信用取引には金利がかかる?貸株料って何?信用取引特有の費用について解説!

投稿日:2020/12/18 最終更新日:2023/03/14
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この記事の監修者

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菅原良介

株式会社Finatext

証券アナリスト

Finatext サービスディレクター・アナリスト。日本テクニカル協会認定テクニカルアナリスト。早稲田大学 政治経済学部 経済学科卒業。Finatextグループで展開される投資・証券サービスのディレクターを担当する傍ら、アナリストとしても活動。グループで展開するコミュニティ型株取引アプリSTREAM内で開催されるイベントのモデレーターなども務め、国内メディアへの寄稿も行う。


信用取引では、証券会社から投資家は買付代金・売却株式を借り入れることとなるため、借入料となる買い方金利・貸株料を支払うこととなります。また、「逆日歩」も考慮する必要があります。これらについて説明します。

 

〇今回説明するコスト〇

 

コスト(費用) 信用買い 信用売り
買い方金利 支払う
証券会社から借りている買付代金の金利 一般信用取引の方が高い -
貸株料 支払う
証券会社から株を借りるのに支払う費用 - 一般信用取引の方が高い
逆日歩(品貸料) 受け取る 支払う
制度信用取引のときのみ発生する可能性があり、市場で貸借される株式等が不足した際に売り方が買い方に支払う費用 受け取れる場合がある 支払う場合がある

信用取引の費用

実際に手元の資金や株式を売買する「現物取引」と証券会社から、買付代金・売却株式を借り入れて売買する「信用取引」では、どのような費用の違いがあるか確認します。

信用取引をする場合、費用は大きく分けて以下の3種類があります。
・買い方金利(信用買いをする際の金利)
・貸株料(貸株サービスを利用する際の手数料)
・逆日歩(貸株超過の場合、借入先へ日証金が支払う株式の借入料)

また、信用取引に限らず、株式を売買する際の手数料「売買手数料(※)」も発生しますので、実際の売買手数料は各証券会社のホームページにてご確認ください。
さらに、信用取引で株を買っている場合、配当金と株主優待も受け取ることができませんので注意が必要です。

※売買手数料については、ネット証券でのオンライン取引なら無料、あるいはかなり低い水準まで下がっている傾向にあります。ただし大きな金額で取引を行う場合には、やはり手数料もそれなりの金額になるので、注意しておきましょう。

買い方金利の仕組み

買い方金利

買い方金利とは、証券会社からお金を借りて信用買いをするために、投資家が負担する金利のことを指します。

信用買いを注文して約定し、買い建玉を保有している投資家は、保有している期間は証券会社から買付代金を借り入れていることとなります。お金を借りていることとなるため、この借入代金に「買い方金利」が付利されます。

一般論ですが、制度信用取引に比べ、一般信用取引の買い方金利は高くなっていますので、ご注意ください。制度信用取引と一般信用取引では異なるメリットがありますので、状況に応じて利用しましょう。

買い方金利の計算方法

祝祭日などのない平日(月曜日から金曜日)を想定して説明します。

例えば、月曜日に買い建玉として100万円保有することとなりました。口座を開いている証券会社の買い方金利は1%だとします。この買い建玉を木曜日に全部売り返済しました。この場合の金利支払い分はいくらになるか計算しましょう。

投資家の証券会社からの借入れは、売買の約定ではなく、決済(受け渡し)のためですので、月曜日の約定は水曜日に決済するため、実際の借入れは水曜日からとなります。一方で、木曜日の約定は、土日を挟んで月曜日に決済することになります。このため、借入期間は水曜日から月曜日の6日間となります(返済日も含みます)。月曜日から木曜日までの4日間借りていたことにはならないことに注意しましょう。

金利の計算方法は証券会社によって異なりますが、一般的に 「約定代金 × 買い方金利(年利) ÷ 365 × 日数」になります。以上の例における実際の金利は 100万円 × 0.01 ÷ 365 × 6 = 164円となります。

貸株料の仕組み

貸し株料

貸株料とは、証券会社が提供する「貸株サービス」を利用する際の手数料です。わかりやすく説明しますと、証券会社から株式をお借りて信用売りをするために、投資家が負担する費用のことを指します。

