育児うつは子育ての期間におけるストレスが主因で発生するうつ症状で、産後うつと異なり子供が大きくなった後でも起きうるのが特徴です。育児うつを避けるためには育児を一人で抱え込まずパートナーや地域の施設などを利用するのがよいでしょう。また、深刻化する前に医療機関にかかるのも有効な手段の一つです。
育児うつの特徴
育児うつは育児を行う中で起こるうつ症状で、気分の落ち込みや無気力、睡眠障害など様々な症状が発生します。母親だけでなく父親もかかることがあるため注意しなければなりません。
無気力や疲れの症状が続く
育児うつは子育てをする中で発生するうつ症状で、たとえば次のような症状が見られます。
- 気分の落ち込み
- 意欲の低下
- イライラする、落ち着かない
- 睡眠障害
- 疲労感
- 思考力や集中力の低下
- 罪悪感や自責感
近い症状として産後うつというものもありますが、子供が大きくなった後も発生するリスクがあるのが大きな違いです。
2015年にオウチーノ総研が行った20歳〜45歳の子育てを行っている男女を対象した調査では、母親の80%、父親の60%が子育てにストレスを感じると答えています。このストレスがエスカレートすると、育児うつに発展する危険性があるのです。
父親もかかる可能性がある
育児うつは母親だけでなく、父親もかかる可能性があります。従来は母親特有の症状と考えられてきました。しかし、父親にも育児にストレスを感じる人が少なからず存在し、中には育児うつに陥ってしまう人もいます。
産後や子育てのケアは母親に目が行きがちですが、育児うつへの対策やケアは母親、父親の双方に対して行うことが大切です。
産後うつとの違い
産後うつ、育児うつは似たようなものと認識されがちですが、最も明確な相違点は、産後うつは周産期〜乳児の時期に主に発生するものです。多くの症例は子供が1歳になるまでに解消する傾向にあります。一方で育児うつは育児をしていれば常にリスクがあるものなので、子供が大きくなっても発症する可能性があります。
また、女性の産後うつに限っていえば、ホルモンバランスの崩れが大きな原因の一つと考えられていますが、育児うつの原因は主にストレスです。女性の産後うつと育児うつは、それぞれ発症原因も異なります。
ただし、近年はパートナーの周産期以降のタイミングで男性がうつ症状を示す例も見られ、これも「産後うつ」とみなされる傾向にあります。男性の産後うつは生活スタイルの急変に伴うストレスによるところが大きいといえます。そのため男性の場合は産後うつ、育児うつの差はもっぱら「子供が大きくなっても発症する可能性があるかどうか」にあるといえるでしょう。
このように発症タイミングや原因に差はあるものの、いずれのうつ症状もライフステージが大きく変化する中で、変化に伴うストレスに耐えきれず発生するという点では共通しています。
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育児うつの原因
育児うつの原因は、以前より育児でのストレスや育児に伴う睡眠不足などにあると言われていました。また近年では在宅勤務に伴い子供と接する時間が増えた結果、育児うつを引き起こすケースも出てきています。
育児でのストレス
育児でのストレスは育児うつの主要な原因の一つです。予想がつかない子供のしつけや教育、子供の成長に応じて生じる様々な対応にストレスを感じる人は少なくありません。また近年ではメディアのニュースやSNSを通じて子育てママ・パパの情報を知る中で、自分の子育てとの格差を感じてストレスに感じてしまう人もいます。
睡眠不足
睡眠不足はストレスを増幅させる原因となりがちです。子供が幼い頃は子供の夜泣きや生活リズムの乱れなど、子供が原因で睡眠不足となることもあります。また、子育て世代は働き盛りであることも多く、仕事の忙しさが睡眠不足の原因となることも。子育てが直接的な原因ではない睡眠不足でも、子育てのストレスを増大させ、育児うつを引き起こすリスクが高くなります。
在宅勤務等による環境の変化
コロナ禍以降に増えた在宅勤務が育児うつにつながるケースも少なくありません。自宅で過ごす時間が増えると、必然的に子供と一緒にいる時間が増えます。仕事を子供に邪魔されることなどがストレスとなったり、従来なら保育園に任せる時間帯でも面倒を見なければならなくなったりすることで、育児に対するストレスが増大する場合も少なくありません。
