買い方
株式投資を始める際、まずは証券口座を開設して株を購入する必要があります。ここでは、証券口座の開設方法から具体的な株の買い方までご紹介します。
証券口座開設
1.証券口座の選択
証券会社は数多く存在するため、まずはどの証券口座を利用するか選択する必要があります。取引できる銘柄や手数料などは証券会社によって異なるため、ご自身の投資スタイルに合った証券会社を選ぶことが重要です。証券会社を選ぶ基準には、以下が挙げられます。
・手数料の安さ |
初心者の方には、手数料が安く少額投資ができる証券会社がおすすめです。スマートフォン対応やサポートが備わった証券会社は、手軽かつ安心して運用しやすいといえます。自己資金額や投資する目的、日頃の運用方法などを考慮して、ご自身に適した証券会社を選びましょう。
2.口座タイプの選択
証券会社で口座を開設する際、「特定口座」「一般口座」のどちらかを選択する必要があります。
特定口座では、株式投資で得た利益に対して、証券会社が損益を計算して税金を納付します。証券会社が税金を徴収する「源泉徴収あり」と、ご自身で確定申告が必要な「源泉徴収なし」の2種類に分けられます。
一般口座では、売買損益を自身で計算して確定申告をする必要があります。年間の取引状況や売買価格を自身で調べなければならず運用負担が大きいため、特別な理由がない限り、多くの方は特定口座を選択します。
3. 証券会社HPから口座開設申し込み
ネット証券の場合は、証券会社のHPから口座開設が可能です。
一般的な申込み手順は、以下の通りです。
①メールアドレスの入力
②登録したメールアドレスに認証コードが届く
③認証コードの入力
④住所など個人情報の入力
⑤各種規約の確認
⑥口座開設の方法を選択
⑦完了
4. 本人確認書類の提出
口座開設には、マイナンバーカードや運転免許証といった本人確認書類の提示が必要です。ネット申し込みの場合は、これらの本人確認書類をカメラで撮影して、写真データを申し込みページにアップロードして提出することが一般的です。
5. 口座開設完了通知の受取
証券会社による審査が通ったら、口座開設完了通知がメールまたは郵送で届きます。
6. 開設した口座へ入金
口座開設が完了したあとは、証券口座に投資資金を入金します。ここまでのステップを終えると、株の購入ができるようになります。
【もっと詳しく見る】 証券口座、どうやって開設するの?証券口座の種類についても分かりやすく解説! |
買う銘柄を選ぶ
開設した証券口座への入金が済んだら、株を購入します。証券会社のHPやアプリからマイページにログインして、株の注文画面を開きましょう。
注文画面で企業名や銘柄コードを入力して、購入したい銘柄を検索します。銘柄とは、株式市場で取引できる株式を指し、銘柄名はそれぞれの企業名となっています。
また、銘柄コードとは、取引所で売買可能な銘柄すべてにつく4桁の固有の番号です。例えば、ソフトバンクグループは「9984」、任天堂は「7974」と決まっています。
株数を決める
買いたい銘柄が決まったら、購入する株数を決めます。日本では、売買できる最低の売買単位(単元株式数)が決まっており、基本的に「1単元=100株単位」となっています。
ただし、証券会社によっては100株以下からでも購入できる商品もあります。1株から購入できるような株であれば、リスクの少ない少額投資も可能です。なお、口座に入金している金額以上の株式を購入することはできません。
買い注文を入れる
株の注文方法には「成行(なりゆき)注文」と「指値(さしね)注文」の2種類があります。株式投資においては、この2つの注文方法の使い分けが非常に重要です。ここでは、この2つの注文方法について詳しく解説します。
成行注文
成行注文とは、買いたい価格を指定せずに、注文を入れた時点の価格で株を購入する方法です。たとえば注文時の株価が1,000円の場合は、1,000円で株を注文できます。
成行注文では、取引が完了するまでの早さがメリットです。そのため、とにかくすぐ株を買いたいといった時間優先の場合に適しています。
ただし、成行注文では買いたい価格を指定できません。成行注文をしてから取引が完了するまでに、価格の大幅な上昇・下落があった場合、想定外の価格で取引が完了する可能性があります。
指値注文
指値注文とは、価格を指定して株を注文する方法です。
下の図のように、現在の株価1,000円の時に800円で指値注文すると、株価が800円以下にならない限り取引が成立しません。「この価格(下の図では800円)になるまでは買わない」といった場合には指値注文を採用します。
指値注文では、自分の希望通りの価格で株を購入できるメリットがありますが、買いたい価格に到達しなければ、購入タイミングを逃してしまう注意点もあります。購入したい株価を注文できるよう、低すぎる価格を指定しないようにしましょう。
注文の有効期限を決める
当日中・今週中・期間指定など、注文の有効期限を注文時に選択します。期間指定に関しては、それぞれの証券会社によって異なります。期間指定を最大まで延ばす場合、多くの証券会社は約1か月を設定しています。有効期限を長めに設定すれば、注文し直す回数を減らすことが可能です。