信用売りを注文して約定し、売り建玉を保有している投資家は、保有している期間は証券会社から売却株式を借り入れていることとなります。株式を借りていることとなるため、この売却株式の評価に「株式のレンタル料」である「貸株料」が付利されます。貸株料は銘柄によって異なる場合があり、貸株料が高い銘柄もあれば、低い銘柄もありますので、取引をする前に各証券会社のホームページで公開されている情報を確認するといいでしょう。

貸株料は信用取引(信用売り)を利用する際のみに徴収される手数料であり、一般論ですが、制度信用取引に比べて一般信用取引の貸株料は高くなっていますので、ご注意ください。制度信用取引と一般信用取引では、異なるメリットがありますので、状況に応じて、利用しましょう。

貸株料の計算方法

祝祭日などのない平日(月曜日から金曜日)を想定して説明します。

例えば、月曜日に売り建玉として100万円保有することとなりました。口座を開いている証券会社の貸株料は0.5%だとします。この売り建玉を木曜日に全部買い返済しました。この場合の貸株料はいくらになるか計算しましょう。

投資家の証券会社からの借入れは、売買の約定ではなく、決済(受け渡し)のためです。よって月曜日の約定は水曜日に決済するため、実際の借入れは水曜日からとなります。一方で木曜日の約定は、土日を挟んで月曜日に決済することになります。このため、借入期間は水曜日から月曜日の6日間となります(返済日も含みます)。月曜日から木曜日までの4日間借りていたことにはならないことに注意しましょう。

実際の貸株料の計算方法は買い方金利と同様、証券会社によって異なりますが、一般的に 「約定代金 × 貸株料(年利) ÷ 365 × 日数」になります。以上の例における実際の金利は、100万円 × 0.005 ÷ 365 × 6 = 82円となります。

逆日歩の仕組み

逆日歩の仕組み

今まで説明した「買い方金利」「貸株料」は、投資家が証券会社からの借入れとして必ず支払う費用となります。これらとは別に証券会社が日証金へ貸借申込(融資申込もしくは貸株申込)をした結果、貸株超過(融資残高<貸株残高)となり、品貸入札で株式の調達を実施し、実際に借入先へ日証金が支払う株式の借入料(逆日歩)を売り建て玉の投資家は費用として考慮する必要があります。逆日歩は日証金が株不足に陥った証券会社に株(商品)の貸し出しサービスを提供したことで発生する料金であるため、品貸料とも呼ばれています。

「貸株料」は売り建玉を保有した場合に必ず生じる費用で、「逆日歩」は日証金の集計結果として実際の決済に必要な株式を機関投資家等から借入れたことで生じる費用と整理してください。なお、逆日歩は、売り建玉を保有する投資家から徴収することとなりますが、買い建玉を保有する投資家は受領することとなる点も重要です。

「逆日歩」は、制度信用取引で約定した残高に付与され、一般信用取引で約定した残高には付与されないことも注意してください。

逆日歩の計算方法

先に挙げた2つの例で計算します。
月曜日の借入れに対しては火曜日に発表されます。水曜日の決済分に借りて、木曜日に返済することを想定し、対象が逆日歩(1日分)となります。そのまま建玉を保有すると木曜日の決済分をまた借りて、金曜日に返済することを想定し、対象が逆日歩(1日分)となります。さらに建玉を保有すると金曜日の決済分を借りて、土日を挟んで月曜日に返済することを想定し、逆日歩(3日分)となります。少し複雑ですが、株主優待の権利確定日・権利落ち日・権利付最終日に置き換えて考えると少し理解しやすくなるでしょう。

約定日 逆日歩発表日 決済日 逆日歩の日数
月曜日 火曜日 水曜日 1日分
火曜日 水曜日 木曜日 1日分
水曜日 木曜日 金曜日 3日分(土日分)
木曜日 金曜日 月曜日 1日分
金曜日 火曜日 水曜日 1日分

 

※建玉を持ち越した場合も約定したことと同じ扱いになります。

 

