投資信託の配当金とは?いつまでにもらえる?仕組みについてわかりやすく解説!
投資信託は多くの投資家にとって、資産の成長や定期的な収益を目指す手段として選ばれます。特に、配当金を期待する投資家にとっては、この分配金のタイミングや特性を知ることは重要ですこの記事では、投資信託における配当金の基本的な仕組みから、その取り扱いや最適な活用方法までを網羅的に解説します。投資効果の最大限を引き出すための知識として、ぜひ参考にしてください。
投資信託の配当金
投資信託の配当金とは何か
投資信託の配当金とは、投資信託が運用する資産(例:株式、債権など)から得られる収益の一部で、投資家へ分配される金額を指します。
具体的に説明すると、投資信託は多くの投資家から集められた資金で構成され、その資金を使ってさまざまな金融資産に投資します。これらの金融資産が生み出す収益のうち、一部の経費や運用報酬として運用会社に支払われた後の残額が、投資家に配当金として分配されることになります。
配当金の分配頻度は投資信託によって異なり、例えば毎月、年に1回、半年に1回、3ヵ月に1回などと定められています。
投資信託の配当金は大きく分けて2種類のタイプがあります。それは、「普通分配金」と「特別分配金」です。投資信託を購入したときのファンドの基準価額(個別元本)によって名称が分かれます。
普通分配金は、定期的に投資家へ分配される分配金です。多くの投資信託は、「配当方針」というものを持っており、それに基づいて決まったスケジュールで普通分配金を支払います。
また、普通分配金は、通常の事業活動や投資から得られる収益に基づいています。投資信託の場合は、運用資産から得られる収益(例:株式の配当、債権の利息など)が該当します。
普通分配金は投資家にとって所得として認識され、20.315%(所得税15.315%、住民税5%)の税金が課されます。
投資信託分配後基準価額(※1)が個別元本(※2)を下回る場合、その個別元本を下回る部分は「特別分配金」とみなされます。
特別分配金は、元々投資家が投入した元本の一部とみなされるため、所得としての課税対象とはなりません。これは、実質的に投資家が自らの元本を取り戻しているだけで、新たな収益や所得を得ているわけではないためです。
※1 個別元本...投資家が投資信託に投じたお金のこと。
※2 基準価額...投資信託の日々の価値を示すもの。この価値は、その日の総資産を投資家がもつ受益権の総数で割った1口あたりの価値を示している。
投資信託の配当金の計算方法
投資信託の配当金の計算方法は、普通分配金から税金を引き、そこから購入や売却にかかる手数料を引いて計算します。
配当金と税金
2013年までは証券税制の軽減税率が適用されていたため、投資信託の利益にかかる税率が10.145%でしたが、2014年以降は制度の廃止に伴い、20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)に上昇しました。
投資信託を購入する際は、投資家は販売会社に「購入時手数料」を支払います。購入時手数料はファンドや証券会社によって異なり、手数料がない会社もあります。
投資信託が運用される期間中には、「運用管理費用(信託報酬)」が信託財産から自動的に引かれます。この費用は、運用活動に関連するコストをカバーするためのもので、運用会社、販売会社、そして信託銀行の間で分けられます。
また、投資信託を売却する際には「監査報酬」や「売買委託手数料」、「信託財産留保額」などのコストも信託財産から取られます。
各投資信託サービスごとにこれらの費用は異なってくるため、投資を売買する際には事前にファンドが交付する目論見書(※)などで詳細を確認することが重要です。
※目論見書・・・投資信託サービスに関する詳細情報をまとめた公式文書。投資家に向けて投資先やリスク、手数料などの情報を提供することを目的とする。
配当金の具体的な計算方法
具体的な数値を用いてシミュレーションしてみましょう。
例として、10,000円の基準価額で10万円の投資信託を購入した場合、その基準価額が12,000円に上昇した際に10,000円の分配金を受け取ることを考えましょう。
この場合、基準価額が投資開始時点から上昇しているので、この分配金は税金がかかる普通分配金として扱われます。
この10,000円に20.315%の所得税がかかるため、税額は2,031円となる点に注意しましょう。10,000円から2,031円を引いた7,969円が分配金として支払われます。
計算式
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10,000(普通分配金)×20.315%(所得税)=2,031円(税金の額)
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10,000−2,031=7,969円(税引き後の分配金の額)
