ETFは「Exchange Traded Funds」の略称で、「上場投資信託」と呼ばれています。証券取引所に上場している投資信託で、投資信託の「インデックスファンド」と商品特性が似ています。
ETFもインデックスファンドも運用の目的は同じで、指数の動きに連動する運用成果をめざす、指数連動型の投資信託です。投資初心者でも投資するだけで簡単に分散投資が可能な商品です。
今回はランキング形式にてさまざまな商品を紹介していきます。
ETFとは?
ETFは、証券取引所に上場している指数連動型の投資信託です。ETFは日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)など、ある特定の指数の動きに連動する運用成果を目指しています。まずは、この金融商品の特徴を紹介します。
ETFの特徴とは
投資信託と似ているETFですが、主な特徴を簡単に3つ紹介します。
ETFの特徴
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信託報酬が安い
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分散投資ができる
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取引時間中いつでも取引できる
信託報酬が安い
信託報酬とは、投資信託の運用、管理、販売にかかる手数料です。ETFも投資信託の一種であるため、保有期間に応じて信託報酬がかかります。信託報酬には、運用会社への運用コスト、信託銀行への信託財産の管理コスト、販売会社の販売におけるコストが含まれていますが、ETFでは一般の投資信託とは異なり、販売会社への費用は発生しない銘柄が多数存在しており、各証券会社によって異なります。
信託報酬は毎日一定割合の金額が信託財産から差し引かれるほか、ETFの基準価額は信託報酬を差し引いて算出されます。そのため、一般的な投資信託と比べて少ないコストで運用できます。
なお、信託報酬とは別に購入時にかかる手数料に、取引手数料があります。証券会社やファンドによっても異なりますが、取引手数料を無料とするサービスも年々拡充されている点も魅力の一つです。
分散投資ができる
ETFは、ある指数に連動するように運用される指数連動型の投資信託の一種です。投資目的としては、インデックスファンドと同様であるため、1銘柄に投資するだけでも対象指標に対して分散投資をしている事になるので投資リスクを低減することができます。
さらに、連動する指数は国内株式や、米国をはじめとする外国株など様々存在し、その意味でも分散効果が期待できます。
この特性を持つETFは、とくに初心者や個人投資家にとって非常に魅力的な投資ツールとして認識されています。何故なら、多数の株や資産を直接手を出して購入する代わりに、一つのETFを購入することで幅広い市場に簡単にアクセスできるからです。この簡易性は、投資のハードルを下げ、より多くの人々が資本市場に参加する扉を開く役割を果たしています。
取引時間中いつでも取引できる
上場している金融商品であるので株式同様、証券取引所が開いている間は常時、取引が可能です。ETFは、1日1回しか価格が算出されない投資信託とは異なり、市場が開いている間は常にリアルタイムで基準価格が変動します。そのため、株価の変動を確認しながら、自分が買いたい価格で商品を購入する事ができます。
どれくらいの規模なのか
ETFは全世界で資産10兆ドルを超える規模のマーケット規模です。日本国内でも現在256本の国内ETFが存在しており、国内ETF純資産総額も67兆4,800億円と金額は拡大し続けています。(2023年5月現在)
連動する指数も多様化しており、株式や債券指数だけでなく、REIT(不動産投資信託)についても、東証のほか、米国や豪州といった海外のREIT指数を連動対象とする銘柄もあります。コモディティについても、金、銀、原油など主要な商品の価格に連動することをめざすETFが上場しています。
様々な資産だけでなく、日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)などの指標の、日々の変動率に一定の倍数を乗じて算出されるレバレッジ型・インバース型のインデックスが用意されており、これを連動対象とするETF銘柄もあり様々な商品が組成されています。
これらの多様なETFオプションは、投資家が自身のリスク許容度や投資目的に合わせて、最適なポートフォリオを構築する手助けとなっています。特に、海外の市場や異なる資産クラスへのアクセスを容易にする点で、ETFは現代の資産運用における強力なツールとなっています。
日本で購入できるETFの銘柄一覧は、東京証券取引所のHPで提供されています。
参照元:統計データ-投資信託教会
ETFはどのような人におすすめか
ETF投資は以下の人におすすめします。
ETFに向いている人
- 気軽に分散投資をしたい人
- 運用コストを抑えて運用したい人
