心療内科や精神科に通院した場合、生命保険の加入に影響することがあります。今回は、生命保険と心療内科・精神科の通院歴との関係について、分かりやすく説明をしていきます。
生命保険加入時に心療内科の通院歴はバレる?
結論からお話しすると、生命保険加入時には、保険会社に心療内科の通院歴がバレる可能性は低いです。ただし、生命保険加入時にバレなくても、保険金を請求するときにバレる可能性が極めて高いので、通院歴を隠すのは絶対にやめましょう。
保険会社への告知の義務を果たさずに、契約を継続したりお金の受け取りを行ったりすることができなくなる人もいます。そうならないためにも、あらかじめ保険会社に症状を告知しておくことが重要だと言えます。
では、なぜ保険金を請求する時にバレる可能性が高いのか、それは保険会社は保険金を支払う際に、過去の「通院歴」や「病歴」を厳重に調査をするからです。
保険会社は以下の項目を調査します。
保険会社の調査項目
- 治療期間
- 過去の治療記録
- 健康診断の記録
- 治療中の担当医などへのヒアリング
このように、保険会社は保険金の支払いの判断を適正に行うために、被保険者本人の通院記録を病院や保険組合に対して厳重にチェックすることができます。
通院の告知義務がある期間
通院や入院などの治療の記録は、5年間の保存義務が病院にあります(※1)。
また、告知をする際、過去5年以内に診察や治療をしたことを保険会社に告知しなければなりません。その場合、生命保険に加入するのは難しくなりますが、医師が発行した完治の証明書があれば加入できる場合もあります。
ただし、加入できても条件付きの契約になる事が多く、「特定疾病・特定部位不担保」での契約になるかもしれません。「特定疾病・特定部位不担保」とは、指定された病気について、一定の期間は補償されない契約のことです。
例えば、指定された病気がうつ病だった場合、うつ病が原因で休職して、入院や通院をしても、保険金が出なくなる契約になります。また、「一定期間」は長期にわたるケースが多いです。
条件付きの契約になる場合は、保険会社への相談なども踏まえ慎重に加入するか否かを検討するようにしましょう。
※1 保険医療機関及び保険医療養担当規則(いわゆる療担規則)第九条
心療内科や精神科への通院歴はどのようにバレる?
心療内科や精神科への通院歴がどのように保険会社にバレるのか気になる方も多いでしょう。なぜ通院歴などが保険会社にバレるかというと、保険会社は病院や健康保険組合に調査して、保険証の受診履歴や通院歴を調べることができるからです。
病院は、治療が終わってから5年間、カルテを残すことが義務付けられており、保険会社側は、期間中可能な限りで被保険者の通院歴を確認できます。生命保険に通院歴などを隠して加入した場合、保険金を請求したときに過去の通院歴がバレてしまう可能性が高いでしょう。
告知していない病歴があるときは、早めに保険会社に伝えましょう。もし、告知しなかった通院歴などがバレると、保険会社から「契約の解除」もしくは「契約の取り消し」のペナルティが課せられる可能性が高いです。
保険会社は、契約してから2年以内であれば、契約の解除が行えます。(※2)契約の解除になった場合、告知義務違反の内容と保険金の支払い事由に因果関係があれば、保険金は支払われません。解約返戻金がある場合は、解約返戻金は受け取れます。
また、契約の取り消しとは、特に告知義務違反の内容が重大な場合のペナルティです。契約の取り消しの場合、保険金が支払われないのはもちろん、支払った保険料や解約返戻金も返還されません。
告知義務違反は、最悪の場合、詐欺罪による刑事罰を受ける場合もあります。契約の取り消しは、契約してから2年以上経っても行われますので、告知義務は必ず守りましょう。
告知の方法には、告知書の記入等が必要です。(※3)自身の症状を保険会社の社員に口頭で伝えただけでは告知にならないので、注意しましょう。不安な場合は書類の記入などに関して保険会社の窓口などに相談するとよいでしょう。
(※2)公益財団法人生命保険文化センター「保険に関するQ&A 告知義務違反について」
(※3)公益財団法人生命保険文化センター「保険に関するQ&A 病歴があったのに告知するのを忘れていたら?」
生命保険加入後に心療内科を受診しても大丈夫?