また「在宅勤務だから子育てに積極的に参加すべき」という、パートナーをはじめとした家族からのプレッシャーが育児うつの原因となることもあります。
育児うつの対策や乗り越え方
育児うつに陥らない、もしくは万が一育児うつになっても乗り越えるために、一人でストレスを抱え込まないことが大切です。積極的に周りのサポートを得ながらワンオペにならないよう気を配りましょう。また、児童館などの公共施設を活用して子供と離れる時間を増やすのも有効です。そして、深刻な状態になる前に早めに医療機関に相談して、対処方法を検討してください。
ワンオペではなく、周りにサポートしてもらう
育児うつは一人で抱え込んでしまうとリスクが増大します。積極的に周りのサポートを得る工夫をしましょう。まずは夫・妻であるパートナーに相談して、家事・育児の分担を調整してみてください。
共働きなどでふたりでバランスを取るのが難しい場合には、両親に助けを求めるのも有効です。両親が近隣に住んでいる場合などには、遠慮せず積極的に相談しましょう。
また、サポートとはいかずとも、自分の気持ちを気心知れた人に話すだけでもストレスを低減する効果があります。子育て時期は旧来の友人との関係が疎遠になりがちですが、ぜひ、積極的に連絡を取って、悩みを話すのも有効です。
子供の成長に影響するから手を抜いてはいけない、というプレッシャーがストレスの元となることも少なくありません。時には手を抜いて、必要最低限のことだけこなすようにしてみるのも有効です。
ファミリー・サポート・センターや児童館を活用する
外部の機関を積極的に活用するようにしましょう。例えばファミリー・サポート・センターは地域で子育てを助けあう施設で、保育施設への送り迎えや保育園の時間外の一時預かりなどを行なってくれます。また、児童館は子供同士で遊べる施設がついていたり、子育てについてのサポートを受けられたりします。同じ地域の親もしばしば訪れているので、ママ友・パパ友作りなど、交流を深めることもできます。
こうした子育ての味方となる施設を積極的に活用することで、子育ての負担を減らす工夫をすることが大切です。
医療機関で診てもらう
自分なりに手を尽くしても改善されない、またはすでにここまで紹介した対策を行なっているのに育児うつになっているという人は、躊躇せず医療機関に相談してください。
育児うつは通常のうつ症状やうつ病と同様に心療内科や精神科で見てもらうことができます。医療機関であれば、カウンセリングのほか、医薬品を活用した治療も選択でき、症状の早期改善につながるでしょう。
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不安なときは生命保険の加入も検討する
自分が産後うつや育児うつにならないか不安な人は、あらかじめ生命保険に加入しておくのも有効な対策となります。現代では周産期やその後の子育て世代をターゲットとした生命保険も販売されており、中には育児うつに伴う治療の経済的な負担を軽減してくれる商品もあります。早めに対処しておくことで、安心して子育てを進められるでしょう。
まとめ
育児うつは産後うつに似た症状を引き起こしますが、ストレスが主因で、また子供が大きくなってからも発症リスクがあるのが特徴です。子育てを一人で抱え込まずに、家族や公共施設、時には医療機関のサポートを得ることで、症状の予防や緩和に努めましょう。
また、経済的な負担がストレスやプレッシャーにつながる人も少なくありません。あらかじめ出産後の育児に備えて、生命保険や医療保険に加入しておくことで、不安を取り除き育児うつの発症リスクを抑えられるでしょう。
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よくある質問
Q | 育児うつになりやすい人の特徴はありますか? |
A | |
Q | 育児うつにかかっていることを子どもに伝えたほうがよいでしょうか? |
A | 子どもは両親の変化に敏感なため、きちんと育児うつになっていることは伝えた方が良いでしょう。もし「うつ」がわからない年齢である場合にも、病気であることは伝えてください。 その時に子どもが傷つかないように「子どものせいではない」ことも伝えましょう。 |
Q | 育児うつと育児ノイローゼの違いは何ですか? |
A | ノイローゼとは特定の病気ではなく、神経症の総称で「うつ病」「自律神経失調症」「不安障害不安神経症」などが全て当てはまります。そのため、育児うつは育児ノイローゼの一種と考えることができます。 |