合わせることができれば、必要な月に分配金を受け取る仕組みをつくることができます。各REITの決算期については、Jリート abc【第2回】で解説していますのでご参照ください。
場合によっては、「銘柄を組みあわせるほどの投資資金をJ-REITに振り向けられない」「個別銘柄のリスクを極力回避したい」という事情もあるでしょう。そのような場合は、J-REITファンドを利用する方法があります。少額から投資できるうえ、投資対象の分散が可能です。
J-REITの分配金は定期的にお金を準備する手段になる
分配型であることに着目すると、J‐REITは、定期的に使いたい資金を準備する手段として、使い勝手がいいといえます。リタイア世代であれば、公的年金だけでは不足する月々の生活費を埋める方法のひとつとして有効でしょう。また、現役世代であっても、分配金で英会話スクールなどのレッスン費用を賄うなど、工夫次第でさまざまな利用の方法が考えられます。
但し、J-REITの分配金は、固定利付債券の利息とは異なります。将来にわたってその額が約束されているものではないため、過信は禁物です。分配金減少の要因としては、保有不動産の売却で損を出したり、景気の悪化に伴って賃料収入や稼働率が下落したりすることがあげられます。借入れ金利の上昇や保有物件の老朽化に伴う維持コストの増大にも目配りしたいものです。また、投資対象を考える際は、過去の実績をベースにした実績配当利回りや、今後の予測をベースにした予想配当利回りなどのデータを参照することを忘れないようにしましょう。分配金と分配金利回りについては、、Jリート abc【第7回】で解説していますからご参照ください。