一般信用取引と制度信用取引の違いを徹底解説!

投稿日:2022/01/20 最終更新日:2023/03/14
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実際に資金や株式を保有して売買する取引(現物取引)とは異なり、証券会社から資金や株式を借入して売買する取引(信用取引)があります。その信用取引には「一般信用取引」「制度信用取引」の2種類があります。対象銘柄や発生する金利・手数料の高さなど、信用取引をするには大変重要な違いですので理解しましょう。
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この記事の監修者

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菅原良介

株式会社Finatext

証券アナリスト

Finatext サービスディレクター・アナリスト。日本テクニカル協会認定テクニカルアナリスト。早稲田大学 政治経済学部 経済学科卒業。Finatextグループで展開される投資・証券サービスのディレクターを担当する傍ら、アナリストとしても活動。グループで展開するコミュニティ型株取引アプリSTREAM内で開催されるイベントのモデレーターなども務め、国内メディアへの寄稿も行う。

2種類の信用取引

保証金などを担保に、証券会社から資金や株式を借入して売買する取引(信用取引)には、「一般信用取引」「制度信用取引」の2種類があります。それぞれにポイントがありますので、詳しく見ていきましょう。

一般信用取引

一般信用取引は、基本的には「証券会社が定めたルールの下で、投資家ができる信用取引」と考えるとよいでしょう。ポイントは、①信用取引の買い/売りの可否、②信用取引の取扱銘柄範囲、が証券会社ごとに異なる点です。

一般信用取引は、「証券会社が自ら資金や株式を調達し、投資家へ提供する業務(サービス)」となります。このため、買い/売りの可否や取扱銘柄範囲等は、証券会社によって大きく異なります。一般信用取引を積極的に利用することを考えている場合は、事前に証券会社のWebサイトでチェックすることをお勧めします。

例:https://www.smbcnikko.co.jp/products/stock/margin/knowledge/018.html

一般信用取引の仕組み

制度信用取引

制度信用取引は、投資家が証券会社より資金や株式を買入して売買する取引ではありますが、一般信用取引との大きな違いは「証券会社は投資家へ貸付する資金や株式を証券金融会社から借入することが可能な取引」となっている点です。
一般信用取引では「証券金融会社」は登場せず(上図参照)投資家と証券会社の間だけで信用取引が完結していましたが、制度信用取引では「証券金融会社」が証券会社へ株式や資金を融通する「貸借取引」によって、投資家が円滑に信用取引を行えるような役割を果たしています。
(ちなみに日本では、「日本証券金融株式会社(日証金)」が唯一現存する証券金融会社です)

このため、証券会社は取引所および証券金融会社が定める「貸借融資銘柄(制度信用取引の買いを可能とする銘柄)」「貸借銘柄(制度信用取引の買いおよび売りを可能とする銘柄)」に応じて、投資家の取扱銘柄範囲を定めます。このため、ポイントは、買い/売りの可否や取扱銘柄範囲が証券会社ごとで異なることはないという点です。

まとめると、制度信用取引は「証券会社が証券金融会社から資金や株式を調達できることを前提に投資家へ提供する業務(サービス)」となります。繰り返しとなりますが、買い/売りの可否や取扱銘柄範囲等は、証券会社によって異なることはありません。また、制度信用取引を導入している証券会社は、一般信用取引と比較して多いため、制度信用取引のルールを理解することは大変重要になります。

制度信用取引の仕組み

一般信用取引と制度信用取引の違いは?

一般信用取引と制度信用取引の違いについて、主なポイントを比較しながら、詳しく見ていきましょう。

対象銘柄

一般信用取引は「証券会社ごとが対象銘柄と定めた範囲で」、制度信用取引は「取引所および証券金融会社が対象銘柄と定めた範囲で」、投資家は信用取引の注文を出すことが可能です。
特に制度信用取引の対象銘柄に関していえば、上場株式数や出来高など、証券取引所が定めた基準をクリアする必要があるため、業績不振や上場廃止のリスクが比較的小さい銘柄が選定されているという特徴があります。

なお、制度信用取引において売買される銘柄を「制度信用銘柄」と呼び、そのうち買いのみ可能な銘柄は「貸借融資銘柄」、買いも売りも可能な銘柄は「貸借銘柄」と呼ばれています。この貸借融資銘柄・貸借銘柄に選定される際は取引所ならびに証券金融会社から通知が公表されます。