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積極的に運用したい人
分散投資をしたい人
ETFは、1つの銘柄に投資するだけで複数の企業へ分散投資するのと同様の投資が可能です。また、株式と比較すると最低購入価格が低い傾向にある点も、資本が限られた個人投資家にとってメリットといえます。 そのため、少額から大きな金額まで分散投資したいという人におすすめの投資商品です。
運用コストを抑えて運用したい人
信託報酬についてはインデックス型投資信託よりETFの方が安い傾向にあるので、コストを抑えて運用したいという人にもETFがおすすめです。
分散投資ができて、運用コストを抑えられるETFは、リスクやコストを抑えて投資できるため初心者の方に適した投資方法と言えるでしょう。
積極的に運用したい人
また、積極的に運用したい方にもおすすめできます。取引時間中は価格変動しているので自身でポートフォリオを構築しながら、自由度高く資産運用したい方は投資信託よりもETFをおすすめします。
また、取引時間中はいつでも取引できるという利点から、希望の価格で売買できる可能性が高くなり、取引がスムーズになります。積極的に運用し、取引を成立させたい方にとっては、ETFという商品は魅力的に感じることでしょう。
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ETF純資産ランキング
ここでは、海外を含めたETF銘柄10個を純資産総額の大きいものから順に、ランキング形式で紹介します。 純資産総額は投資信託の人気を測る指標として使われることが多いです。
順位 | 銘柄名(略称) | 運用指標(ベンチマーク) | 純資産総額(千ドル) | 経費率(信託報酬) |
---|---|---|---|---|
1 | SPDR S&P500 ETF(SPY) | S&P500 | 411,463,000 | 0.0945% |
2 | iシェアーズ・コア S&P500 ETF(IVV) | S&P500 | 331,765,000 | 0.03% |
3 | バンガード・S&P500 ETF(VOO) | S&P500 | 317,763,000 | 0.03% |
4 | バンガード・トータル・ストックマーケット ETF(VTI) | CRSP USトータルマーケット・インデックス | 309,543,000 | 0.03% |
5 | パワーシェアーズ QQQ(QQQ) | NASDAQ-100 | 202,750,000 | 0.20% |
6 | NEXT FUNDS TOPIX 連動型上場投資信託 | TOPIX | 137,945,300 | 0.0642% |
7 | バンガード・FTSE先進国市場(除く北米)ETF(VEA) | FTSE 先進国オールキャップ(除く米国) インデックス | 115,790,000 | 0.05% |
8 | バンガード・米国バリューETF(VTV) | CRSP USラージキャップ・バリュー・インデックス | 101,743,000 | 0.04% |
9 | シェアーズ・コア MSCI EAFE ETF (IEFA) | MSCI EAFE インデックス | 100,623,000 | 0.07% |
10 | バンガード・米国トータル債券市場ETF(BND) | ブルームバーグ・バークレイズ米国総合浮動調整インデックス | 93,750,100 | 0.03% |
1位:SPDR S&P500 ETF(SPY)
1993年1月に設定された本ファンドは、米国において上場された最初のETFです。S&P500の株価指数の値動きに連動する投資成果を追求するファンドです。
経費率(コスト)は0.0945%と費用が抑えられていますが他社のETFに比べると少し割高に感じられます。
通常海外ETFはドル建で決済されるため、為替リスクを考慮しなければなりませんが、SPDR S&P500は国内のETF市場にも上場しているため、為替を考えず円で取引できる点が魅力的です。
*S&P500とは、市場規模、流動性、業種等を勘案して選ばれたニューヨーク証券取引所やNASDAQに上場および登録されている株式約500銘柄を、時価総額で加重平均し指数化した指標のことです。
参照元:SPDR S&P 500 ETF
2位:iシェアーズ・コア S&P 500 ETF(IVV)
iシェアーズ・コア S&P 500 ETFは、世界最大の運用会社ブラックロックが運用する上場投資信託(ETF)のiシェアーズシリーズの1つです。このETFもS&P500指数の値動きに、連動する投資成果を追求するファンドです。経費率が0.03%と安く抑えられており、コストを抑えて取引できます。
3位:バンガード・S&P 500 ETF(VOO)
バンガード・S&P 500 ETFはバンガード・グループが運用し、S&P500指数の値動きに連動する上場投資信託(ETF)です。
組み入れ銘柄は各ETFで異なる点がありますが、実際上記2つの上場投信を比べて純資産総額や手数料、パフォーマンスはほとんど変わらないETFとなっています。