有効期限内に注文が成立しない場合は、その注文は失効します。いつの間にか有効期限が切れていたといったことにならないように、期限を確認しておくようにしましょう。
注文が約定しているか確認する
約定とは、株式取引の売買が成立することです。買いの注文をしても、それに応えて売る人がいないと取引が成立しません。株を買う人と売る人の条件が合致して、はじめて取引が成立となります。
証券会社によって確認方法は異なりますが、基本的には証券会社HPかアプリのページに内に約定照会ページがあります。この約定照会ページにて、約定しているかどうか確認してください。
売り方
株の売り方については、基本的に買い方の手順と同じです。ここでは、株の売り方について、売却時の注意点や専門用語などを交えて説明します。
売る銘柄を選ぶ
株式投資は、株を安く買って高く売ることで利益を生み出すことが基本です。より高い利益を得るためには、株を売るタイミングがもっとも重要です。どの株を売却するかタイミングを見極める基準として、利益確定・損切・業績悪化の3つがあります。
「利益確定」とは、保有している銘柄の株価が上昇して、目標の含み益が生じた時点で売却する方法です。売却後に上昇が続いた場合は得られる利益が減少しますが、含み損が発生するリスクを避けられます。
「損切」とは、保有している銘柄の株価が下落して、今後もさらに下落すると判断した場合に売却する方法です。損失のダメージを少しでも少なくするために実施します。損切のタイミングには明確な基準はありませんが、目安は5〜10%の損失が出た時とされています。
また、株を購入した企業の業績が悪化した場合も、株を売却するタイミングといえます。業績が悪化すると株価が急下降する可能性があるため、損失のダメージを減らすために売却を検討します。
株数を決める
売却する銘柄が決まったら、売る株数を決定します。保有している株をすべて売るか、一部を売るかといった2通りの売却方法があります。
目標の株価を達成したらすべて売るのが基本ですが、まだ株価の上昇が期待できそうであれば、一部の株を残して更なる利益を目指すケースもあります。
例えば、株価が買った時の2倍になった銘柄を半分売却したとします。この時点で、投資元本分の利益は確定しています。その後、残した銘柄の株価が下落しても、投資元本分の利益確定はできているため、トータルの損失はありません。この2つの売り方を踏まえて、売る株数を決定しましょう。
売り注文を入れる
売り注文も買い注文と同様に、成行き注文と指値注文があります。どのような場面で成行注文・指値注文を行えばよいかについて解説します。
成行注文
売りたい価格を指定せず、注文を入れた時に株を売る成行注文は、取引完了の早さがメリットです。株の売却でこのメリットを活かす方法として、保有している銘柄の株価が急落した時に、損切を早急に確定することが挙げられます。
株価が急落する原因には、社会経済や世界情勢の変化、金融政策の変更などが挙げられます。こうした事態が起きて株価急落している時は、売りの成行注文を実施してすばやく損切を確定しましょう。
指値注文
売却時の指値注文は、「設定した価格でなければ売らない」といった場合に実施します。売却する株価を指定することで、希望通りの利益確定ができるといったメリットがあります。
たとえば、下の図のように指値注文をして、設定した価格で売却できた場合は「(1000円-800円=)200円×株数分」の利益を得られます。ただし、期間内に設定した価格に到達しない場合は、取引が成立しないため、売れるまでに時間がかかる可能性があります。
注文の有効期限を決める
売りの注文時にも有効期限を選択する必要があります。買い注文と同様に、当日中、今週中、期間指定といった有効期限があります。期間指定はそれぞれの証券会社によって異なり、最大で約1か月です。有効期限内に注文が成立しない場合は、その注文は失効します。売りの際も、有効期限切れに注意しましょう。
注文が約定しているか確認する
売り注文の約定の確認方法は、買い注文時と同様です。証券会社によって異なりますが、基本的には証券会社HPかアプリのページに内に約定照会ページがあります。
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売買する際の注意点
ここからは、株を売買する際の注意点を3つ紹介します。
証券会社によって手数料が異なる
証券会社によって金額は異なりますが、株の売買には手数料が発生します。株式を購入する際は、銘柄の株価×株数に加えて、手数料と消費税がかかります。売る際も同様に手数料が発生するため、事前に手数料について確認しておく必要があります。
窓口のある証券会社の場合、100万円分の売買に対して合計2万円を超える手数料が発生するケースもあります。ネット証券会社の場合は、1,000円以下と比較的安く設定されていることが一般的です。
手数料は売買時に毎回発生するため、証券口座の開設時には安い手数料の証券会社を選ぶようにしましょう。
税金はいくらかかる?
