育児休業給付金は支給されるのが遅いと感じる方もいるかもしれませんが、初回の入金までは通常でも出産から5ヶ月程度かかります。まずは育児休業給付金の概要を理解しておきましょう。
育児休業給付金は、原則お勤めの会社からハローワークへ申請するものなので、対応に一定の期間が必要となります。事前に準備しておくことで焦ることなく支給までの期間を過ごすことができるので、流れなどを確認しておきましょう。
育児休業給付金の振込が遅い理由
「育休手当が早くほしいけど入金されない…」と考える前に、まず産後休業と育児休業の基本的な考え方、そして、育児休業給付金がどれくらいの期間で支給されるのかを理解しておきましょう。
育児休業給付金(育休手当)は、雇用保険の被保険者が「育児休業」を取得し、一定の条件を満たした場合に受給できるお金のことです。
まず、「産後休業」は出産翌日から8週間の期間を指します。「育児休業」は、産後休業が終わった翌日から子が1歳に達する前日までを指し、育児休業給付金が支払われる対象の期間となります(一定の条件に該当する場合、支給対象期間を延長することができます)。
具体的な日付で説明すると以下のようになります。
例)10/5に子を出産したとする
期間 | 状態 | 備考 |
出産予定日~10/5 | 産前休業 | 男性の場合、出産予定日から育児休業とすることも可能 |
10/6~11/29(8週間) | 産後休業 | - |
11/30~翌年10/3 | 育児休業 | 育児休業対象期間は条件により延長可能 |
つまり、育児休業給付金が支給される条件としては、まず出産から8週間(約2ヶ月)経過する必要があることになります。また、2ヶ月たったらすぐに振り込まれるわけではなく、給付までには一定の期間が経ってしまう場合が多い状況にあります。
いつ振り込まれる?
育児休業給付金、いわゆる育休手当が振り込まれるまでには、育児休業になってからおよそ3か月後、時間がかかれば5ヶ月程度かかると言われています。つまり、出産してからの時間では5ヶ月~7ヶ月程度の時間がかかることになります。
育児休業給付金の支給単位の期間は、育児休業を開始した日から起算して1ヶ月を1つの単位とします。育児休業開始日から数え始めるので、月の途中からでも起算することが可能です。
育児休業給付金は事業主(お勤めの会社)が受給資格確認手続きを行いますが、受給資格確認手続きと同時に初回の支給申請をする場合、最初と次の2つの支給単位を申請することになります。
以降、何ヶ月分を支給申請するかというと、原則2ヶ月に1度申請するよう厚生労働省のパンフレットにも記載されています。被保険者本人が希望すれば1ヶ月に1度の支給も可能ですので、お勤めの会社に確認してみてください。
そもそもなぜ育児休業開始から2ヶ月待つ必要があるのかというと、育児休業は取得が強制されておらず、任意で利用できる権利であるからです(産後休業は労働基準法により取得の義務を定められています)。
育児休業給付金を受け取るには受給資格があり、そのうちの1つとして、休業前の給料と比較して育児休業中の給料が一定以下(もちろん賃金が払われていない場合も有効)であることが挙げられます。
そのため、最初の支給単位である育児休業開始から2ヶ月間に支払われた賃金が確定するまで支給できないわけです。
なぜ遅い?
それにしても遅いと感じるとすれば、事務手続きに時間を要している可能性があります。
まず、初回の申請に関しては育児休業開始から2ヶ月経過してから可能になります。さらにあなたがお勤めの会社に早く申請しても、会社からハローワークへの申請が遅くなればそれだけ支給も遅くなります。
育児休業給付金の申請手続きは基本的に以下のようになっています。
「あなた ⇒ 事業主(お勤めの会社) ⇒ 事業所の所在地を管轄するハローワーク」
どれくらいの期間で支給されるかは、お勤めの会社からハローワークへの申請手続きがされているかどうかによって変わります。お勤めの会社の担当者の方が、育児休業の対応や支給申請手続きに慣れていなければ時間がかかるかもしれませんし、多忙で申請ができていない可能性もあります。
あなたがお勤めの会社に書類を提出したかどうかと、実際に手当が支給がされるかどうかは別の話ということは認識しておいてください。
育児休業給付金の申請から支給までの手続き
育児休業給付金は原則として事業主(お勤めの会社)からハローワークへ申請手続きを行います。個人で行うこともできますが、給付金受給資格の手続きなどは事業主に行ってもらう必要があるため、特別な理由がなければお勤めの会社から申請してもらいましょう。
申請の流れ
具体的な申請の流れは以下のようになります。細かい部分は会社によって異なると思いますので全体的な流れとして認識してください。
【STEP1】申請者本人(あなた)からお勤めの会社(事業主)に、育休を取得する旨を伝えます。会社の担当部門は人事や総務などになるかもしれませんが、まずは上司の方に相談するのがよいでしょう。
【STEP2】(会社側の対応)申請者から育休の申し出をうけたら、事業主からハローワークへ申請します。書類が受理されると「育児休業給付受給資格確認票」「育児休業給付金支給申請書」などが届くので、申請者に記入を依頼します。
【STEP3】STEP2の書類に必要事項を記入します。記載方法は以下の資料を参考にしてください。不明点はお勤めの会社に相談していてください。必要事項を記入したら母子健康手帳などの必要書類を添付して会社に提出します。