ここから、各投資信託商品ごとに設定されている「監査報酬」や「売買委託手数料」、「信託財産留保額」等の各種費用が引かれた額が最終的に受け取ることのできる分配金となります。
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投資信託の配当金の節税方法
投資信託の配当金は、所得として20.315%の税金が課されます。しかし、日本にはこれらの税金を節約できる制度がいくつか存在します。
そこで、NISAとiDeCoを利用した節税方法について詳しく解説していきます。
NISAを利用した節税方法
NISA(少額投資非課税制度)は、投資信託や株式の所得にかかる税金を非課税にすることができる制度です。
この制度の最大の特徴は、NISA口座を通じて購入した株式や投資信託の収益、例えばキャピタルゲインや配当金などが一定期間の間非課税になることです。そのため、NISAを利用している場合は実質的な利回りを向上させることが可能です。
NISAには、大人が対象の「一般NISA」「つみたてNISA」、そして未成年者向けの「ジュニアNISA」の3つのカテゴリーが存在します。
「一般NISA」では、年間の上限120万円まで株式や投資信託などの金融商品を購入することができ、その収益を最長5年間、税金を払わずに保有することが可能です。
「つみたてNISA」は、特定の投資信託に限定されており、年間40万円までの投資が認められ、最大20年間非課税で保有することができます。
最後に、「ジュニアNISA」は未成年者が対象となる制度で、年間80万円までの株式や投資信託の購入が許可されており、5年間税金を払わずに保有することができます。
一般NISA | つみたてNISA | ジュニアNISA | |
非課税期間 | 5年間 | 20年間 | 5年間 |
年間非課税枠 | 120万円 | 40万円 | 80万円 |
投資可能商品 |
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特定の投資信託 |
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なお、2024年には「一般NISA」「つみたてNISA」が統合された新制度「新NISA」が開始されます。ジュニアNISAは2023年で制度終了のため新規取引ができなくなります。
出典:金融庁「NISAとは?」
iDeCoを利用した節税方法
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分の将来のリタイアメント資金を積み立てる制度です。iDeCoに拠出する金額は所得から控除され、年間40万円を拠出すると、その分だけ所得税や住民税が軽減されるという恩恵があります。
そのため、iDeCoを用いて投資信託に投資する場合は税引き前の高い利回りを維持しつつ、資産を増やしていくことが可能になります。
さらに、iDeCoのアカウント内での投資信託の運用によって得られるキャピタルゲインや配当金は非課税となります。多岐にわたる投資信託から、自分のリスク許容度や投資目的に応じて選択できるため、個々の投資スタイルに合わせて運用することが可能です。
拠出金額の変更や、投資先の変更も容易に行うことができるため、様々な市場環境にも対応することができます。
しかし、iDeCoは、60歳まで原則として資産を引き出すことができず、それ以前に引き出すと税制上の優遇は受けられないというデメリットがあります。 また、口座管理手数料がかかります。しかし、証券会社によっては、口座管理手数料のうち運営管理手数料が無料になる場合もあります。
このデメリットを理解し、自身のライフスタイルや資産運用の目的、リスク許容度に合わせて利用するかどうかの判断をすることが重要です。
投資信託の配当金はいつ受け取るのか
投資信託を保有している場合、配当金を受け取る具体的なタイミングや方法は、投資家が知っておくべき重要な情報となります。以下に、投資信託の配当金に関する基本的な知識と受け取り方を解説します。配当金の支払いスケジュール
配当金が支払われるタイミングは、投資信託の種類によって年1回、2回、4回、毎月などの複数のパターンがあります。 投資信託の配当金は純資産から出るため、その結果基準価額が下がることになります。そのため配当金を受け取らずに再投資することで、複利効果を利用して効率よく資産を増やすことができます。
再投資は税金の影響もあるため、少ない決算頻度の投資信託を選択することで、複利効果を最大限に活用することができます。
支払日の確認方法
配当金の支払日は、投資信託の交付目論見書によって確認することができます。 投資信託の交付目論見書は、投資信託の運用会社が投資家に対して提供する公式文書であり、その投資信託の詳細情報を全て網羅しています。
投資をする前に投資家が知っておくべき基本的な情報を記載したもので、配当金の支払日の他にも投資方針や過去の運用実績、手数料や運用会社の情報なども把握することができます。
タイミングの決まり方