生命保険加入後に心療内科や精神科を受診しても、加入している保険会社に通院を告知する必要はありません。ただし、新たに生命保険に加入する場合は、心療内科の受診履歴を保険会社側に告知しなければなりませんので注意してください。
契約の更新はできる?
生命保険加入後に心療内科・精神科を受診した場合でも、現在の契約内容のままであれば、問題なく更新できます。ただし、今、入っている保険を解約して新規に保険に加入するのは困難なので注意してください。
契約の見直しはできる?
生命保険加入後に心療内科・精神科を受診し、契約の見直しをする場合には保険会社は通院歴を確認する場合があります。場合によっては、病気の症状などにより、保険会社と相談しても希望する内容に変更できない可能性がありますので注意しましょう。
新たに特約は付けられる?
生命保険加入後に心療内科・精神科を受診し、新たな特約(契約のオプション)を付ける場合も保険会社は通院歴を確認する場合があります。状況によっては特約を付けられない可能性がありますので、注意してください。
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うつ病でも生命保険はおりる?
結論としては、状況によって保険金がおりる場合もおりない場合もあります。ご自身がどちらに当てはまるかを確認してみましょう。
生命保険加入前にうつ病になった場合
生命保険に加入する前にうつ病になった場合は、そもそも生命保険に加入するのが難しいです。生命保険は、大勢の加入者があらかじめ公平に保険料を負担しあい、病気・死亡など「もしも」のことが現実に起きたときに給付を受けるという公平な仕組みになっているからです(※4)。
もし医師からうつ病と診断された場合、健康な方よりも保険金を受け取る可能性が高くなってまうため、生命保険に加入することが難しくなってしまいます。
※4 生命保険文化センター「生命保険とは:大勢の人が保険料を負担し、給付を受ける仕組み」
このように、生命保険の特徴は公平性の原則から、うつ病等の症状になった後は、加入するのが不利になります。
ただし、生命保険加入前にうつ病になった場合でも、うつ病が完治してから5年以上経ち、その間、医師の診断を受けていなければ、告知義務はありません。また、完治から5年経たずとも医師が発行した完治の証明書があれば、加入できる可能性があります。
証明書が貰えるか主治医や当院に1度相談してみることをおすすめします。その場合、保険加入時に保険料の割増や特定の疾病を対象外とするといった条件が付くケースが多いので、契約内容をしっかり確認しましょう。
生命保険加入後にうつ病になった場合
生命保険加入後にうつ病の症状になった場合、契約時点でうつ病になっていなければ、保険金はもらえます。また、新規に契約した時と同じ条件で保険を更新するのであれば、更新時に告知義務の回答や保険会社の審査を受けることはありません。
別保険に新規加入する場合や現在の保険契約の内容を変更する場合は、告知義務が発生しますので注意しましょう。例えば、うつ病になっていて、充分な症状の回復や改善が見られない状況で、新たに生命保険の契約をするのは難しいということになります。
もし生命保険加入後にうつ病になった場合は、すでに加入している保険の契約を維持し続けるのが良いと言えるでしょう。また、企業の従業員として働いていてうつ病で休職した場合、健康保険の傷病手当金を受給できる可能性があるので、会社に相談してみることをおすすめします。
傷病手当金とは、被保険者が病気やケガで働けなくなった場合に、支給される健康保険制度です。詳しくは以下の記事を参考にしてください。
【関連記事】傷病手当金がもらえる条件は?支給時の注意点も解説
うつ病はこころの病と言われており、日ごろの不安や仕事の悩み、環境面でのストレス、心身の不調等、様々な要因で発生します。治療に時間がかかってしまう場合も多く、病院の利用や会社への対応などに追われる可能性が高いです。
少しでもうつ病の症状が感じられる場合は、早めに心療内科や精神科、メンタルクリニックへの相談・利用をおすすめします。
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心療内科の通院歴があっても生命保険に加入するには?