返済期限

信用取引で残高があるということは、投資家が証券会社から資金もしくは株式を借入している状態ですので、いつかは返済する必要があります。返済期限については、一般信用取引と制度信用取引で異なります。

一般信用取引の返済期日は、「証券会社が定めること」ができます。よって、一般的には「無期限」と設定して返済期日を設けないケースが多いです。ただし、証券会社ごとに商品性として、返済期日を細かく区分してサービスを提供している場合もありますので、Webサイト等で確認する必要があります。
これに対し、制度信用取引の返済期日は「6ヵ月」と定められています。このため、投資家は、新規に取引をして建玉を保有してから6ヵ月以内に返済をする必要があります。

以上を踏まえると、6ヶ月を超えて長期保有をしたい場合には、返済が原則無期限で保有期間に定めのない一般信用取引の方が向いているといえるかもしれません。

金利

一般信用取引の金利は、「証券会社が定めること」ができます。証券会社は、一般信用取引の買い(投資家への資金貸付)および一般信用取引の売り(投資家への株式貸付)のために資金や株式を自社で調達することになるため、制度信用取引の買い(証券金融会社から資金借入が可能)および制度信用取引の売り(証券金融会社からの株式借入が可能)と比較して、調達コストが掛かるケースが多く、制度信用取引より金利(信用売りなら貸株料)は高い場合が多いです。つまり一般信用取引では、制度信用取引と比較して投資家への自由度が高くなる分、高い金利が発生するというわけです。

制度信用取引の金利は、証券会社の証券金融会社からの安定的な借入を前提として、一般信用取引より金利は低いことが多いです。この場合においても、制度信用取引の金利は証券会社ごとに異なりますので、注意が必要です。

逆日歩

制度信用取引は一般信用取引と比較して、金利は低い場合が多いと説明しましたが、信用売りをする際には、「逆日歩(品貸料)」について注意する必要があります。

制度信用取引での信用売り(投資家が証券会社から株式を借入する)について、証券会社は証券金融会社から株式を借り入れることを前提としています。証券金融会社は証券会社からの株式の借入に対応することになりますが、同一銘柄において、株式借入の申込(貸株申込)が資金借入の申込(融資申込)を超過した場合、当該超過分を他社から実際に借入する必要が生じ、当該借入に掛かった費用を「逆日歩」として、制度信用取引で売り残高を保有している投資家から徴収し、買い残高を保有している投資家へ支払う処理が発生します。

制度信用取引で売りをする場合は、追加費用として「逆日歩」を徴収される可能性があることを念頭に置く必要があります(買いをする場合は「逆日歩」が支払われるので問題ありません)。一般信用取引にはない制度ですので、注意が必要です。

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一般信用取引と制度信用取引、どちらがおすすめ?

信用取引の買いに関して、「一般信用取引」「制度信用取引」で対象銘柄について差異はあまりないと思います。返済期日を気にしたくないならば「一般信用取引」、金利(逆日歩の受領を含む)を考慮するならば「制度信用取引」になるかもしれません。

証券会社によってデイトレードや株主優待を想定した一般信用取引の制度を用意している場合があり、手数料、金利、貸株料が普段と異なるものも存在します。確認してみてください。

信用取引の売りに関して、対象銘柄数は一般信用取引より制度信用取引が多いですが、制度信用取引では売りが不可となっている銘柄も一般信用取引では売りが可能となっている場合もあるので確認が必要です。その他の点で比較すると、返済期日や逆日歩の徴収を気にするのであれば「一般信用取引」になります。売買可能な証券会社に偏りがないことや証券金融会社への貸借申込残高(融資残高および貸株残高)を参照することが可能な点(分析できる点)を考慮するならば「制度信用取引」になります。

まとめ

投資家として証券会社から資金および株式を借入して売買する信用取引には、「一般信用取引」と「制度信用取引」の2種類があり、それぞれでポイントがあることを確認できました。具体的には、信用取引の対象となる銘柄の数、返済が無期限(証券会社による)か原則6ヶ月か、金利の高さ、逆日歩(品貸料)があるか、等です。一般信用取引に関しては「証券会社ごとの定め」が重要となることから、Webサイト等での確認が大切です。制度信用取引に関しては「証券会社が証券金融会社から借入する」ことなど仕組み全体のルールを把握することが大切になります。

一般信用取引と制度信用取引の仕組みや取引の方法を理解し、売買方針に合った取引を利用できるようにしましょう。

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