配当金の支払いタイミングは、主にその投資信託の決算期に基づいて決まります。投資信託の場合、MRF(※1)やMMF(※2)のように即日配当金を受け取ることができるものもありますが、一般的には受け取るまでに4〜5営業日の時間を要する場合が多いです。また、一定期間の間換金することができない「クローズド期間」(※3)というものを設けている投資信託もあるため、自分が配当をどのように利用したいのかによって投資信託を選択することが必要です。
分配金受け取り型の投資信託は、決算日がくると、その後の一定期間で分配金が投資家の預かり金に加えられることになります。信用口座を持っている人は、この分配金が保証金として追加されることになります。 分配金再投資型では、受け取った分配金が自動的に元本にプラスされ、投資総額が増えていきます。
※1 MRF:マネー・リザーブ・ファンドの略で、毎日決算を行い、信用度が高い公社債や短期の金融商品を中心に運用する投資信託の一つ。公社債投資信託として別途注文を必要とする。
※2 MMF:マネー・マネジメント・ファンドの略で、毎日決算を行い、安全性の高い公社債や短期の金融商品を中心に運用する投資信託の一つ。証券口座に入金すると自動運用される。
※3 クローズド期間:解約による資産が突然減少することを防ぐために設けられた、解約請求できない期間のこと。大きな天災などの特別な事由が発生した場合には、クローズド期間中でも換金が可能になる場合がある。
配当金の再投資
投資信託の配当金の再投資とは、受け取った配当金を用いて、同じ投資信託の新たな口数を購入する行為を指します。
投資信託には、配当が定期的に支払われるものと、解約や売却をする時まで配当を出さずに全ての資産を再投資するものの二つのタイプが主に存在します。
2つの投資信託
- 配当が定期的に支払われるもの
- 解約や売却をするときまで配当を出さずに全ての資産を再投資するもの
配当が定期的に支払われる投資信託は、配当がもらえることによって一定の利益を確定できるというメリットがあり、得られた収益は現金として出金することも可能です。
なぜなら、投資信託にはリスクもあるため、運用の結果によっては自分の期待通りの収益を得ることができない可能性があるからです。
しかし、運用収益が分配されてしまうと、運用資金が減ってしまうため、その収益を再投資してさらなる利益を追求するチャンスを失ってしまうというデメリットがあります。
一方で、「分配金が支払われない」タイプでは、運用収益を全て再投資に回すため、長期的には複利効果を最大限に活用することが期待できます。そのため、資産の成長が加速される可能性があります。
しかしながら、このタイプでのデメリットは、売却を行うまで収益を得ることができない点です。もし、解約や売却時の基準価額が初めて購入した時点での価額を下回っていれば、それまでの運用益は実質ゼロとなってしまうリスクがあります。
どちらのタイプで運用するかは、自分のライフスタイルに合わせて決めると良いでしょう。
リタイア後やセミリタイア中の人々など、定期的な収入源として分配金を活用したい人にとっては分配金受け取り型の投資信託が適しています。再投資によって高い運用効果を実現したい人や、長期的な資産の成長を目指す人にとっては、分配金を受け取らない選択が推奨されます。
比較項目 | 分配金を支払われる投資信託 | 支払われない投資信託 |
収益の取り扱い方法 | 分配金として定期的に収益を得ることができる | 資産の売却時に一時的に収益を得る |
所得税の取り扱い | 分配金として受け取った時点で税金が発生する | 資産を売却した際に差額分税金が発生する |
資本増加の可能性 | 分配後の再投資により資本増加のチャンスがある | 全ての収益が元本として再投資され資本増加が期待できる |
運用の柔軟性 | 分配金を受け取るか、再投資するかの選択が可能 | 自動的に全ての収益が再投資される |
どんな人向けか | 定期的な収入源として分配金を活用したい人 | 長期的な資産の成長を目指している人 |
参考元:日本証券業協会 投資信託「分配金あり」と「分配金なし」の違い
まとめ:配当金の仕組みや節税方法を知って利益を増やそう
投資信託の配当金は、投資先からの収益の一部を投資家に還元するもので、その存在は投資信託の魅力や運用の健全性を示す指標としても考えられます。配当金の計算方法や税金の取り扱いについては、実際の受取額を正確に把握するために欠かせない情報となります。
さらに、節税方法としてNISAやiDeCoを活用することが推奨されています。 配当金を受け取るタイミングについては、投資信託ごとの支払いスケジュールや決まり方を理解し、具体的な日程については目論見書や投資先の金融機関のWebサイトなどで確認することが大切です。 投資信託に投資を行う際には、これらの基本的な仕組みや節税の方法を理解し、自身の資産管理や投資戦略に適切に活用することが重要です。
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