先に挙げた2つの例だと、木曜日には返済しているので、月曜日の決済分は考える必要はありません。今回は、1日分+1日分+3日分が計算の対象となります。

月曜日分は、逆日歩が単元100株あたり10銭となりました。火曜日は、融資超過(融資残高>貸株残高)となったため、逆日歩は発生しませんでした。水曜日は、逆日歩が単元100株あたり30銭となりました。対象銘柄が、10,000株だったとすると、以下の計算になります。

月曜日:10,000÷100×0.1×1=10円 火曜日:なし 水曜日:10,000÷100×0.3×3=90円

この結果、売り建玉を保有していた投資家は、合計100円を支払うこととなり、買い建玉を保有していた投資家は、合計100円を受け取ることとなります。

土日を跨ぐと逆日歩の日数は1日ではなく3日になりますので、日数計算の際は必ず注意してください

信用取引の費用を安くするには?

信用取引をするにあたって掛かる費用はできる限り、少なくしたいものです。そのために参考となる考え方を取り上げます。

取引内容に合致した証券会社に口座を開設する

現物取引と信用取引の取引割合、1日に売買する金額、信用残高の保有期間などを念頭に入れつつ、各証券会社が設定している「買い方金利」「貸株料」の料率にも注目して口座開設をする必要があります。

各証券会社は、口座開設者のみが閲覧できる情報提供サービスなども実施しているので、確認してみてください。

長期保有するならば、取引方法をきちんと検討する

信用取引を短期で売買/保有する場合(最長でも数日)、金利等では一般信用取引よりも制度信用取引が低く設定されていることが多いため、制度信用取引が好まれる傾向にあります。制度信用取引を用いる場合、対象銘柄に限りがある点に注意しておきましょう。

信用取引を長期で売買/保有する場合、6ヵ月を超過して保有するには一般信用取引しかありません。しかし、6ヵ月以内に返済する見込みで売買するのであれば、制度信用取引が一般信用取引より金利等が低く設定されていることが多いため、費用負担は少なく済みます。

ただし、制度信用取引の売り残高には「逆日歩」が発生する可能性があるので、注意してください。
※一般信用取引の売り残高には、逆日歩は発生しません。

土日祝祭日に注意する

信用取引は、決済のために買付代金・売却株式を借り入れるため、約定日と決済日に2営業日のずれがあります。水曜日の約定分は、必ず3日分となることは、さきほど説明しました。祝祭日の取り扱いも土日と同様となりますので、注意が必要です。

例:ハッピーマンデー制度で月曜日が祝日の場合、ゴールデンウイーク/シルバーウィーク、年末年始

逆日歩に注意する

制度信用取引で売り建玉を保有する投資家にとって、「貸株料」は計算できる費用ですが、「逆日歩」は日々の発表を待たないと分かりません。値下がり期待が大きく実際に値下がっても、「貸株料」や「逆日歩」といった費用が上回っては意味がありません。「逆日歩」が高くならなそうな銘柄の見分け方をいくつか挙げます。日々の約定結果で、貸借残高等は変わりますので、あくまで参考にしてください。

 

〇逆日歩の見分け方〇

 

注目ポイント 理由
「信用倍率」「貸借倍率」が高い 貸株超過(融資残高<貸株残高)となるに時間を要しそうなため
発行済み株式数、流通株式数、売買高が大きい 日証金が品貸入札で調達しやすいため

一般信用取引では、「貸株料」は制度信用取引より高く、取り扱いできる銘柄も限定されますが、「逆日歩」が発生しませんので、売り建玉を保有する際はよく検討する必要があります。

まとめ

信用取引を始めるにあたっては、現物取引とは異なった費用が発生します。一般的な売買手数料以外にも金利や貸株料などの費用が発生します。そのため、信用取引で失敗した場合は様々な取引コストが相まって現物取引よりも大きい損失が出るリスクがあります。各証券会社が様々なサービスを提供していますので、今回説明した「買い方金利」「貸株料」の考え方を参考にして、口座開設しましょう。そのうえで、「逆日歩」に注意しながら、信用取引を効果的に利用していきましょう。
 

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