心療内科や精神科の通院歴があり、完治してから5年経っていなくても生命保険に加入する方法はあります。
例えば、引受基準緩和型生命保険へ加入したり、主治医による完治証明書を発行することで、生命保険に入れる可能性が高まります。
本記事では、以下2つの方法について詳しく見ていきます。
心療内科の通院歴があっても生命保険に加入する方法
- 引受基準緩和型生命保険への加入
- 無告知型・無選択型生命保入
引受基準緩和型生命保険に加入する
心療内科や精神科の通院歴があり、病気が完治してから5年以上経っていなくても、引受基準緩和型生命保険であれば加入できる可能性があります。引受基準緩和型生命保険とは、加入の際における健康状態・症状に関する告知が通常の医療保険に比べると緩い保険のことです。
引受基準緩和型生命保険に加入するには、以下の項目を告知する必要があります。
このように告知基準が緩いので、通常の生命保険の告知基準には引っかかってしまう方でも、引受基準緩和型であれば加入できる可能性があるのです。
ただし、引受基準緩和型の生命保険は、告知内容が緩い分、通常の生命保険に比べると保険料が割高になり、保険によっては受け取ることができる保険金が一定の間、減額になる場合があります。不安を生まないためにも、保険料や補償内容について事前に確認するようにしましょう。
引受基準緩和型生命保険に加入した後に、症状が改善・回復していた場合、一般の保険に変えられる可能性はありますので、保険の相談窓口やファイナンシャルプランナーに相談することをおすすめします。
無告知型・無選択型生命保険に加入する
無告知型・無選択型生命保険とは、その名の通り、生命保険加入の際に健康状態の告知が必要ない生命保険です。無告知型・無選択型生命保険は、健康状態の告知回答が必要ないので、持病を持っている人も基本的に加入できます。
しかし、保険会社からすると、一般の生命保険に比べて保険金を支払うリスクが高くなるため、保険料が高額になり補償内容も手薄になることが多いことが特徴です。このようなことから、無告知型保険に加入するよりも、貯金を医療費に回す方が良いケースもあります。
無告知で生命保険に加入出来るとなると、藁にもすがる思いで飛びつく方もいると思いますが、デメリットも考慮し冷静に判断するのが重要となってきます。保険料や補償内容の情報について不安な点は事前に調べておき、本当に加入するべきか慎重に考えましょう。
保険の窓口やファイナンシャルプランナーといった専門家に相談するのも一つの手です。
まとめ:心療内科や精神科への受信歴はしっかりと告知しましょう
今回は、生命保険加入時に心療内科や精神科の受診歴がある場合について説明をしました。生命保険加入時に心療内科などの受診歴を告知しなくても生命保険に加入できる可能性はありますが、保険金の請求時に保険会社は厳重なチェックを行うためバレる可能性は高いでしょう。
もし仮に保険契約できたとしても、実際に保険金をもらうことが出来なくなるため、十分にご注意ください。
また、心療内科などの受診歴があっても、完治してから5年以上経っている場合は告知する義務はありません。完治してから5年以上経っていなくても加入できる保険がありますので、告知義務違反というリスクを冒すのではなく、入れる条件があるものを検討するようにしましょう。
一人で保険選びは難しいものです。分からないことは一人で悩まず、保険ショップやフィナンシャルプランナーに相談してみましょう。
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よくある質問
Q | 保険証を使わずに自費診療をすることはできますか? |
A | 自費診療は可能です。ただしその場合自由診療扱いとなり、3割負担などではなく、全額自己負担になりますので負担が大きくなります。また、保険証を使わなくても、心療内科の通院歴は保険会社にバレる可能性がありますので、やめましょう。 |
Q | がん保険に加入したいのですが、心療内科の通院歴は関係ありますか? |
A | 一般的に、がん保険は心療内科の通院歴があっても問題なく加入ができます。なぜならがん保険は、一般の医療保険と違って、がんになった場合にのみ保険金が下りる保険だからです。がんとうつ病などの心の病に因果関係はありませんので、がん保険には問題なく加入できます。がん保険について詳しくは以下の関連記事をご確認ください。 |
Q | 心療内科の通院は住宅ローンの審査に影響しますか? |
A | 住宅ローンには団体信用生命保険があるため、心療内科の通院は審査に影響します。よって、心療内科の通院があると団体信用生命保険に加入できない可能性が高まるため、残念ながら住宅ローンの審査は厳しくなります。 |
Q | 告知義務違反が保険会社にバレるとどうなりますか? |
A | 保険契約が解除されて、保険金が受け取れずまた支払った保険料も返ってこない場合があります。 詳しくはこちらの記事を参考にしてください。 |