【STEP4】(会社側の対応)STEP3で申請者に記載してもらった資料などをまとめてハローワークへ申請します。その後は2ヶ月に1度追加で申請していきます。
申請には以下の書類を準備する必要があります。会社が準備する書類でも申請者が記載する必要がある書類もあるので、詳細はお勤めの会社の担当者へご相談ください。
申請者が準備するもの | ・母子手帳の写し(育児を行っている事実が確認できる書類) ・マイナンバーカードや本人確認書類の写し ・振込先確認書類の写し(通帳やキャッシュカードなど) |
会社が準備するもの | ・雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書 ・育児休業給付受給資格確認票 ・(初回)育児休業給付金支給申請書 ・支給対象期間分の賃金台帳・出勤簿など「賃金の額や賃金の支払い状況」が確認できる書類 |
申請の期限に注意
育児休業給付金は支給までに時間がかかることは理解してもらえたと思いますが、支給が遅くならないためにも早めに申請するようにしましょう。
初回の申請期限は「育児休業開始日から4ヶ月を経過する日の属する月の末日まで」となっています。
例)育児休業開始日が7月10日の場合
4か月を経過する日 :11月9日
初回申請期限 :11月30日まで(11月の末日)
なお、男性の場合は出産予定日からが育児休業の取得開始が可能な期間となり、産前休業・産後休業がある女性とタイミングが異なる点に注意してください。
\資産運用の無料相談まずはLINEで/
育児休業給付金の支給でのポイント
育児休業給付金のポイント
- 育児休業は出産翌日から8週間経過後に開始となる(出産翌日からの8週間は産後休業)
- 育児休業給付金の申請は原則2ヶ月に1回となる
- 初回申請は育児休業開始から2ヶ月後なので、出産からは約4ヶ月後となる(入金はさらに先)
- 育児休業給付金の申請は原則お勤めの会社からハローワークへ申請する
育児休業の開始タイミングと、賃金が一定以下である証明が必要なので、申請にはさらに2ヶ月かかるということを理解しておきましょう。
また、あなたが会社に申請したらすぐに支給されるわけではありません。会社からハローワークへの申請タイミングによってはなかなか入金されないので注意してください。
遅すぎる場合は会社へ問い合わせ
初回申請の場合は、遅いときには出産から半年近くたってから入金されることになります。それでもまだ振り込まれていないようでしたら、お勤めの会社に状況を確認したほうがよいでしょう。給付のタイミングは、お勤めの会社からハローワークへの申請がされているのか、またいつされたのかが重要になってきます。
ハローワークでは具体的な申請の手続き等は相談できますが、個々の受給者の振込日は把握できません。入金日に関する問合せには回答してくれないので注意してください。
2ヶ月ごとの申請
2回目以降の支給申請も原則2ヶ月に1度の申請となります。すでに経過した分の2ヶ月を後から申請するイメージになるので、支給対象期間と申請のずれがあることを理解しておきましょう。
繰り返しになりますが、制度上は被保険者が希望すれば1ヶ月に1度の申請も可能です。1ヶ月ごとの支給を希望する場合はお勤めの会社に相談してみてください。
事前に準備しておこう
出産前後には今回紹介した育児休業給付金だけでなく、出産育児一時金や出産手当、男性でも出生時育児給休業給付金など、様々な制度を利用できます。
ありがたい制度ではありますが、それだけ申請書類などの準備も大変になってきます。そうでなくても出産前後は余裕がなくなるタイミングですので、事前にこれらの制度について理解して準備しておくことで余裕をもって対応することができます。
また、現実的に出産にかかわるタイミングではお金が必要になってきます。このような給付金はすぐに振り込まれるものではありませんので、生活費などのお金で困ることがないように、必要になりそうな金額をきちんと把握して準備しておきましょう。
まとめ:育児休業給付金は早めの申請を
申請をスムーズに行うには事前に育児休業給付金への理解を深めることが重要です。育児休業給付金は初回振込までは約5ヶ月、それ以降も2ヶ月に1回の支給となり、支給タイミングも決まったタイミングではありません。
不安な方はお勤めの会社の担当者の方とよく相談しながら育児休業給付金の申請を行うようにしましょう。また、育休手当が早くほしいと思ってもすぐに振り込まれないことを想定して、何ヶ月分かは生活できるだけの生活費の準備も行っておきましょう。
\資産運用の無料相談まずはLINEで/
よくある質問
Q | 育児休業給付金はいつまでもらえる? |
A | 原則は、子が1歳になった日の前日までとなります。ただし、子が1歳になる前に職場復帰された場合は復帰日の前日までです。そのほか、一定の条件を満たした場合は最大で1歳6ヶ月または2歳となった日の前日まで受給できる場合があります。詳細は以下の厚生労働省のQ/Aまたは関連記事をご確認ください。 |
Q | 初回の育児休業給付金はいくら? |
A | 大雑把に言えば、全く働いていない場合、最初の6ヶ月は育児休業前の2/3の賃金、6ヶ月以降は1/2の賃金となります。支給上限や途中で賃金が支払われた場合などでも変わります。詳しくは以下の関連記事をご確認ください。 |
Q | 育児休業給付金はどこから振り込まれる? |
A | 育児休業給付金は会社からではなく雇用保険から振り込まれます。そのため、雇用保険に加入していない自営業の方などは受け取ることができません。 詳しくは以下の関連記事をご確認ください。 |