参照元: バンガード・S&P 500 ETF
4位:バンガード・トータル・ストックマーケット ETF(VTI)
バンガード・グループが、「CRSP USトータルマーケット・インデックス」に連動する投資成果を追求するように運用する海外ETFです。
CRSP USトータルマーケット・インデックスは米国株式市場の大型株から小型株まで、投資可能な約4000社ほぼすべての銘柄の時価総額を基に算出される株価指数です。
VTIを購入するだけで、簡単に米国株式市場全体に分散投資することができます。また、経費率は0.03%で、他のファンドと比較してとても低い設定になっています。
5位:パワーシェアーズ QQQ
NASDAQ-100指数のパフォーマンスに連動する投資成果を追求する海外ETFです。NASDAQ-100指数は米国NASDAQ(ナスダック)市場の代表的な企業の株式100銘柄で構成される株価指数です。
QQQの組み入れ銘柄は成長株が中心になっているため、S&P500よりも価格変動(リスク)が大きいという傾向があります。過去のQQQのリターンは他のETFと比べて好調でした。そのため、QQQは配当金目的ではなく、値上がり益を目的都する投資に適しているETFとなっています。
参照元:パワーシェアーズ QQQ
6位:NEXT FUNDS TOPIX 連動型上場投資信託
野村アセットマネジメントがTOPIXに連動する成果を出すように運用する、資産ランキング唯一の国内ETFです。TOPIXの対象は、東証1部上場企業の全銘柄です。本ETFも2000銘柄以上に投資しています。
よって、国内株で分散投資しようと考えた際に候補に挙がるおすすめのETFとなっています。信託報酬は変動する場合もありますが、0.0642%と低く設定されています。
参照元:NEXT FUNDS TOPIX 連動型上場投資信託
7位:バンガード・FTSE先進国市場(除く北米)ETF(VEA)
VEAはFTSE 先進国オールキャップ(除く米国) インデックス(ACDXUSR)と同等の投資成果を目指す海外ETFです。
FTSE先進国オールキャップ(除く米国)インデックスは、米国株を除き、大・中・小型の先進国市場における株式の市場時価総額で構成されています。
FTSEグローバル株式インデックス・シリーズの1種で、24か国のおよそ3,700銘柄で構成されています。こちらも組入銘柄が多いため、実質的に分散投資することができます。
8位:バンガード・米国バリューETF(VTV)
このファンドは、「CRSP USラージキャップ・バリュー・インデックス」に連動する投資成果を追求する海外ETFです。この指標は「CRSP USラージキャップ・インデックス」の内、企業価値に対して割安感のあるバリュー株と判断された銘柄で構成されています。
VTVはGAFA等のグロース株に投資するETFに対しパフォーマンスには劣っていますが、分配金利回りが比較的高く設定されており、インカムゲインを期待できるおすすめのETFになっています。
参照元:バンガード・米国バリューETF
9位:iシェアーズ・コア MSCI EAFE ETF(IEFA)
ブラックロックが運用するこのETFは、MSCI EAFE IMI Indexに連動する投資成果を目指します。EAFE(イーファ)とは、欧州(Europe)、オーストラレーシア(Australasia)、極東(Far East)地域の略称で、先進国21カ国(米国、カナダを除く)の各株式市場の時価総額の約99%を網羅する約3,016銘柄で構成されている株式ETFになります。
組入れ銘柄の構成国として、1位が日本となっており、米国以外の市場を対象に投資を考えるときのETFとしておすすめです。
10位:バンガード・米国トータル債券市場ETF(BND)
「ブルームバーグ・バークレイズ米国総合浮動調整インデックス」に連動するように、アメリカの投資適格債券全体に投資している債券ETFになります。投資適格債券とはBBB格付以上の債券のことで、信用力が高い債権になります。
BNDは主に、米国債券に投資しており、株式とは異なる値動きが見受けられます。本ファンドは、2021年から続けて行われた利上げによって大きく価格を下げてしまいました。しかし、今後景気が回復するときに価格上昇を期待できるETFとなっています。
ETFを選ぶポイント
ETFには多くの銘柄が存在しているため、取引する目的によって注目するポイントは異なり、選ぶべき銘柄も変わってきます。ここでは、ETFを選ぶときに注目すべきポイントを3つ紹介します。
ETFを選ぶポイント
分配金
ETFの分配金は権利付最終日に保有している投資家にETFの組入銘柄から生じた収益(配当金や利息)の中から、信託報酬など必要な諸経費(コスト)を控除して支払われます。
ETFの中にも売却益(キャピタルゲイン)を狙うETFや分配金が多く支払われる高配当ETFなどと種類があります。また、支払い時期や回数も銘柄によって様々なので、銘柄の公式サイトを検索してよく確認してみましょう。