株式投資において税金が発生する利益には「譲渡益」「配当金」の2種類があります。
譲渡益は、株の売買で得た利益です。また、保有している銘柄の企業から分配される配当金に対しても税金が発生します。
国に納める税率は、ともに約20%(所得税約15%、住民税5%)です。
譲渡益に対する税金の納税には原則確定申告が必要ですが、「特定口座(源泉徴収あり)」を選択している場合は、証券会社が代わりに納税するため、確定申告は不要です。配当金に対する税金は、証券会社によって源泉徴収されるため確定申告は不要です。
株主優待を受けたい場合の注意
株主優待とは、企業が自社の株を保有する株主に対して、自社製品やサービスなどの特典を付与することです。この株主優待を受けるには、権利確定日に株主優待を提供する株を保有していることが条件となります。
権利確定日とは、株主優待を受ける権利が確定する日を指します。ここで注意したいことは、権利確定日に株を購入しても、株主優待を受けることはできない点です。株主優待を受けるには、権利確定日より2営業日前までに、対象の株を購入する必要があります。
なお、権利確定日より2営業日前の日を「権利付き最終日」、権利付き最終日の翌日を「権利落ち日」と呼びます。
取引市場のルール
株式取引市場では取引できる時間が決まっており、いくつかルールが存在します。ここでは、株式の取引時間といくつかのルールについて解説します。
取引時間
日本国内の証券取引所は、東京・札幌・名古屋・福岡の4つがあります。基本的な取引時間は、前場が平日9:30〜11:30、後場が平日12:30〜15:00です。東京以外の証券所のみ、後場の時間が平日12:30〜15:30です。
24時間365日使用可能なネット証券やPTSを利用すると、上記の時間外でも取引が可能です。
PTSとは、証券取引所を介さずに株式売買可能な私設取引システムです。PTSの取引時間は、8:20〜16:00と17:00〜23:59です。PTSを扱っている証券会社は少なく取引量も少ないため、流動性が低く、値動きが激しい点に注意しましょう。
注文の優先順位
証券取引所では、受けた注文に対して優先順位があります。「価格優先」「時間優先」という2つの原則に従って、優先順位が決定されます。
・価格優先の原則 ・時間優先の原則 |
「価格優先の原則」とは、買い注文時に価格の高い注文が価格の安い注文に優先し、売り注文時には価格の安い注文が価格の高い注文に優先することです。例えば、501円の買い注文と500円の買い注文が合った場合は、501円の買い注文が優先されます。なお、価格を指定しない成行注文がもっとも優先される仕組みとなっています。
「時間優先の原則」とは、取引所の受けた注文の時間が早い方を優先することです。
まとめ
証券口座を開設して、入金したら株式投資を始めることができます。証券会社によって銘柄や手数料などが異なるため、自身の投資スタイルに合わせて選定することが重要です。
買い注文では、成行注文と指値注文を使い分け、リスクを考慮したうえで投資金額を選ぶことが重要です。また、売り注文では、利益確定や損切の判断がポイントとなります。
大きな損失を被らないよう、利益確定や損切の価格をあらかじめ設定して運用しましょう。
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