信用取引を使ったスイングトレード
「スイングトレード」は数日から数か月で売買を完結させる取引手法で、企業業績や企業の将来性よりも相場のトレンドが重視される傾向にあります。トレンドを用いたスイングトレードについてみていきましょう。
順張りでのトレード
トレンドは基本的には上昇トレンドと下降トレンド、それに横ばいの3種類がありますが、スイングトレードにおいては、このトレンドに乗って売買することが重要とされています。つまり、株価が上昇し始めた状況において「買い」を実施し、高値で「売り」を実施して取引を完結させる、また、株価が下落し始めた状況においては「売り」を実施して、底値で「買い」を実施して取引を完結させることにより利益を得ることができます。こうした取引手法は「順張り」と言われ、スイングトレードにおける基本的な考え方となります。
逆張りでのトレード
一方で、株価が下落している中で状況が反転(上昇に転ずる)するタイミングを事前に見越して「買い」実施する、または、上昇している中で状況が反転(下落に転ずる)するタイミングを見越して「売り」を実施する取引手法を「逆張り」といい、トレンドに先回りして利益を狙う手法と言えます。スイングトレードを用いることで、短期から中期の下落トレンドでも利益を確保することができます。
短期であればコストを考慮しても信用取引が有効?
いずれの取引手法においても、値上がり機会だけを捉えるのであれば、手元にある資金で取引をすることも可能ですが、値下がり機会も捉えたいとなると「売り」から取引を始めることになりますので信用取引を利用する必要があります。また、信用取引を使うことで手元資金以上の取引を行うこともできますので、短期間の比較的小さな投資機会を狙っていくことも可能となります。加えて、信用取引では金利、貸株料、手数料等、場合によっては逆日歩といった様々なコストが発生しますが、短期的な取引であれば、こうした信用取引に係るコストもある程度抑えることができます。主にこうした理由から、短期的な取引、とりわけスイングトレードにおいて信用取引が使われているケースがあるようです。
しかし、スイングトレードの取引頻度がデイトレードより低いとはいえ、信用取引をするからには必然的にリスクが上がり、現物取引よりも大きな損害を被る可能性もありますので、十分な注意を払う必要があります。
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スイングトレードの利点
スイングトレードは、短期売買ではありますが、日中の細かな株価変動を追っていくものではないので、デイトレードのように取引時間中、常に株価動向を追いかける時間のない人にも多く利用されているようです。また、スイングトレードはデイトレードよりも取引する期間が長いため、リスクへの許容も比較的に高く、デイトレードのように分単位の株価変動に敏感に対処する必要もありません。さらに、スイングトレードは企業のファンダメンタルの詳細分析をすることなく実践する手法としても知られていますので、こうした点から利用する投資家も多いようです。
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スイングトレードの注意点
ここまで、信用取引を利用した短期的な取引手法としてスイングトレードについて説明しましたが、いくつか押さえておくべき注意点がありますので確認していきましょう。
信用取引口座の開設
スイングトレードにおける信用取引の利用方法について説明してきましたが、当然ですが実践するには、まず信用取引ができる状態であることが必要となります。したがって、証券会社に信用取引の口座を開設してあることが前提ということになりますので、信用取引口座を未開設の方はご利用されている証券会社に信用取引の取り扱いがあるのかご確認の上、口座開設の手続きをする必要があります。また、信用取引には証券会社がそれぞれ独自のルールの下で取り扱う一般信用取引と、基本的なルールが決められている制度信用取引がありますので、取扱いの証券会社のサービス提供内容を予めよく確認して手続きを行うようにしましょう。
信用取引のコストについて
スイングトレードは他の取引方法と同様、信用取引を実施した場合、金利、貸株料、各種手数料等のコストが発生しますので、こうしたコストも念頭に入れる必要があります。さらに、制度信用取引の売りを日跨ぎで利用した場合は、貸株料の他に株の借り賃に相当する「逆日歩」が発生する可能性があることにも注意が必要です。また、コストではありませんが、信用取引は証券会社からお金や株を借りて売買を行う(信用の供与を受ける)取引ですので、事前に委託保証金と呼ばれる担保を証券会社に差し入れ、取引実施後は取引残高によって定められる担保評価額を常に維持する必要があります。
銘柄の流動性に注意
スイングトレードの基本は、短期間の間に値上がり期待ができる銘柄を底値で買い、値上がったところで売る、または、値下がり期待ができる銘柄を高値で売り、値下がったところで買い戻すことです。したがって機会を見逃さずに機動的に売買ができる(流動性のある)銘柄を選択する必要があります。折角捉えた機会も売買が成立しなければ意味がありません。流動性を判断する指標は様々ありますが、制度信用取引の対象銘柄は一定の流動性の基準を満たした銘柄として選定されておりますので、銘柄選択の際の参考にしてみてもよいかもしれません。
正確な情報取集がスイングトレード成功のコツ
中長期的な投資に限らず、短期の株式売買においても正確な情報を取得することは大切です。以前と比べると、投資家は様々な情報をWebやSNSを通して取得することができます。しかし、取得する情報の速報性や正確性(信憑性)は常に気にかけておきましょう。
中長期の投資においては、対象企業の展望も中長期に亘って予測することから、正確性が重要視されると思います。一方で、短期的な売買においては、機会を逃さないために正確性よりも速報性を重要視してしまう傾向にあります。しかし、SNSなどの一部の情報においては、著しく正確性が欠ける場合がありますので注意が必要です。また、故意ではないにしろ、誤った情報が発信される(受信してしまう)可能性もありますので、情報の選別は大変重要となります。
注意深くスイングトレードをしても勝てないことは多々ある
情報を収集して、様々な取引手法を取得しても、想定どおりの収益を得られないことがあります。株価は予想通りにはならないということです。ここで紹介した手法等は投資判断の1つの指標にはなりますが、あくまで過去の経験則からくる指標であり、未来を確定するものではありません。また、信用取引の利用についても投資機会の拡大は期待できますが、決して収益の確保を保証するものではありません。これらの点を改めて留意しておく必要があります。
まとめ
以上のように短期的な取引、とりわけスイングトレードにおいては、信用取引を利用することで、値上がり機会のみならず値下がり機会にも対応できるなど、取引機会の拡大などのメリットが期待できます。一方で、注意点も多くありますので事前にしっかり確認したうえで取引を実践してみましょう。また、こうした取引においては、期待したとおりに株価が動かないことも十分考えられますので、想定以上の損失を被ることのないよう、事前に一定程度の損失を超えた場合に手仕舞いを行う「損切りルール」を定めておくなどの工夫も大切です。
監修:日本証券金融株式会社
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