*分配金とは、投資信託の運用利益や元本から、投資家に純資産の一部を払い戻すお金のことです。
運用コスト
一般に、投資信託に対してETFの手数料は割安とされています。そのETFの中でも運用コストは銘柄によって様々です。銘柄の詳細情報をよく確認しましょう。
特に、海外ETFの購入については注意が必要です。米国ETFの場合、分配金は現地で10%源泉徴収され、さらに国内で20.315%源泉徴収されるため二重課税となってしまいます。この場合、確定申告で現地での源泉徴収分10%分還付を申請しないと余分に税金がかかってしまいます。
自身の目的に沿った指標を選ぶ
上記の銘柄説明で連動対象の指標を紹介していることからわかるように、ETFはある指標に沿って投資、運用されます。値上がり益目的又は分配金目的なのかを決めておき、自身がとれるリスク、リターンに見合う指標に投資されているETFを選んで売買することをおすすめします。
純資産総額が高いETFの多くは世界の景気を測る有名な指標をインデックスとしていますが、その他にも、利回りが高い新興国ETFや、現在話題である半導体産業やそれに関連する事業に特化した指数に連動するETF等、多種多様なETFがあります。ETFが連動対象とする色々な指標をよく調べ、自身の目的に沿った銘柄を選定してみましょう。
流動性で選ぶ
同じ指数に連動するETFでも、売買高に違いがあるため、投資家はその流動性に注意を払う必要性があります。売買高は、特定のETFがどれだけの活動を見せているかを示し、これが少ないと、そのETFの流動性が低いことになるため、買値と売値の差(スプレッド)が拡大したり執行リスクの増大が発生するなどのデメリットが多く発生する可能性があります。
流動性を確認するためには、最初に売買高、売買代金を確認することが必要です。新聞やオンラインの金融サイトを利用して、1日にどれだけの売買が成立したのかを調べることができます。これによって、ETFの活性度や市場の動向を把握しましょう。
乖離率で選ぶ
ETFの乖離率は、市場価格と基準価額との差を表しており、ETFを取引する際に重要なポイントとなります。乖離率は、特に取引量の少ないETFでは大きくなり得るため、注意が必要です。
海外資産に投資するETFでは、市場価格と基準価額の乖離が一層顕著になり得ます。これは、海外の資産の時価評価が前日の終値で行われるため、時差によって影響を受けやすいからです。
ETFを選ぶ際は乖離率がゼロに近いものを選ぶのが理想的です。乖離率が低いETFは、市場価格が基準価額に近いため、投資家は適切な価格で取引を行うことができるでしょう。
まとめ:ETFで手軽に分散投資をしよう
ETFは少額で分散投資をしたいという人から、自分の好きなタイミングで売買したいという人までおすすめの金融商品です。証券口座があれば手軽に売買できることから、投資初心者でも投資できます。
一方で積立できない点や、投資信託に比べて商品が少ないなど、ETFには注意点もあります。メリットデメリットを確認しながら、どの資産、金融商品に投資するか考えてみてください。
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よくある質問
Q | ETFとインデックスファンドの違いはなんですか? |
A | ETFもインデックスファンドもどちらも投資信託ですが、大きな違いは、上場しているかどうかという点です。 ETFは上場しており、証券取引所を通して取引するのに対し、投資信託は上場しておらず、証券取引所を通しません。 |
Q | ETFの配当はどうやってもらう? |
A | 分配金を受け取るための条件は、決算日の2営業日前までにETFを保有していることです。その後は40日以内に希望の受け取り方法にて受け取ることが可能です。 |
Q | 日本の高配当ETFのおすすめは? |
A | 高配当ETFとして利回りが高いETFは「上場インデックスファンド日本高配当」、「日経高配当株50ETF」などがあります。 また、一般的には、利回りに限らず以下に当てはまるものがおすすめです。
これらの点に注意しながら自分に合った銘柄を総合的に判断しましょう。 詳しくは「国内高配当ETFランキングTOP10!おすすめ銘柄についても解説」を参照。 |
Q | 高配当ETFとはなんですか? |
A | 高配当ETFは、配当利回りの高いETFのことです。株式市場の平均的な利回りは1~2%ほどですが、高配当ETFには3~4%と高い分配利回りのものが多いです。安定性が高く、値下がりリスクが少ないというメリットがある一方で、構成銘柄は既に成長してしまったものが多く、高い成長率は見込めないというデメリットもあります。 |
Q | ETFに投資する際はどのような基準で判断すれば良いですか? |
A | ETFにも多くの銘柄が存在し、取引する目的によって、購入すべきETFが異なります。 現在の株価や、分配金、運用コストなど、様々な情報を収集し、自分がどのような目的で運用を行いたいのかを加味して、総合的に判断しましょう。 詳しくは「ETFを選ぶポイント」を参照。 |