【第6回】ETFの税金 - ETF
ETF [ ETFの基礎 ]
【第6回】
ETFの税金
ETFに投資した場合の課税上の取り扱いは基本的には株式と同じですが、一部のファンドについては、取り扱いが異なります。これは同じETFであっても、法律上の分類が異なるためです。現在のところ、ほとんどのETFについては、株式と同様に、譲渡(売却)時に利益が発生していればその利益は課税対象となります。また、分配金が支払われた場合にも課税対象となります。
【一般的なETFのケース】
譲渡益の課税
ETFを譲渡(売却)したときの利益は、申告分離課税の対象として他の所得と区別して税金を計算します。税率は10%(所得税7%、地方税3%)です。特定口座での取引については、源泉徴収口座か簡易申告口座のいずれかを選択します。
源泉徴収口座の場合、譲渡益は10%の税率で源泉徴収されるため、確定申告の必要はありませんが、次の場合には確定申告の必要があります。
◆ 他の口座での株式等の譲渡損益と相殺する場合
◆ 配当所得と損益通算する場合
◆ 上場株式等に係る譲渡損失を繰越控除する特例の適用を受ける場合
簡易申告口座の場合、その特定口座内での上場株式等の譲渡による譲渡所得の金額について、特定口座外で譲渡した他の株式等の譲渡による所得と区分して計算されます。この計算は証券会社が行ないますので、証券会社から送られる特定口座年間取引報告書により、確定申告を簡単に済ますことができます。
譲渡益の税率は、平成23年12月31日までは軽減税率が適用され、10%(所得税7%および地方税3%)ですが、平成24年1月1日以降は、税率は20%(所得税15%、地方税5%)になる予定です。
配当所得の課税
ETFの収益分配金は配当所得として所得税の対象です。分配金は、平成23年12月31日までは、10%(所得税7%、地方税3%)の税率で源泉徴収されます。源泉徴収された分は、その年分の所得税額を計算する際に差し引かれます。配当所得は、原則として総合課税の対象で、確定申告を行なうことが基本となっていますが、確定申告不要制度という特例により、納税者の判断により確定申告をしなくてもよいことになっています。また、平成23年12月31日までは、10%(所得税7%および地方税3%)の税率での申告分離課税を選択できます。この場合、申告する配当所得については、ETFだけでなく全ての上場株式等の配当全額について、総合課税か申告分離課税かの選択を統一する必要があります。なお、平成24年1月1日以降は、配当所得に係る税率は20%(所得税15%、地方税5%)となる予定です。
損益通算
ETFや上場株式等の譲渡損がある場合やその年の前年以前3年内の各年に上場株式等の譲渡損失の金額のうち、前年以前に控除されていないものがある場合には、申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得の金額から控除することができます。これを損益通算と呼びます。平成22年1月からは、源泉徴収口座内における損益通算が可能になりました。
【配当所得の課税】
確定申告を行なう | 確定申告を行なわない (確定申告不要制度を利用) |
||
総合課税 | 申告分離課税 | ||
借入金利子の控除 | あり | あり | なし |
税率 | 累進税率 | 10% (所得税7%、地方税5%) |
10% (所得税7%、地方税5%) |
配当控除 | あり | なし | なし |
上場株式等の譲渡損失との損益通算 | なし | あり | なし |
【ETFSのケース】
2009年8月に東京証券取引所に上場したイーティーエフ・セキュリティーズ・リミテッド社(ETFS)の運用する「ETFS 金上場投資信託」をはじめとする5本の貴金属ETFについては、税金の取り扱いが異なります。ETFSの貴金属ETFは 、投資信託法第220条の「外国投資法人の発行する投資法人債券に類する証券」に該当し、株式投資信託等と課税上の取り扱いが異なり、特定口座の対象外です。個人が取引する場合、外国投資法人の発行する投資法人債券として扱われるため、譲渡益については非課税となり、売却益には課税されません。一方で、損失が発生した場合でも株式等の譲渡益と損益通算することができません。なお、ETFSの貴金属ETFは上記のように債券として取り扱われますが、利子(分配金)を支払いません。
最新ネット証券比較ランキング
口座開設されてない初心者の方に向けた、ネット証券が比較できる最新ランキングTOP10はこちらです。口座開設手続きはネット上で完結できます。口座開設キャンペーンもご紹介してます。是非この機会に、ネット証券の口座開設を行ってみましょう。
監修者:菅原 良介
編集者:K-ZONE money編集部