【第7回】ETFの繰上償還と上場廃止 - ETF
ETF [ ETFの基礎 ]
【第7回】
ETFの繰上償還と上場廃止
日本国内に上場しているETFの運用期間は全て無期限になっています。そのため、運用期間という面で言うと、長期投資に最も適した投資商品であると言えます。しかし、株式と同様に、ETFも上場廃止になることがあり、その場合、ファンドは繰上償還され、投資家が想定していた長期運用は中止せざるをえなくなってしまいます。
ETFの上場廃止基準は東京証券取引所「有価証券上場規程」および大阪証券取引所の「ETFに関する有価証券上場規程の特例」などにおいて、内国ETF・内国商品現物型ETFと外国ETF・外国商品現物型ETFなどのタイプ別に細かく定められています。例えば、国内ETFについては、次のようなものが含まれています。
◆ ETFの管理会社の金融商品取引業の登録が失効した場合
◆ ETFの管理会社が社団法人投資信託協会の会員でなくなった場合
◆ ETFの受託会社が認可を取り消された場合
◆ ETFの一口あたりの純資産額と特定の指標の相関係数が0.9未満となった場合において、1年以内に0.9以上とならないとき
これまでに、次のETFが上場廃止になっています。
◆ iシェアーズS&P/TOPIX150(上場廃止日:2004年1月9日)
◆ FTSE 日本指数連動型上場投資信託(上場廃止日:2004年8月31日)
◆ iシェア−ズTOPIX(上場廃止日:2004年9月10日)
◆ ダイワ上場投信−東証輸送用機器株価指(上場廃止日:2005年8月27日)
◆ 東証輸送用機器株価指数連動型上場投資信託(上場廃止日:2005年9月3日)
◆ NEXT FUNDS ブラジル通貨レアル連動型上場投信(上場廃止日:2010年2月16日)
◆ NEXT FUNDS インド通貨ルピー連動型上場投信(上場廃止日:2010年2月16日)
◆ NEXT FUNDS ロシア通貨ルーブル連動型上場投信(上場廃止日:2010年2月16日)
これらのETFの上場廃止理由は、いずれも受益者数が上場維持に必要な数を下回ったことが要因でした。例えば、FTSE 日本指数連動型上場投資信託の場合は、大阪証券取引所が当時、上場基準の一つとしていた受益者数500人以上という基準を満たさなかったことが要因でした。また、ダイワ上場投信−東証輸送用機器株価指数の場合、東京証券取引所が定めていた受益者数100人以上という基準を満たせなくなったために上場廃止となりました。
しかし、東京証券取引所は、2007年11月1日付けの規則改正で、ETFの上場廃止基準における受益権口数、受益者数及び売買高の基準を撤廃しました。また、大阪証券取引所についても、2007年12月1日に実施した証券市場を取り巻く環境の変化を踏まえた上場制度の見直し等に係る関連諸規則の一部改正において、受益者数及び売買高に関する上場廃止基準を撤廃しています。そのため、現行の両取引所の上場基準では、受益者数や売買高の不足を理由にETFが上場廃止になることはありません。
なお、2010年2月16日に上場廃止された「NEXT FUNDS ブラジル通貨レアル連動型上場投信」「NEXT FUNDS インド通貨ルピー連動型上場投信」「NEXT FUNDS ロシア通貨ルーブル連動型上場投信」については、上場廃止理由は、大阪証券取引所の定める有価証券上場規程第15条の運用会社による上場廃止申請が行なわれたためです。運用会社が上場廃止申請を行なった理由は、「設定時と比較して純資産が大きく減少したファンドの純資産総額の状況では、指標連動有価証券への新たな投資が非常に困難な状況となり、ファンドの基準価額を対象指標に連動させる運用が行なえなくなると判断した」というものでした。つまり、取引所が定める上場廃止基準をETFが満たせなければ上場廃止が決定されると同時に、運用会社の判断で上場廃止申請を行なって、それが取引所で認められて上場廃止になることもあるわけです。
上場廃止が決定後のプロセス
取引所によって上場廃止の決定が行なわれると、ETFは整理銘柄に指定されます。この期間は一ヵ月間で、これが取引所において該当するETFを売買できる最後の期間になります。整理銘柄に指定されると、信用取引は行なえなくなります。整理銘柄指定期間が終了すると、ETFは上場廃止になります。整理銘柄指定期間内に取引所で売却しなかった場合には、運用会社の指定する証券会社に対して買取請求を行なって換金することになります。上場廃止になったETFは信託約款の規定に基づき、受託者との合意のうえで、繰上償還されます。この繰上償還日が信託終了日となります。なお、信託終了日までに換金してなかった場合、信託終了日から10年間は、償還受益金の買い取り請求を行なうことができますが、この場合、償還受益権の買取価額は信託終了日の基準価額となります。
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